2015年9月アーカイブ

September 30, 2015

モウリーニョ本、二冊

●モウリーニョ監督に魅了される理由はふたつあると思う。ひとつはあり得ないほど好成績を収めている名監督だから。ほとんど毎年のようにタイトルを獲っており、三大リーグのすべてで優勝している。もうひとつは、傲岸だから。自らを「スペシャル・ワン」と呼び、メディアの前で歯に衣着せぬ物言いを連発する。売られたケンカは必ず買うタイプ。
●で、昨季プレミアリーグを制覇したモウリーニョ率いるチェルシーだが、今季はスタートからつまずいて、低迷している。どうしちゃったんすかね、昨季以上の戦力は保持しているはずなんだけど。
●というわけで、モウリーニョよもやの低迷記念に(?)、モウリーニョ本を二冊読んでみた。まずは、レアル・マドリッド時代のモウリーニョに対して辛辣な姿勢で書かれた「モウリーニョ vs レアル・マドリー『三年戦争』 明かされなかったロッカールームの証言」(ディエゴ・トーレス著/ソル・メディア)。ずばり、傑作。amazonでのレビューの点数がやたら低いんだが、これは反モウリーニョの悪口本でもあるからしょうがない。副題通り、ロッカールームでしかわからないはずの内幕が山ほど書かれていて、書いている記者が反モウリーニョ派の選手と通じているのか(っていうかそれはカシージャスだろうって感じだが)、勝手な想像で書いているかのどちらかだが、書き手の筆力は大したもので、権力闘争の物語としてほとんど痛快。特に興味深いと思ったのは、著者がモウリーニョの7つの原則として挙げた以下の項目。

1. ミスを犯した回数の少ないチームが勝つ。
2. 相手により多くのミスをさせるほうが有利。
3. アウェイでは相手のミスを誘う戦い方が有利。
4. ボールを持っているほうがミスを犯す可能性が高い。
5. ポゼッションを放棄するほうがミスを犯す可能性が低い。
6. ボールを持つことで恐怖も抱く。
7. ボールを持たないほうが持ったほうよりも強い。

●「ボールは友達!」の名言を残したキャプテン翼が泣いて悔しがる内容だ。これがモウリーニョ本来のスタイルかどうかはさておいて、ここに書かれている事柄、ポゼッションよりもカウンター(特にハイプレスからショートカウンター)の優位を痛感させられることはすごくよくある。もちろん対戦相手の個の能力が低い場合には、レアルだろうがどこだろうがポゼッションは自然と高くなるが、上記は同格かそれ以上の能力を持った選手を有するチームと戦うときに適用される原則という話。ここには、モウリーニョ時代のレアルはカウンターの鋭さで勝ったのだ、つまりその程度のものだよという著者のスペイン的な?価値観が反映されている。
●もう一冊は少し古いがイタリア時代のモウリーニョを追いかけた「モウリーニョの流儀」(片野道郎著/河出書房新社)。こちらはイタリアに長く滞在する著者によるもので、フェアな視点からモウリーニョの人物像とサッカーのスタイルの両方に迫っている。前著を読んだ後にこちらを手にすると、インテルミラノにやってきてまもないモウリーニョが4-3-3の攻撃的なサッカーを標榜していたことに軽い驚きを感じる(そして、そこから徐々にイタリアらしいリアリスティックなサッカーへと軌道修正していく)。この本では記者会見でのモウリーニョの発言が丹念に拾われているのだが、ケンカ腰のようであっても、中身は至極もっともなことだったりもする。特にいいなと思ったのは、記者たちから4-3-3システムが批判された際の言葉。

「あなたたちはいつもシステムについて話をしたがる。しかし、私の仕事はシステムではなくプレー原則をチームに徹底することだ。システムは変わり得るが、プレー原則は常に変わらない」
「ゾーンで守るかマンツーマンで守るか、高いブロックで守るか低いブロックで守るか、ポジションチェンジを許容するかしないか、縦に奥行きのある陣形で戦うか横幅のある陣形で戦うか、ロングパスとショートパスのどちらで攻撃を組み立てるか──。これらがプレー原則だ」

●むしろ親切といってもいいくらい。記者だって4-3-3か4-2-2か4-2-1-3かみたいなシステム論にほとんど意味がないことは承知しているんだろうけど、わかりやすいネタ、試合を見ていない人にも通じやすいネタとして、取りあげずにはいられないのかも。

