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2011年8月アーカイブ

August 31, 2011

Pontaゲト

●HMVからPontaカードが届きました。カッコいいHMVのロゴではなく、あえてタヌキがローソンの店員さんの服を着ている柄を選んだ。だってPontaなんだから。大切に扱いたい。
●HMVのサイトにある英グラモフォン賞2011ノミネート・ディスク。こうして眺めると、新譜減ったとか言ってても、一年を振り返れば盛況じゃないのって気もする。近年の受賞盤&ノミネート・ディスクにも遡れるので、じっくり見ると楽しいかも。
●「うぉ、これ、おもしろそう!」と興奮しながらCDをポチろうとするが、一応念のためにと棚を確認してみると、すでにウチにあるではないか、そのCDが。欲しいものが買うまでもなくウチにあったんだから喜んでいい場面なのに、なぜか激しく落胆する。

August 30, 2011

清水エスパルスvsマリノス戦など

●先週末はBSで清水vsマリノス戦のJリーグ中継があった。アナログ放送が終了して、ようやくテレビを買い換えたのでまたJリーグ中継が見れる(ら抜き)。WOWOWはアナログ放送終了とともに解約になってしまったのだが、まあこっちは当面そのままかも。結局昨シーズンはほとんどスペインリーグを見てないんだし。
マリユニ●マリノス戦が中継してもらえるのも、今季順位が上のほうにいるから、たぶん。かろうじてトップグループ集団に食い込んでいる。しかしこの清水戦は0-0で済んで助かったなという試合。お互い見せ場の少ないガマン比べみたいな試合だった。マリノスは中村俊輔をケガで欠いたが、それが響いたとは思えず。代役は長谷川アーリアジャスール。ザッケローニ監督が視察に来ていた。近い将来、代表に呼んでもらえますように。まだまだだけど、きっとブレイクする。この日は冴えなかったが……。狩野健太と途中交代。むしろ狩野か、俊輔をベンチに追いやるべきは。
J1順位表は上からガンバ大阪、名古屋、マリノス、柏、少し勝点差があって鹿島、広島、仙台。真の実力は得失点差にあらわると考えると、+21の名古屋、+20のガンバ大阪が2強。+13のマリノス、+11の鹿島、+10の磐田と続く(鹿島と磐田の順位は低すぎる気がする)。名古屋とガンバの優位はゆらがない感じだが、ガンバは得点も失点も異常に多いという超攻撃型。もしガンバが優勝したらなにか記録を作るかもしれない。最多失点優勝とか。

August 29, 2011

ベルリン・フィル2011/12年シーズン開幕

●8月26日にベルリン・フィルの2011/12年シーズンが開幕。ラトル指揮のマーラー交響曲第7番「夜の歌」。デジタル・コンサート・ホールでも生中継されたわけだが、facebookページのほうでもお知らせしたように、この日はスポンサーのドイツ銀行が無料で配信してくれた。日本時間だと金曜の深夜2時。最近夜更かしを止めたワタシにとってはしんどい時間であるが、がんばって頭のほうだけは見た。Twitter上でも思ったよりも多くの人がアクセスしていて、週末の2時開演なら人は来るんだなと感動。夏時間が終わって、これが3時開演となると相当厳しい。
●デジタル・コンサート・ホールはバージョンアップされていた。画質&音質のクォリティが3段階から5段階になっていて、デフォルトはAUTOの設定で、勝手に回線状況に応じて上がったり下がったりする(これは自分で固定に設定したほうがいい気がしたけど)。最高画質のときはあまりに鮮明でびっくり。あと、全般に画面が明るくなっていた気がする。サービス開始の頃から比べると、ずいぶん進化したよなあ。
●あ、そうだ、これは書き忘れてたからメモっておこう。今年のベルリン・フィルの来日公演、チケット発売日のことなんだけど、ネット上の代表的なチケットサービスをいくつか見た限り、10分ほどで3公演全席が売り切れたようだった。
●聴きたいものは聴けるときに聴いておかないと。

August 27, 2011

東京豪雨

stormdrain.jpg●あっという間に土砂降りになった。用があって雨の中を出かけたのだが、雨の勢いが想像以上に猛烈で、妙正寺川の水位が急上昇し、濁流になっていた。普段はちょろちょろと流れてるだけなのに。それにしても、さっき降り出したばかりなのに、もうこんなに水位が上がっているというのは尋常じゃない。出先で神田川の水位が上がって丸の内線が止まっていると知る。
●しかし本当に短時間の集中豪雨で、意外とすぐに雨がおさまり、帰宅する頃には傘を差さなくてもいいくらいになっていた。後で「東京都内の大雨まとめ」の写真を見たところでは、神田川も目黒川もあとわずかというところまで来ていた模様。すっかり水浸しになった街もあるようで、短時間でも豪雨は侮れないなと戦慄。
写真はイメージです●2005年にも豪雨があって、大変なことになったのを思い出した。あの時は妙正寺川が氾濫したのだ。というのも、当時、川沿いのマンションの1階に住んでいたのでよく覚えている。まさに目の前にある川から水があふれて、川と道路と橋の境目がわからなくなるような異次元が広がった。最初は「わっ、川の水位ってこんなに高くなるんだ、スゲー」くらいに思っていたのが、道もクルマも水没し、水位がマンションのエントランスの10cm下くらいまで迫ってきて、足元でゴウゴウと急流が流れるのを見て青ざめた。洗濯機の排水溝のところが怖いんすよ。「ゴボッ!……ゴボッゴボッゴボッ!……ゴボッ!」って間歇的に水が吹き出そうになってて。結局、そのときは無事だったんだけど、近所には家財道具やら自動車やら水没した家がたくさんあって、気の毒というほかなかった。
●あのとき印象に残ったのは、高さが少し低くなっているところに被害が集中していて、平気なところは川のすぐそばでもぜんぜん平気だったってことかな。あと、区役所が被害のあった家の消毒作業を行なったこと。浸水後は大変な勢いで雑菌が繁殖するんだとか。

August 25, 2011

タイトル防衛中

●最新のFIFAランキングで、ニッポン代表はフランス、コートジボワールと並んで15位。15位って言われても、そんな。
●むしろニッポンは引き続き非公式サッカー世界王者(UFWC)のタイトルを保持していることに注目したい。先日の韓国戦に勝利したので、これで昨年の10月以来、10戦連続してタイトル防衛に成功した。次は9月2日のW杯アジア予選の対北朝鮮戦。もしこれに敗れるようなことがあると、今後は親善試合を含めた北朝鮮代表の試合日程を追わなきゃいけなくなるんだが……。W杯アジア予選は意外なところにトロフィーが行ってしまう可能性があるので、UFWCファンは固唾を呑んで見守っていると思う。いや、ニッポンだって十分意外だけど。
UFWC――サッカー非公式世界王者の歴史●「UFWC――サッカー非公式世界王者の歴史」(ポール・ブラウン著/飛鳥新社)なる新刊が。これ、読んでおいたほうがいいのかなあ。いつから出版の準備を始めたのか知らないけど、刊行時点でまだニッポンが王座に留まっている(しかも男女同時に王者だ)というのがスゴい。

August 24, 2011

マリノス松田直樹の最終戦

●松田直樹関連の映像をいくつか見る機会を得た。緑のユニをまとった松本山雅FCの松田の姿にはなかなか目が慣れなかったが、松本山雅FCサポの熱さがJFL離れしたものだというのはよくわかった。すごい。
マリユニ2010●でもいちばん印象に残ったのは2010年最終節の大宮戦終了後に行なわれた、シーズン閉幕のセレモニー。マリノスは松田直樹との契約を終了し、これが彼にとってのマリノス最終戦。マリノス・サポは松田をはじめとする功労者たちが大量解雇されることに憤っていた。木村和司監督、嘉悦朗社長の挨拶が続く間、サポがこれをかき消すようにみんなで「ナーオーキ」とずっと松田のチャントを歌っていた。その後で、松田の「オレ、マジでサッカー好きなんすよ」の挨拶が続く。
●嘉悦朗社長の挨拶の場面が痛々しい。氏は日産自動車の執行役員をされていて、他の役員の方々とは違って本当にサッカー・ファンでもあるらしいんすよ。だから挨拶もシーズンの流れを踏まえたものだし、去る選手への感謝の言葉も述べてくれたし、来シーズンへの目標も具体的で「最低でもACLの出場権を獲得できなかった場合、責任をとって辞任します」とまで断言した。でもワタシはこれが残念だと思ったな。これまでの経緯からしょうがないのかもしれないが、マリノスの社長にはサポに対して宥和的な態度を見せてほしくなかった。クラブの利益のためなら手段を選ばない冷徹な経営者であってほしかった。「年俸が高いベテランは切って、有望な安い若手を獲得する。そうしなければクラブに未来はない。君たちはただ感傷に浸っていればいいのかもしれないが、社長である自分はそんな美しい幻想に付き合うことなどできないのであり、断固としてこのクラブを自分の考え方で前に進ませる」くらいの態度をにじませてほしかった。
●たとえサポと正反対の立場でも、本気でクラブの未来を背負ってるって立場を見せてくれたら、一目置かれると思うんすよ。だって、バルセロナやレアル・マドリッドの会長だったらどうするのよ。ラウールを移籍させたって、レアル・マドリッドはレアル・マドリッドであり続ける。選手も監督も常に入れ替わるけど、チームだけはそこにあって変わらないということを、サポだって本心では知っている。社長はサポーターと直接対話なんて断固拒否していいから、マリノスの仕事をしてほしい。「ACLに出られなかったら責任をとって辞任します」なんて軽々しく言うけど、それは辞めても日産自動車にもどるだけなのでは? むしろ「優勝するまで辞めない」って言ってくれ。監督も選手も全員クビにしてでも勝つ、っていうくらい、タイトルに対して執着してほしい。

August 23, 2011

また夏にもどるのか

●いったん涼しくなった東京だが、今日からまた暑くなるというウワサ。ウワサっていうか気象予知官たちによれば、そうなるっぽい。
暑いと文句を垂れるシロクマ
●と、涼しげな白クマ画像に続いてリンクを張っておきたい、読んで怖かった二大クマ事件。