September 29, 2015

ブロムシュテット指揮N響のベートーヴェンその2

●26日夜はNHKホールでブロムシュテット指揮N響。17日に続くベートーヴェン・シリーズで、交響曲第2番とピアノ協奏曲第5番「皇帝」(ティル・フェルナー)。今回も弦の編成はコンパクト、対向配置、コントラバスは下手奥。交響曲第2番は随所に弱音の表現が効果的に使われ、作品全体のダイナミズムが強調されていた。ひきしまってはいるけれど、重量感あり。定期公演で後半のメイン・プログラムに協奏曲が置かれるのはかなり珍しいが、「皇帝」ではティル・フェルナーの独奏を堪能。まったくパワフルではないのだが、透明感のある響きで自分の音楽を端然と紡ぎ出した感。格調高く、清新。
●この日はオペラシティからNHKホールへと移動。Googleで経路検索したら、バスで新国立劇場前から渋谷駅前行に乗って富ヶ谷で下車して徒歩9分というのが第一候補だった。Googleって1分でも早く着くなら歩く距離が長くても気にしないから、都心だとかなり意外性のあるルートを出してくることがある。Twitterで見かけた広瀬さんのアドバイスにしたがって、吉野家そばの「東京オペラシティ南」停留所から、渋63・64系統バス渋谷駅行きで「渋谷区役所」下車ルートを採用。スムーズ。吉野家にも寄れる(寄ってないけど)。このバスは逆向きで渋谷からオペラシティに行くときによく使ってる気がする。

September 28, 2015

バッハ・コレギウム・ジャパン第114回定期演奏会 ~ バッハ:世俗カンタータ・シリーズ vol.6

●26日は東京オペラシティでバッハ・コレギウム・ジャパン第114回定期演奏会。バッハの世俗カンタータ・シリーズ vol.6として、前半にオルガン協奏曲イ短調BWV593(鈴木優人)、「裏切り者なる愛よ」BWV203、「悲しみを知らぬ人」BWV209、後半に農民カンタータ「おれらの今度の殿さまは」BWV212。鈴木雅明指揮、モイツァ・エルトマンのソプラノ、ドミニク・ヴェルナーのバス。佐藤美晴の演出(!?)。
●前半のBWV203と209はともにイタリア語歌詞のカンタータ。協奏曲BWV593がヴィヴァルディの「調和の霊感」からの編曲であるので、共通項としてイタリアが浮びあがる。さらに203にも209にも偽作説があるそうなので、「バッハ/非バッハ」というテーマも読みとれるだろうか。バスとチェンバロのみで演奏される203は、バッハかどうか以前に、歌と伴奏があさっての方向を向いているヘンな曲っていう気もする。
●後半の農民カンタータは、なんと、演出付き。これが秀逸。農民に扮したモイツァ・エルトマンとドミニク・ヴェルナーのほのぼのカップルぶりがすばらしい。歌はもちろん、演技も達者。というか初めてこの曲の歌詞をちゃんと読んだ気がするのだが(字幕はないのでプログラムで)、世俗カンタータだけあってまるっきり世俗的というか、卑俗なことを歌ってるんすよね。歌手ふたりだけではなく、ときには楽員たちも演出に加わって、細かなところまで気が利いていて楽しい。狩のホルンを伴うバスのアリアで、ヴェルナーの横に立ったホルン奏者はN響首席の福川伸陽さん。ということに後で気づいて驚く。ところでサングラスの演出の意味はどう受けとればいいんでしょ。色眼鏡で見てるってこと?