福岡大ワンゲル部・ヒグマ襲撃事件 (1970年)

三毛別ヒグマ事件(1915年)

●「火を恐れない」と「執着心が強い」っていうのが怖い。
●プーさん……。

August 22, 2011

ゾンビと私 その19 ジョナサン・ケント演出「ドン・ジョヴァンニ」

●日曜の午前中から新宿バルト9へ。ソニーLiveSpireのワールドクラシック@シネマ2011「ドン・ジョヴァンニ」。午前11時からの1回のみ上映で8/20~8/26の一週間(東京以外も全国各地それぞれのスケジュールで上映。東京より先に終わったところもあれば、後のところもある)。2010年のグラインドボーン音楽祭から、ジョナサン・ケント演出、ユロフスキ指揮エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団(すばらしい)、ジェラルド・フィンリー (ドン・ジョヴァンニ)、ルカ・ピサローニ(レポレッロ)他。
●よく練れた演出で、おもしろかった。冒頭の場面、ドン・ジョヴァンニはいきなり悪辣。騎士長と決闘なんかしない。相手が油断してる隙にさっさとでかい石を拾って、後ろから騎士長の後頭部にガツン、さらにガツッ!、とどめにガツッ!と一方的に殺してしまう。他人への共感能力を徹底的に欠いたドン・ジョヴァンニ像をさっくりと宣言。嫌な感じのリアリズムで舞台を引き締めてくれた。
●レポレッロはポラロイドカメラで主人のお相手をパシャって撮ってカタログにしてる。そうだよなあ、カタログには写真がなきゃ(笑)。ポラロイドカメラだから時代は少し昔なのだ。今なら「♪イタリアでは640人~」と歌いながら、iPadの画面を指でひゅんひゅんしながら獲物を自慢するところか。
●ドンナ・エルヴィーラっているじゃないすか。この役ってコミカルというか、イジメたくなる役柄だと思うんすよ、基本的に。すごくダメな人なのに、正義を振り回すという設定に、作者のイジワルさを感じる(というかドンナ・アンナに対してもツェルリーナに対してもイジワルさは感じられるけど)。1幕の終わりでドンナ・エルヴィーラとドンナ・アンナ、ドン・オッターヴィオの3人が仮面をつけてドン・ジョヴァンニの屋敷を訪れる場面で、ドンナ・エルヴィーラは顔にピエロのメイクをしている(笑)。そうか、女ピエロだよなー、ドンナ・エルヴィーラって。
●ドン・オッターヴィオの役どころは愚鈍。「ドン・ジョヴァンニ」ってあらゆる脇役に対して作者がイジワルじゃないですか。そこが好きとも嫌いともいえる。
●おっと話がそれた。この演出でいちばんいいなと思ったのが死んだ後の騎士長の扱い。平凡な演出の「ドン・ジョヴァンニ」ではこれが見るに耐えない。石像がしゃべるとか、晩餐にやってくるなんてのでは、本来シリアスでなければならない場面が(少なくとも音楽はそうなってる)、どうしようもなくバカバカしい場面になりがち。で、この演出では石像は出てこない。レポレッロとドン・ジョヴァンニが墓場で出会うのは騎士長の石像ではなく死体そのもの。墓から出てきた死体が動く。つまり、これはゾンビだ。そうは明示されていないが、どう見てもゾンビ。ドン・ジョヴァンニはゾンビ騎士長を晩餐に招いたんである。これ、意外と歌詞もそのままで通るっぽい。石像でもゾンビでも触ると冷たいし。
●で、地獄落ちの場面だ。やってくるのは石像ではなく、生きている死者だ。その登場の仕方だけが無理やりすぎて思わず声をあげて笑ってしまったが(どんなかは内緒)、ドン・ジョヴァンニは騎士長ゾンビに襲われて血だらけになって地獄に落ちる。落ちても死体はちゃんと残ってる(描かれていないけど、後日談としてはドン・ジョヴァンニも甦り、次々と女たちを真の意味で襲い、死後バージョンのカタログが作られることになるだろう。また、騎士長は確かに食事にやってきたのだともいえる。人間の食い物は食わないけど、人間は食べちゃいます~的な)。
●なるほど、これはいいね。石像より生きている死体のほうが、ずっと話が通るし、今日的で、なによりモーツァルトの音楽が救われる。ジョナサン・ケント、鋭いな。と思ったら、デイヴィッド・マクヴィカーも騎士長ゾンビの演出をやってるらしい(未見)。そうだなあ、これたどり着く結論としてそうなるしかないってところもあるだろうし、もうこれからは騎士長=ゾンビを標準にしてもいいくらいなんじゃないか。少なくとも私たちの社会にゾンビ禍が訪れている間は、アイディアを共有していいってことにしてはどうか。頼むよ(誰に?)。
●昨日8月21日は本サイトCLASSICAの設立16周年なのでした。祝。

August 19, 2011

ヂヂヂヂ、ヂヂヂヂ

●夜中にPCに向かっていたら、すぐそばで「ヂヂヂヂ、ヂヂヂヂ、ヂヂ、ヂヂ」と断続的なブザー音みたいなのが発生、ムム、この異音はなんだ、またしてもPCか、それとも携帯機器か、オーディオかと身構えたのであるが、耳を澄ましてみるとその音は窓の外からやってくるのであり、すぐに気づいた、これはセミの断末魔の叫び。そろそろ涼しくなるという気象庁方面からのウワサ。
人気番組「砂の嵐」●ついにテレビを買い換えてしまった……。なんなのだ、この敗北感。ずっとアナログテレビだったわけだが、日々絶賛放映中の24時間テレビ「砂の嵐」も見飽きたので(ウソ。見てません)、慎重に機種選定しテレビ、ゲット。そして日頃テレビについて悪口ばかり言ってるくせに、いざ到着すると画面に食いついて眺めるのであった、そうか今のテレビってこんなに画面きれいなのだなあ、感動する。感動をありがとう! しかも、チャンネル増えてるし、わわ、どうしよう!的な悔しさ。ぬ。
●Twitterでタイムライン追ってると、一斉にわっと盛り上がるのはたいていテレビ番組。ソーシャルメディアはテレビがいまだ娯楽の王様であることを証明している。のか。

August 18, 2011

HMV ONLINEがリニューアル

●ここ何日かサイトが閉じられていたHMV ONLINEが再開された。
●まずポイントサービスが変わった。これまで付与されていた HMVメンバーズポイントが終了となり(すでにたまっている分は有効期限まで使用可)、かわって Pontaポイントという、(株)ロイヤリティマーケティングによる共通ポイントプログラムがスタートする。Pontaカードの発行が必要。これはHMVだけではなくローソンやGEO、昭和シェル石油、ケンタッキーフライドチキン等々で使用できるのだとか。
●この種のポイントカード類に関しては疎くて、これがどういうものなんだかイマイチ理解できていない。HMVに限らず、レコード店にポイントカードを作るのは自然というか、抵抗がない。なじみがあるし、個人の顔が見えるし、昔からそういうものだから。でもコンビニやファストフードで「ポイントカードをお作りしますか(ただし住所・氏名・電話番号・生年月日が必要で、購入履歴はデータベースに蓄積されます)」と言われたら、いくら特典があっても断ると思う。
●それに Ponta ってなんだろ? 今まで犬だと思ってたところが急にタヌキになった。ポイントカードだと思ってたらある日葉っぱに変わったりするの?ととまどいつつも、結局「レコード店で買い物するときはポイントカードを持つ」という長年の習慣に流されて、Pontaポイントを申し込んでしまった……。HMVだけで使う分には今までと同じかな、と。HMVのような趣味性の強いお店と、コンビニみたいな日常用品の大規模チェーンとがいっしょになるっていうのはこういうことなのかと今さら思ってみたり。
●HMV ONLINEの一つ上の階層に「エルパカ」というモールができてて、HMVのほかにローソンチケットなどが入っている。いずれHMVとローソンチケットがスムーズに連動するようになって(CDを買った人にはそのアーティストの公演情報とチケットを、チケットを買った人にはCDを)、利便性が高まると期待する。

HMV ONLINE (クラシック)

August 17, 2011

「マネーボール」がブラッド・ピット主演で映画化。11月公開

映画「マネーボール」●因習と精神論がまかり通っていた野球のような世界に、「統計」による計量的アプローチを持ち込んで鮮やかな成功を収める。これこそがスポーツの世界におけるもっとも甘美な夢だろう(とりわけ理数系育ちのヲタにとってこんな痛快な話はない)。かつて、そんな夢が現実としてメジャーリーグで起きた。この統計的手法はセイバーメトリクスと名づけられ、今やマイケル・ルイス著のノンフィクション「マネー・ボール」のおかげで広く知られている(以前にこのブログでも紹介した)。打者の価値は打率や本塁打数などではなく、出塁率と長打率によって測られるべきであること、「アウトになった内野ゴロ」と「内野手の間をグラウンダーで抜けたヒット」には偶然以上の違いは認められないこと。そういったことが統計により明らかにされた。
●セイバーメトリクスの創始者ビル・ジェームズ(もともと野球人でもなんでもなく、缶詰工場の警備員をしていた)がこの世界の神なら、元メジャーリーガーながらGMとしてセイバーメトリクスを実地で活用し、低予算のオークランド・アスレチックスを快進撃させたビリー・ビーンはヒーローだ。おそらく現在ではセイバーメトリクスは本物の数学者たちの手によって無慈悲なほどに効率化され、各チームに普及して常識と化し、ついには手法の採用自体による優位は失われ、運用面の巧拙だけが残っているのではないかと想像する。このアプローチは斬新なアイディアだが、一度共有されてしまうと、公開情報から得られる数字だけでは差が付きにくいだろうから。ビル・ジェームズやビリー・ビーンの物語は、すでに美しすぎるおとぎ話となりつつあるのかもしれない。
●であれば、これほど映画化にふさわしい題材もない。映画「マネーボール」の主演はブラッド・ピット。監督はベネット・ミラー。11月11日(金)より、丸の内ピカデリーほかで公開される。