September 25, 2015

ワーナー・クラシックス・コンベンション

ワーナー・クラシックス・コンベンション 2015
●24日はアンスティチュ・フランセ東京(つまり旧日仏学院)で、ワーナー・クラシックス・コンベンション。旧EMI系レーベルを統合して以来、活発なリリースが続いているワーナー・クラシックスの今後のリリースを紹介するイベントで、ワーナー・クラシックス&エラートのプレジデントであるアラン・ランスロン、エグゼクティブVPでインターナショナルA&R/ビジネス・ディヴェロップメントを担当するジャン=フィリップ・ロラン、シニアVPでグローバル・マーケティング&プロモーションを担当するマークス・ペーターゼンの三氏が登壇。
●まずはERATOからは先日リリースされたジョイス・ディドナートの「ライヴ・アット・ウィグモア・ホール」(パッパーノがピアノ伴奏を務めている)や、ナタリー・デセイとフィリップ・カサールのコンビによる「フランス歌曲集~気まぐれな婚約」他が紹介された。「気まぐれな婚約」はデセイとカサールが新郎新婦に扮したジャケットがお茶目。タイトル数が多いので、個人的に気になったところを今後の予定から挙げると、LFJで新鋭チェリストとして脚光を浴びたエドガー・モローが「ジョヴィンチェロ~バロック協奏曲集」と「PLAY~チェロ小品集」の2タイトルを12月に同時リリース。まもなく首席指揮者としてN響定期に登場するパーヴォ・ヤルヴィは、パリ管弦楽団とラフマニノフの交響曲第3番他(10月)。アレクサンドル・タローによるバッハのゴルトベルク変奏曲も楽しみ(10月)。
●Warner Classicsからは、パッパーノ指揮サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団、カウフマン、ハルテロスによるヴェルディ「アイーダ」全曲盤がビッグタイトル。今どき珍しいスタジオ録音によるオペラ全曲盤。ヴィルデ・フラングはジェイムズ・ガフィガン指揮フランクフルト放送交響楽団とのブリテンおよびコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲(2016年1月)。他に本格的に録音活動を再開したというチョン・キョンファのバッハ無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全曲(2016年秋)など。
●ここでは触れない分も含めて全体に対する印象としては、新しいアーティストが求められているんだなということと、それぞれのドメスティックな市場を意識したタイトルが多いなということ、イム・ドンヒョクやコンラッド・タオといったアジア系アーティストがいくぶん目立つかな、といったところ。「アイーダ」なんかの華々しさは例外的で、演奏会形式上演に並行したものとはいえ、よくこんな大型企画が実現したなと思う。

September 24, 2015

辻井伸行with井上道義&オーケストラ・アンサンブル金沢「悲しみのモーツァルト」

●21日は東京オペラシティで辻井伸行with井上道義&オーケストラ・アンサンブル金沢による「悲しみのモーツァルト」と題された公演。交響曲第25番ト短調、ピアノ協奏曲第20番ニ短調、休憩をはさんで交響曲第40番ト短調というモーツァルトの短調作品3曲を並べたプログラム。プログラムノートにわざわざ「辻井伸行はピアノ協奏曲のみに出演します」と断り書きがあって、辻井さん目当てのお客さんが多いことが察せられるが、中身はまったくもって本格的で密度の濃いオール・モーツァルト・プロ。辻井&OKEのコンビを東京で聴くのはこれが3回目だと思うけど(それぞれ指揮者は異なる)、客席の雰囲気も含めて今回がもっとも充足度が高かった。常に満席になる辻井さん人気のあまりの高さゆえに、後半になって客席側の関心度が薄くなったらどうしよう……とかつい思ってしまうのだが、これは杞憂。細部まで彫琢された緊迫感みなぎる第40番。圧巻。
●ソリスト・アンコールは一曲、ショパンのノクターン第20番嬰ハ短調遺作。オーケストラのアンコールはモーツァルトと武満で3曲。

September 21, 2015

「どんがらがん」(アヴラム・デイヴィッドスン著、殊能将之編、河出文庫)

どんがらがん (河出文庫)●先日「殊能将之 読書日記 2000-2009 The Reading Diary of Mercy Snow」を読んだ勢いで、殊能将之編によるアヴラム・デイヴィッドスンの短編集「どんがらがん」を読んだ。いつのまにか文庫化されていたんすね。文庫版には編者のサイトに掲載されていたセルフインタビューも特別収録されていてうれしい。
●帯の惹句が「夭折の天才作家殊能将之が心から愛した唯一無二の奇想作家アヴラム・デイヴィッドスン傑作選!」。宣伝文としてはこれくらいの言い方はぜんぜんオッケーだろう。日本で人気があるとは到底いえないアヴラム・デイヴィッドスンの短篇を原文で100篇以上も読んで、そこから厳選して一冊の短編集を編んだのだから、並大抵の情熱ではない。「そんな作家の名前、聞いたことないなあ」という人に向けては、「世界幻想文学大賞」と「ヒューゴー賞」と「MWA賞」(アメリカ探偵作家クラブ賞)を全部ひとりで受賞している人というのが最大の売り文句になる。ファンタジー、SF、ミステリー、すべてで受賞した三冠王。
●で、今さらながら読んだわけだが、正直アヴラム・デイヴィッドスンがそんなにおもしろいかと問われると、そこまででもない(ゴメン!)。いや、おもしろいし、読む価値はあるんだけど。今回の一冊のなかでは、表題作は以前に「追憶売ります」に収録されていたのを読んでいるはずだし(読んだのは四半世紀くらい前だから中身はすっかり忘れてた)、ほかに2作品くらいは記憶の片隅にひっかかっていた。「殊能将之 読書日記」の巻末に各短篇の考課表が付いていたじゃないっすか。あの殊能評と自分の感想を比較できるのが楽しみで読んだ(笑)。こういう機会はなかなかあるもんじゃない。
●まず、自分にとってのベスト作品を挙げてみよう。表題作「どんがらがん」は、トリをつとめるだけあって、力が入っているし、よく書けている。どうしてこんな話を思いつくんだろう。続きも読みたくなる(実際にある)。でもベストというよりは、2番手、3番手か。むしろ小ぢんまりした話のほうが好きかな。その点では「グーバーども」がベストか。「ゴーレム」は完成度は高いが、どことなく古びた感も。「物は証言できない」は好きなタイプの人情話だが、やや話が小さくまとまりすぎている。「眺めのいい静かな部屋」は文句なしの傑作。毒気もあり、これがベストでもおかしくない。「ラホール駐屯地での出来事」もかなりいい。あ、こうして挙げてみると、けっこう傑作率は高いのか。
●で、殊能考課表を見てみる。A評価は「ゴーレム」「ナイルの源流」「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」「どんがらがん」「すべての根っこに宿る力」「そして赤い薔薇一輪を忘れずに」「ナポリ」といったところ。ワタシのお気に入りの「グーバーども」「眺めのいい静かな部屋」はB+かあ……。「ナポリ」はぜんぜんピンと来ない(しかしこれが世界幻想文学大賞受賞作だ)。うーむ、やっぱり趣味が違うなあとも言えるし、その割には似たような評価になるとも言える。って、どっちなんだ。
●ひとつメモ。「ナイルの水源」のなかの一節。

その年の短編小説のマーケットは、王宮の白い壁にメネ、メネ、という文字が現れたように崩壊を予言され、雑誌がバタバタと潰れていたから(以下略)

これはウォルトンの「ベルシャザールの饗宴」にも出てくる、饗宴の最中に突然人の手の指が現れて壁に「メネ、メネ、テケル、ウパルシン」と書いて、王はバビロン中の知者たちを集めるがだれも読めず、しかしユダの捕虜ダニエルが「あんたの国は終わりだよ」(←超大意)といって、破滅が訪れるというあれだ。なかなかこれだけじゃ大抵の日本人はわからないと思うけど、今の世の中はググればすぐ調べがつくわけで、あえて訳注などは添えられていない。

September 18, 2015

ブロムシュテット指揮N響のベートーヴェン第1番&第3番「英雄」

●17日はサントリーホールでブロムシュテット指揮N響へ。プログラムはベートーヴェンの交響曲第1番と第3番「英雄」ということで、ブロムシュテットによる新たなベートーヴェン・シリーズがスタートした。これは3シーズンに渡るシリーズで、間に2016年のバンベルク交響楽団との来日公演を含むという変則ツィクルスになっている。
●弦楽器は対向配置。来月登場する首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィもそうだが、この配置が増えてきて、だんだん普通のことと思えるようになってきた。弦楽器も第1番は12型、第3番は14型で、コンパクトに。最近数シーズンに渡って聴いてきた同コンビの演奏と同様、筋肉質で推進力みなぎる音楽。テンポは速めだが、これももう特別に速いというものでもなくなってきたのかも。小ぶりな編成、快速テンポなど、外形的な特徴は少し前に行われたノリントン&N響のベートーヴェン・シリーズと共通するにもかかわらず、受け取る印象はまるで違う。ノリントンの魅力は饒舌さや当意即妙の機知といったところにあったが、ここにあるのはむしろ寡黙さ。純化されたエッセンスだけで音楽を成立させてしまう凄味を感じる。
●ベートーヴェンの交響曲第1番といえば、つい先日、山田和樹指揮日フィルで快演(怪演?)を聴いたばかり。36歳の新鋭が倍管巨大編成で20世紀風巨匠芸のような恰幅のいいベートーヴェンを聴かせる一方で、88歳の老巨匠が小編成できびきびとした演奏をするという、一見したところ裏返しのコントラストがおもしろい。演奏スタイルの新旧などというは容易に揺らぐものだし、多くの場合は振り返って後付けで語られるものという気もする。
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●明日からシルバーウィークなる五連休が出現。原則平日更新の当ブログは、不定期更新で。