August 16, 2011

エンリコ・オノフリ「愛をこめて」

エンリコ・オノフリ~愛をこめて●ようやく聴けた、エンリコ・オノフリがバロック・ヴァイオリンと指揮を務めるニュー・アルバム「愛をこめて」。オノフリが日本人演奏家によるチパンゴ・コンソートを率いる。ゲストに森麻季さん。これ、2009年12月に紀尾井ホールで行なわれたライブのCDなんすよね。ワタシも聴きに行ったんだけど、こうしてCDの形にできあがったアルバムを聴いてびっくり。ライブ録音っていうよりは、このアルバム一枚を作るために録音されたものを聴いてるみたいな完成度の高さ。いたるところに奏者の息づかいがはっきり聞こえて生々しい。演奏会は客席で聴くものだけど、ライブ録音はそうじゃないんすよね。仮想的な舞台上で聴いているというか、あるいは同じスタジオに入っている気になるというか。生より生々しいのが録音。だから自分が聴いた演奏会より、ずっと輪郭のはっきりした音楽を聴いている気になる。最後、拍手が入っているのを聴いて初めて「はっ、これライブだった」って思い出す。
●曲目はコレッリ、ヴィヴァルディ、ヘンデル、モーツァルトなど。冒頭のコレッリの合奏協奏曲第1番が始まる瞬間の豊かさ、みずみずしさに圧倒される。ワタシがこのアルバムでいちばん好きなのは、ヴィヴァルディ「ファルナーチェ」のアリア「すべての血管を凍えるような血が」が終わって、同じくヴィヴァルディ「四季」から「冬」第2楽章&第3楽章へと続くところ。アリア「すべての血管を凍えるような血が」が「冬」の第1楽章に共通する楽想を持っているので、これを第1楽章に見立てて「冬」第2楽章にワープする。この眩暈感。しかもこの「冬」第2楽章が猛烈にカッコいい。「外は荒天だけど、ウチの中は暖炉があって快適で嬉しいぜー!」っていうハッピーなノリ。

August 15, 2011

フェスタサマーミューザ2011KAWASAKI閉幕

フェスタサマーミューザ2011KAWASAKI最終日はヨレル・レヴィ指揮東京交響楽団。フィナーレにふさわしく堂々たる重厚なベートーヴェンの交響曲第4番を聴かせてくれた。会場はサンピアンかわさき(川崎市立労働会館)というホール。小ぶりな昭和の市民会館スタイルなんだけど、エポックなかはらよりは響きは良好。隣が競輪場、そのまた隣が教育文化会館というカオスな並び。競輪場のそばで飲んだくれてるオッチャンがいる。酔えるレヴィ。あ、今の取り消し。
●本来の会場であるミューザ川崎については「復旧工事の完了は平成24年度末を目途とする」と以前に発表されている。ミューザがしばらく使えないのは残念すぎるにしても、それでも今年も音楽祭が開催されたというのは大変すばらしい。LFJのときも思ったけど、音楽祭は(たとえ震災の影響で縮小されても)なんらかがが継続して行なわれるってのはすごく意味がある。一回でもゼロになると、これまで積み上げてきた存在感とか習慣がリセットされてしまうというか。会場も川崎市内の各地のホールを使用して、川崎のお祭りだというのがはっきりしていてよかった。おかげで川崎の知らない場所に足を運ぶことができたし。こんなに暑くなければ川崎大師にも行きたかったんだけどなあ、と言ってみる気温34度(体感推定)。

August 12, 2011

CDショップWAVE全店舗閉鎖

●「CDショップ WAVE の株式会社WAVEが全店舗閉鎖、自己破産申請へ」(帝国データバンク)。六本木WAVEはすでに1999年に閉店しているので、むしろ大宮店など今年になっても店舗が存在していたことに驚いた。WAVEが手がけていた地下鉄構内のドーナツ店ってどこなんだろう? ともあれ24億余の負債を残して自己破産したのは残念。
WAVEは値札を直接プラケースに貼っていた●一頃六本木WAVEくらいワクワクするお店はなかったような気がする。タワーレコードやHMVに先駆けて、CD店の概念を変えるメガショップとして衝撃的だった。旧譜が棚にレーベル順に並んでいるのが美しかった。レーベル順に並べられると、作曲者や作品でディスクを探すのが困難なので現在の大型店ではありえないことだと思うが、レーベルの個性は伝わりやすい。Aから並んでいたので、ついAから見始めて、すぐ疲れて止める。ということを毎回繰り返していると、ACCENT とか ACANTA とか ARCANA とか、Aから始まる名前のレーベルばかり何度も眺めることになる。あの頃、Zig-Zag がなくてよかった!

August 11, 2011

フェスタサマーミューザ2011、日韓戦

●最近、代表戦とコンサートが高確率で重なってしまっている気がする。日韓戦があったにもかかわらず、昨夜はフェスタサマーミューザ2011KAWASAKIで日フィルの公演へ。大半の公演が出張と重なってしまったため、終盤になってようやく今年初めてのサマーミューザ。ミューザ川崎が地震の被害により使用できず、今回は川崎市内の各ホールで開催されていて、なじみのない会場が多い。昨晩の会場は武蔵中原駅のエポックなかはら。日頃まったく使わない路線や駅を使って、まるで旅に出た気分(笑)。実際にはミューザ川崎と比べてそう遠いわけじゃないんだけど。
●エポックなかはらは一般的な市民会館スタイルのホール。日本全国どこでも見かける多目的ホールで、残響が少なくてむき出しの直接音が客席まで届く昭和スタイル。昔はこれが普通だった気もするわけで、コンサートホールに関してはずいぶん世の中整備されたなあと改めて感じる。ロビーに臆面もなく自動販売機が置かれているのは嫌いじゃない。
日韓戦はインターナショナル・マッチデイの週なので、海外組も含めて本物のフル代表。札幌ドーム開催。前線に李忠成先発が目を引く。岡崎も香川もドイツで好調のよう。
●日フィルは園田隆一郎指揮でロッシーニ:歌劇「絹のはしご」序曲、モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番「ジュノム」(河村尚子独奏)、モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」という休憩なしのプログラム。物理的な響きはデッドだが、音楽の中身は潤い豊か。猛烈に楽しかった。自然体で、淀みなく音楽が流れていくのが気持ちいい。独奏、指揮、オケ、すべてがスムーズで、歌心にあふれていた。まるで、いいときのニッポン代表のパスワークみたいに。オペラみたいに。遠藤、長谷部、本田、香川みたいに。あっ、香川が先制ゴール決めたのか。えっ、日韓戦で3対0? 帰り道に札幌がお祭り状態になっているのを知る。公式戦ではないので、すすんで結果バレする。
●演奏会の後に代表戦を録画観戦するような夜更かし行動はしないことに。むしろ爽やかに早起きしたい、と夢想する朝から30度超の亜熱帯東京。

August 10, 2011

松田直樹(1977-2011)

サカマガ●駅のキオスクでサッカーマガジンを見かけたら、表紙が松田直樹だった。マリノスを離れ、今季よりJFL(つまり3部リーグ)の松本山雅FCに移籍した松田直樹が、こんな形でふたたびサッカー雑誌の表紙を飾ることになるとは……。残念でならない、というか信じられない。
●34歳の現役サッカー選手が練習中に突然倒れて、世を去る。あまりにも唐突で、最初はリアリティを感じられなかった(エスパニョールのハルケとか、セビージャのプエルタとか、心臓疾患で突然死を迎えるサッカー選手はこれまでにも何人かいたが)。でも昨日、昼間に一瞬テレビをつけたら、松田の死がものの見事にテレビ的な物語の枠組みに収められているのを目にして、いたたまれない気分になり、これが現実のことであると悟った。涙する松本山雅FCのサポたちが映されていた。彼らもテレビに蹂躙されているのかもしれない。うまくいえないんだが、彼らはもっと松田に無関心でもおかしくないし、ワタシの知るJFLのノリはあんなにJリーグ的じゃない。でも松本山雅ではああなのかもしれない。よくわからない。いずれにしても、テレビ的物語の枠からはみ出るものは放映されないんだろう。
●2000年代前半の松田はJリーグのレベルを超えていた。マリノスは2003年、2004年とJリーグを連覇。ワタシの認識では、この時期のマリノスはフィジカル重視で、手数をかけないダイレクトフットボールでリーグを制覇したのであり、松田と中澤の屈強なセンターバックがチームを支えていた。ミスターマリノスと呼ばれるのは攻撃のタレントかもしれないが、伝統的にこのクラブのキモはセンターバック。松田直樹こそマリノスを代表する名選手だ……と称えたい一方で、松田くらい腹立たしい選手もいなかった。要らないカードをもらって退場。無謀な攻撃参加。すぐカッとなる。なにをするかわからない。
●松田が怒っている姿もよく見たなあ。福岡戦だったかな、記憶だから違うかもしれないけど、相手が攻めなきゃいけない場面で(でも終盤で試合の結果はもう見えていて)、「どうしてボールを奪いに来ないんだ」ってバックラインでボールを保持しながら敵に怒っていたことがあったっけ。あと、キーパーの榎本が退場したときに、もう交代枠がなくて松田がゴールマウスに入ったこともあった(で、失点した)。なにも要のセンターバックがキーパーやらなくてもいいじゃないの。ボールを持ち上がって、あきれるほど見事なビューティフル・ゴールを決めたこともあった。
●代表ではトルシエ時代にフラットスリーの一角を担ったが、ジーコに代わってからは一悶着あって呼ばれなくなってしまった。ジーコ・ジャパンがW杯でフィジカルの弱さを露呈してしまったことを考えると、あそこに松田がいたらなあと思わなくもない。でも、ジーコも規律を乱すような選手を呼ぶわけにはいかなかったんだろう。規格外の選手なので軋轢も起きる。
●本来なら3月に組まれていた横河武蔵野FC対松本山雅FCの試合で、緑のユニをまとった松田直樹を見るチャンスがあった。しかし震災の影響でリーグ戦が中断され、試合は10月に延期されてしまった。対戦相手として松田直樹を迎えるのはどんな気分だっただろうか。いいプレイをされても、悪いプレイをされても、ずいぶん憂鬱な気分になったにちがいない。そして、もうそんな機会も訪れないと思うと悲しい。