September 17, 2015

サントリーホール開館30周年記念事業記者発表

サントリーホール30周年記念事業記者発表
●16日はサントリーホール開館30周年記念事業についての記者発表(サントリーホール ブルーローズ)。市本徹雄総支配人(左)、堤剛館長が登壇。30周年記念公演として多彩な企画が発表された。特にその柱ともいえる3つのフェスティバル、「チェンバー・ミュージック・ガーデン」「サマーフェスティバル」「サントリーホールフェスティバル」を中心に以下に要点を。
●まず室内楽のお祭り、「チェンバー・ミュージック・ガーデン」。2016年は例年より一週間長くなる。恒例のベートーヴェンの弦楽四重奏全曲演奏会には初の日本人グループとしてクァルテット・エクセルシオが出演。キュッヒル・クァルテットもふたたび登場し、全3回の「シューベルティアーデ」に出演。
●現代音楽祭のサマーフェスティバルは、板倉康明、佐藤紀雄の両氏が「ザ・プロデューサー・シリーズ」を担う。国際作曲委嘱シリーズはサーリアホをとりあげる。また、特別演奏会として、国際作曲委嘱シリーズ第1回作品である武満徹の2つのオーケストラのための「ジェモー」を、タン・ドゥンほかの指揮で再演する。
●秋の「サントリーホールフェスティバル」は豪華絢爛。「サントリーホール30周年記念ガラ・コンサー」にはメータと小澤征爾が指揮するウィーン・フィル、ムターが出演。「ウィーン・フィルハーモニー・ウィーク・イン・ジャパン2016」はメータが指揮。10月12日の開館記念日には「第九」を振る。内田光子の弾き振りによるマーラー・チェンバー・オーケストラ、ティーレマンがドレスデン・シュターツカペレを率いる「ザルツブルク・イースター音楽祭 in JAPAN」(目玉は「ラインの黄金」)等。
●ほかに共同主催公演としては、2月のバレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンのブルックナー・ツィクルス、5月のラトル指揮ベルリン・フィルのベートーヴェン交響曲ツィクルス他。
●さらに先の話だが、2017年の2月から8月にかけて改修工事のため休館となる。目的はハード面の機能向上ということで、経年劣化からの回復やユニバーサル・デザイン対応等が挙げられていた。半年以上のお休みということで、在京オケの定期会員にとっては気になるところだろう。

September 16, 2015

「一柳慧コンテンポラリー賞」創設

一柳慧コンテンポラリー賞●「一柳慧コンテンポラリー賞」という賞が創設される。「芸術音楽を基軸に、優れた活動を行っている音楽家(作曲家、パフォーマー、指揮者、評論家など)を対象に選ぶ」ということなので、作曲なら楽譜を、パフォーマンスや指揮ならDVDを、批評や論文なら原稿を提出するという異種格闘技方式(すべて過去3年以内に制作または発表されたものに限定)。一柳慧氏が審査を行い、原則1名の受賞者が決められる。賞金は100万円、年齢制限なし。事務局はカメラータ・トウキョウ内に設置されている。
●11月の一カ月間が応募期間という短期決戦で、応募申込料5,000円が必要。どういう種類の作品がどれだけ集まるものなのか。受賞者の発表は2016年1月初旬。

September 15, 2015

広上淳一&N響のドヴォルザーク8番、ノット&東響のマーラー3番

●12日昼はN響C定期へ。広上淳一指揮でラフマニノフのピアノ協奏曲第3番(ニコライ・ルガンスキー)、ドヴォルザークの交響曲第8番というプログラム。ルガンスキーは盤石のソロ。明瞭で端正だが情感に不足はない。鮮やかに弾き切って、間髪入れずにブラボー多数。ドヴォルザークは弦楽器の深く重厚な響きと鳴りっぷりのいいブラス・セクションが印象的な快演。ヴィオラのトップは川本嘉子さん? 以前にも感じたことなんだけど、NHKホールで聴くシーズン開幕のN響は、どこかサウンドがリフレッシュされているような気がする。気がするというのは「久しぶりのNHKホールだから」ということで本当に気がするだけかもしれないし、そうでないのかもしれない。
●この日はダブルヘッダーを敢行して、夜はサントリーホールでノット&東響。マーラーの交響曲第3番のみのプログラム。先日、「ノット時代があと10年続く」という驚きの記者会見があったばかりで、それでこの日のマーラーが並の演奏だったらどうしようという一抹の不安をどこかで抱えていたのだが、第1楽章が始まったとたんにそんな杞憂は消え去った。冒頭の決然としたホルンから豊かなすばらしいサウンド。張りつめた空気のなかから精彩に富んだ音楽が湧き出てくる。藤村実穂子さんの深く柔らかな声が別世界へと誘う。P席に女声合唱がいるのに児童合唱の姿が見えず、ビムバム隊はどこから出てくるんだろうかと訝しんでいたら、いつのまにか2階客席R側後方に陣取っていた。すぐ後ろから聞こえてきてびっくり。天使感、満載。終楽章最後の和音がとても美しい響きで聴き惚れる。ノットのソロ・カーテンコールあり。
●マーラーの3番について、思ったことあれこれ。その1。特に第1楽章だけど、第7番を先取りしているかのようなパロディ性を感じる。トロンボーンの長大なソロ、4人全員がピッコロに持ち替えるフルート・セクション、交響曲の第1楽章にしては休符の多い第1ヴァイオリン……。その2。冒頭主題の後、しばらくしてバスドラムが先導するのは葬送行進曲だろうか。だとすると、マーラーは第1番「巨人」第3楽章でも第2番「復活」第1楽章でも葬送行進曲を書いていて、この「書かずにいられない感」。さらに第5番の第1楽章も。その3。終楽章について。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第16番第3楽章へのオマージュといえばいいのか、パクリといえばいいのか。この楽章からはずっと強引なまでの肯定感を受け取っていた。あまりの力強さに猜疑心を覚えるほどの全面的肯定。ところがノットはプログラム冊子のインタビューで、これを「深い憂愁を帯びた幕切れ」と形容する。そういわれてみると、そう聞こえるだろうか。どうかな?

September 14, 2015

バッティストーニ&東京フィル、反田恭平

●11日は東京オペラシティでバッティストーニ&東京フィル。ヴェルディの「運命の力」序曲、ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲(ピアノ:反田恭平)、ムソルグスキー~ラヴェル編曲の組曲「展覧会の絵」というプログラム。前日の公演はパガニーニ・ラプソディに代わって、ラフマニノフ~レスピーギ編の「5つの絵画的練習曲」が入ったプログラムで、「展覧会の絵」の二匹目のどじょうを狙ったようなレスピーギ編曲もおもしろそうだったのだが、仕事のご縁もあった反田さんのピアノを聴きたくこの日に。チケットは完売。客席には若者の姿が多め。
●一曲目の「運命の力」序曲、冒頭のブラス・セクションの咆哮から重量感があって強烈。熱いだけでもなければ歌わすだけでもなく、細部まで確信に満ちた解釈を浸透させている感。この曲、終結部の直前で、たたみかけるようにアクセルを踏む演奏をつい期待するが、むしろブレーキを踏んで劇的な効果を生み出していた。パガニーニの主題による狂詩曲では、ソリストの思い切りのよい表現を堪能。俊敏さと陶酔の鮮やかなコントラスト。ホロヴィッツが愛用したというスタインウェイを用いての演奏で、きらびやかで清爽とした音が紡ぎ出される。ソリスト・アンコールでは上着を脱いで登場、「いっちょやってやるか」くらいの勢いでホロヴィッツ編「カルメン幻想曲」。フルスロットルで駆け抜ける特盛ヴィルトゥオジティ。やっと21歳になったところなんだとか。客席はドッと大喝采。
●「展覧会の絵」はラヴェルの洗練された華やかなオーケストレーションに焦点をあてるというよりは、むしろその向こう側のムソルグスキーの存在を強く感じさせる骨太の演奏。バッティストーニも28歳だからすごく若いはずなんだけど、すでに大家然とした風格を漂わせている。

September 11, 2015

第25回出光音楽賞受賞者ガラコンサート

●8日は東京オペラシティで第25回出光音楽賞受賞者ガラコンサート。出光音楽賞を受賞した本條秀慈郎(三味線)、三浦一馬(バンドネオン)、周防亮介(ヴァイオリン)の三氏が登場して、それぞれ秋山和慶指揮東京シティ・フィルと共演。普通のコンサートと違って、最初にきちんとした授賞式がある。3人とも演奏はもちろんのこと、司会者とのトークの部分もおもしろい。三浦一馬さんは16歳のとき、あこがれのネストル・マルコーニが来日すると知って、九州まで聴きに行き、そればかりかどうしても会いたい一心から打ち上げ会場の情報をキャッチして、寿司屋にいるマルコーニに突撃して、自分のバンドネオン演奏を聴いてもらったのだとか。それがきっかけとなって、弟子入りしてアルゼンチンに渡ることに。そのマルコーニ作曲のバンドネオン協奏曲「タンゴス・コンチェルタンテス」から第2、第3楽章を演奏。
●圧巻は周防亮介さんによるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲第1楽章。まだ20歳の若さだが、うまいだけではなく、むしろ味わい深い。スケールが大きく、歌心にあふれた堂々たるチャイコフスキー。驚嘆。第2、第3楽章も聴いてみたかった!
●今週末はオケ・ラッシュ。東フィル、N響、東響に足を運ぶ予定。