August 9, 2011

「東日本への贈りもの」アバド&ルツェルン祝祭管Web生中継/「TDKオーケストラコンサート」ベルリン・フィル公開リハーサルに学生ご招待

●耳寄り情報を2つ。
●まず、本日の日本時間19:00からスイス・ルツェルンで行なわれる「東日本への贈りもの」概要発表およびクラウディオ・アバド指揮ルツェルン祝祭管弦楽団の演奏が、KAJIMOTOウェブサイトにて生中継される。曲はマーラーの交響曲第10番~第1楽章アダージョ。この模様は東京国際フォーラムでも生中継されるというのを前にお知らせしたと思うが(ワタシはそちらに足を運ぶ予定)、ウェブでも中継されることになった。自宅からもアクセスできるという楽チン(←死語?)具合が吉。詳しくは以下に。

8/9「東日本への贈りもの」概要発表/アバド&ルツェルン祝祭管の演奏をWeb生中継
(KAJIMOTO)

●もう一点、こちらは学生さん限定のうらやましい企画。TDKオーケストラコンサート 2011 サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル来日公演の公開リハーサルに学生200名をご招待! 中学生以上で音楽を学んでいる学生の方が対象、リハーサルは11月23日(水・祝)サントリーホールで午後2時から。要学生証提示なので、チケット争奪戦に敗れた元学生のオッサンとかは申し込まないように(笑)。もちろんリハーサルであって、本番ではないので、そのつもりで。
ラトル指揮ベルリン・フィル

photo © Andreas Knapp
August 8, 2011

夏の音楽祭など、ウェブ中継いくつか

昔のラジオ●どうせほとんど聴けないのだが、オンデマンドで配信されるものを自分用にいくつかメモ。
●France Musique から、ラ・ロック・ダンテロンでのペヌティエのピアノ+山田和樹指揮イギリス室内管弦楽団。モーツァルトの協奏曲2曲他。
ARD Radiofestival 2011。ARDはドイツ公共放送連盟ってことでいいのかな? このあたりのアーカイブから、ザルツブルク音楽祭のティーレマン指揮「影のない女」などを聴くことができる。
●ザルツブルク音楽祭関係はORFのアーカイブでブーレーズ指揮ウィーン・フィル他。
●KUSCから、LAフィルのハリウッド・ボウル。ドゥダメル指揮ラン・ランの独奏で開幕。
●もちろん、BBCのProms 2011も。引き続き、オンデマンド配信中。
●あと、これは前からあがってるんだけど、Arteの「コジ・ファン・トゥッテ」(エイドリアン・ノーブル演出/ステファノ・モンタナーリ指揮リヨン歌劇場)。チラ見しただけど、舞台がかわいくて、女性陣の容姿も端麗で、すごくシャレてて楽しげ。iPhoneみたいな携帯機器で恋人の写真を見せっこするなんて、これ以外にないっていうリアリティを感じる。

August 5, 2011

OEKツアー、ラ・ロック・ダンテロンでチッコリーニと共演 その2

●ようやく帰国いたしました。日常への復帰を目指し中。
●OEKツアー、最終日はラ・ロック・ダンテロン・ピアノ・フェスティバルでチッコリーニと共演。開演前は野外ステージそばの芝生スペースでピクニック気分を楽しむ人が多数。ここは本当に緑が豊かで、目を楽しませてくれる。夜8時半くらいでこの明るさ。
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●まだセミが盛大に鳴いている夜9時に開演(そして演奏中に日が暮れると、セミに代わってコオロギが鳴き出す)。アルド・チッコリーニのピアノ独奏、井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢の演奏で、前半にベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番、さらにシューマンのピアノ協奏曲の2曲、後半にベートーヴェンの交響曲第7番。
チッコリーニとOEK
●チッコリーニは1925年生まれ、もうすぐ86歳。リハーサルでは杖をついて歩いているくらいのおじいさんなんだけど、鍵盤に向かうともう別人。力強く明快なタッチで堂々たるベートーヴェンとシューマンを聴かせてくれた。しかも間に休憩なしで。大巨匠の風格。聴衆もすっかり圧倒されて、シューマンが終わった時点ではほとんど総立ちになりそうな勢いの大喝采。アンコールも2曲。1曲目はシューベルトのクーペルヴィーザー・ワルツ(たぶん。知らない曲だったので、違ってたらゴメン)、2曲目はドビュッシーの前奏曲集第1巻から「ミンストレル」。前半があまりに盛り上がったので、これでお客さんが帰ってしまったらどうしようかと一瞬心配になったが(もう遅いし)、これは杞憂でベートーヴェンの7番も十分に喜んでもらえた。
●終演後、ルネ・マルタン氏は「このフェスティバル30年の歴史の中でも十指に数えられる見事なコンサート」と興奮した面持ちで語り、OEKに対しても「ヨーロッパの一流オーケストラと肩を並べるレベルに到達している」と賞賛の言葉を寄せてくれた。
マルセイユの空港
●こちらは帰国途中、マルセイユの空港で見かけたラ・ロック・ダンテロンのポスター。ルネ・マルタンといえばラ・フォル・ジュルネなんだけど、先にこのラ・ロック・ダンテロンを始めてるんすよね。もう31回目だから歴史がある。客層は年配の方が中心。エル=バシャとOEKの公演の後に、何人かお客さんをつかまえて話を聞いたんだけど(あ、実際に話したのは通訳の方なんだが)、あるマダムは「この音楽祭に来るのはもう21回目。夫婦で一泊二日で来ています。でも夫はクラシックが好きじゃないので、演奏会はいつも私一人で聴いているの。日本は震災があって大変でしたね、お悔やみ申し上げます。でも日本人の辛抱強さがあればきっと克服できると思います」と述べてくれた。