September 10, 2015

カンブルラン&読響の「トリスタンとイゾルデ」

●6日はサントリーホールでカンブルラン&読響の「トリスタンとイゾルデ」演奏会形式。15時開演で30分の休憩を2回はさんで20時終演の長丁場。しかし長さを感じさせない。きびきびとして、音楽がよどみなく流れ、粘らない。イゾルデ役がいつのまにかレイチェル・ニコルズに変更されていた。BCJで歌っている人というイメージだったんだけど、イゾルデも歌っていたとは。トリスタン役のエリン・ケイヴスともどもドラマティックというよりは、清新でリリカル。カンブルランも必要に応じてオーケストラを抑制して、詩情豊かなワーグナーを作り出していた。イゾルデをはじめ、アッティラ・ユンのパワフルなマルケ王、マーンケのブランゲーネ、石野繁生のクルヴェナルら歌手陣は充実。トリスタンはやや苦しかったものの、並外れた演奏を聴いたという実感。あ、イングリッシュホルンのソロがすばらしすぎて鳥肌。オルガン席のところで立奏。
●で、純然たる演奏会形式ではあるけど、やっぱり「トリスタンとイゾルデ」なので、つらつらと思う。ブランゲーネの秘薬というものがなかったとしても、トリスタンとイゾルデの間には禁断の愛が生まれておかしくないんじゃないだろうか。憎しみと愛は隣り合わせだし。あと、いつ頃からかこの話はマルケ王とトリスタンという完璧な愛で結ばれた二人の間にイゾルデが割って入る話としか思えなくなってしまったので、マルケ王の悲嘆はフラれた男のそれにしか見えない。イメージ的には男子校でいちばんモテてるトリスタンがいて、ベストカップルのマルケがいて、トリスタンに憧れて制服のボタンをもらっちゃうみたいなクルヴェナルがいる的な世界観。
●終幕、クルヴェナルが「てやんでい、てやんでい」と威勢よく啖呵を切ったところから、割とどうでもいい誤解がもとで、メロートも死ぬし、クルヴェナルも死ぬ。あまりの不条理に「命を粗末にしてはいけません」と言いたくなるが、基本的に話の根幹は「愛したい」と「死にたい」の物語的な二大欲望を描くところにあるのでしょうがない。

September 9, 2015

アフガニスタン代表vsニッポン@ワールドカップ2次予選

アフガニスタン●シンガポール、カンボジアと来て、第3戦は対アフガニスタン戦。うーん、正直言ってこれが2次予選の相手なのかと思うようなところばかりなのだが、なにせここまで1勝1分で来ているのだから、余裕はない。アフガニスタン相手に必勝態勢で臨まなければいけないニッポン。いや、W杯予選というのはそういうものではあるけれど……。アウェイの試合ながら、アフガニスタン国内での試合開催は困難ということで、テヘランでの開催。
●ニッポンの先発は前の試合から武藤を原口元気に変更。GK:西川-DF:酒井宏樹(→宇佐美)、吉田、森重、長友-MF:山口蛍、長谷部(→遠藤航)-香川(→武藤)-FW:原口、本田、岡崎。ザッケローニからアギーレ、ハリルホジッチと監督は変わってきたけど、結局欧州組を含めた先発メンバーはそう大きくは変わっていないんすよね。山口蛍はJ2に行っても、このベストメンバーで先発できるのだなあ。なお、キーパーは川島が現在所属クラブを見つけられていないので、今回の代表には呼ばれていない。もう欧州のシーズンが始まっているというのに。トホホ……。
●で、アフガニスタン。まったく未知のチームだったが、シンガポール、カンボジアと同様、ゴール前を固めてきた。ただ、これまでの相手と比べると、守備組織が整備されておらず、守って守り切れるチームには見えない。ピッチ条件は悪く、芝はデコボコのようだが、これもアフガニスタンにとってそれほど助けにはならなかった模様。前半10分に香川がエリア外から強烈なシュートを決めて先制、前半35分にはコーナーキックからの展開で森重がヘディングでシュート、キーパーが弾くもラインを割りそうなこぼれ球に対して本田が猛然とスライディングして中央に折り返し、ふたたび森重がシュートして2点目。後半には香川、岡崎、岡崎、本田とゴールラッシュが続いて、終わってみれば6ゴール。0対6でニッポンの圧勝となった。試合後、ニッポンの選手たちが笑顔で開放感に浸っていたのが印象的。
●選手交代で目についた点を強いて挙げれば、後半25分に右サイドバックの酒井宏樹を下げて、攻撃的な宇佐美を入れたということか。じゃあ、長谷部を右サイドバックに使うのかな?と一瞬思ったが、原口が入った。どうせほとんど相手は攻撃できないのだから、ディフェンスを4枚並べなくてもいいし、守備を固める相手に対するテストの意味合いもあるのかも。
●前の2試合はツキにも恵まれてなかった。サッカーでは運が大きく試合結果を左右する。極端に引いたチームを相手に攻めるときは特に。シンガポール戦、カンボジア戦、アフガニスタン戦は、内容は似たようなゲームだったが、結果がバラバラだったというのが自分の見立て。
●で、この後、10月にアウェイのシリア戦があるのだが、ここでようやく2次予選らしい相手と戦うことになる。現在シリアは3戦3勝でグループ首位。ニッポンは最初のシンガポール戦を引き分けてしまったため、シリアを追う立場になっている。ここまでの3試合はじれったいばかりでサッカーを見る充足感に乏しいゲームが続いたが、シリア戦は本当のバトルになるはず。