August 3, 2011

OEKツアー、ラ・ロック・ダンテロンでチッコリーニと共演

ArteのTVカメラ●ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティバルの3公演目は大ベテラン、アルド・チッコリーニとの共演とあって注目を集め、Arteのテレビ中継も入った。前半にチッコリーニがベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番、さらにシューマンのピアノ協奏曲の2曲を弾き、後半にベートーヴェンの交響曲第7番というもりだくさんのプログラム。この公演の模様は3日後くらいからArte Webでオンデマンドで見ることができるはず。
ラ・ロックのチッコリーニ
●写真はゲネプロから。本番は大成功となった。その様子は改めて。宿泊したエクサン・プロヴァンスのホテルの無線LANがあまりに細すぎて更新がままならず、実は今マルセイユの空港からこれを上げている。2週間のツアーを終えて、これから帰国である。

August 2, 2011

ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティバル

●OEKツアーはエクサン・プロヴァンスに来ている。ここから車で40分くらいの距離にある南仏の小村がラ・ロック・ダンテロン。道中、見かけるのは畑と林ばかり。緑が豊かで大変美しい場所だ。
ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティバル
●そんな森の中に野外劇場がある。半球型のドームでステージが覆われている。ここにピアノを持ち込んで音楽祭が行なわれる。このラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティバルの創設者が、日本でもおなじみ、ラ・フォル・ジュルネのルネ・マルタン氏。LFJのアーティストたちが大勢出演する。オーケストラ・アンサンブル金沢もLFJ金沢の縁があって招かれている。今回が2回目の出演。ピアノの音楽祭なので、プログラムの中心はピアノ協奏曲ということになる。ケフェレック、エル=バシャ、チッコリーニと3日間続く。
ラ・ロック・ダンテロンのステージ
●この会場、2000席の野外劇場だがPAは使っていない。しかしまったく問題なく、後方まで音が飛んでくる。写真は昼間のリハーサル時のものだが、開演は21時30分とか、21時とか、かなり遅い。開演してから日が暮れるという感じ。夜空を見上げながら音楽を聴ける。
ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティバル売店
●こちらは開演直前のショップ(まだ明るい)。TシャツやCD、音楽書などを販売していて、まさにラ・フォル・ジュルネと同じスタイル。もっともつい欲しくなるような特製グッズみたいなものは見当たらず、商売っ気は薄い。

August 1, 2011

OEKツアー2011、ハンブルク公演

ライスハレ
●シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭でのオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)公演、3公演目はハンブルクのライスハレ(ムジークハレ)にて。今回の4カ国5都市にわたるツアーでは最大の都市での公演。会場は北ドイツ放送交響楽団の本拠地。ここまでモダン建築のホールばかりが続いていたので、クラシックなスタイルのコンサートホールに足を踏み入れることができ、テンションが上がる。建物そのものが美しい上に、内部もため息を漏らしてしまうような荘重さ。音もよく響く。
ライスハレ内部
●OEKの演目は武満徹「3つの映画音楽」、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調(菊池洋子独奏)、後半にベートーヴェンの交響曲第7番イ長調。井上道義指揮。後半のベートーヴェンは圧巻だった。ホールのためか、お客さんとの相互作用なのか(よく入っていて、普通にシュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭のなかの一公演として成立している。現地日本人が大勢来ているわけではない)、同じツアーで何度か演奏してる曲であるにもかかわらず、普段とは違う特別な熱いサウンドが生まれていた。第1楽章が終わった時点ですでに客席に軽い驚嘆の空気を感じたし、第4楽章が終わった瞬間は「ウォーー」という地鳴りのようなブラボーの声が押し寄せてきた。拍手が手拍子に変わり、アンコールに中村八大作曲「上を向いて歩こう」、さらに武満徹「3つの映画音楽」の3曲目「ワルツ」。ここでもスタンディング・オベーションが見られた。これだけの成功を収められたのだから、音楽祭としてもOEKを招いた甲斐があったのでは。
●公演を終えた翌日、ハンブルク→フランクフルト→マルセイユと飛んで、バスでエクサンプロヴァンスへ移動。続いてラ・ロック・ダンテロン・ピアノ国際フェスティバルで3公演が開かれる。

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