September 8, 2015

東京交響楽団記者会見、ジョナサン・ノット音楽監督の任期を2026年3月まで延長

東京交響楽団記者会見、ジョナサン・ノット音楽監督の契約を2026年3月まで延長
●昨日の東京交響楽団記者会見には驚いた。音楽監督のジョナサン・ノットは、なんと、2026年3月まで任期を延長。まさかのあと10年。実は記者に配布された資料には「2020年3月まで」とプリントされていた。これだったら3年間の契約延長だ。ところが、会見前夜になって、ノットはメールで「もっと契約を延長したどうか」という「クレイジーな提案」を伝え、東響もこれを了承して会見6時間前に「2026年3月まで延長」するという契約が実現した。
●ノットは言う。「昨日、モーツァルトを指揮していて、なんとすばらしい演奏なのかと思った。だったらなぜ3年間だけの延長に留めなくてはいけないのか。このオーケストラとの関係をもっと深めていかなければならない」。会見はミューザ川崎シンフォニーホールのステージ上で開かれた。通常なら楽員たちが座る場所に記者が座り、譜面台に会見資料が置かれている。「東京交響楽団とのすべてがエキサイティングで、クレイジーだ。この会見も! もう東京は自分にとって第二の故郷。ここにいるだけで大きな喜びを感じる。すばらしいオーケストラとコンサートホール、そして聴衆のみなさん」。
●なんでもノットは東京で家探しをしようかと考えているといった先走った話も飛び出してきて、並々ならない意欲で今回の決断に至った様子が伝わってくる。それにしても2026年っすよ! どれだけ未来なのか。今、充実しまくっているノット&東響コンビが、あと10年続く。いや10年もあればその間にはずいぶんいろんなことも起きるだろうけど、どんな形で両者の関係が成熟していくのか。東響の音楽監督は本当に音楽監督らしくたくさん登場してくれるので、長期の契約延長には重みがある。
●ノットの魅力のひとつはプログラミングの妙。2016年度のシーズンラインナップも発表された。たとえばシェーンベルクの「ワルシャワの生き残り」とブラームスの「ドイツ・レクイエム」が組み合わされていたり、リゲティとパーセル作品を交互に演奏してからR・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」が演奏されたりする。一方で、ブルックナーの交響曲第8番のみという重厚な選曲もある。個々のプログラムを見ると凝っている一方で、メイン・プログラムには案外とオーソドックスな定番曲がすえられていて(そういえばこの前の「運命」もスゴかった)、幅広い聴衆に受け入れられるものになっているところがいい。
●また、創立70周年記念事業として同コンビでヨーロッパ・ツアーを行なう。ウィーンをはじめ、5か国5都市。プログラムは2種類で、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(イザベル・ファウスト)、ショスタコーヴィチの交響曲第10番(東響日本初演作品)のAプロ、武満徹「弦楽のためのレクイエム」(東響が委嘱初演した作品)、ドビュッシーの交響詩「海」、ブラームスの交響曲第1番のBプロ。それぞれツアーに先立って国内でも演奏される。
●もうひとつ。2016年12月にはミューザ川崎と東京芸術劇場で、モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」(演奏会形式)も演奏される。ジョナサン・ノットがみずからハンマーフリューゲルを弾く。「私は演奏会形式のオペラが大好きなのです。聴衆のみなさんと向き合って演奏できるので」と、本当に楽しみにしている様子が伝わる口ぶり。なんというか、めでたい! そんな気分に浸れる会見だった。

September 7, 2015

山田和樹指揮日本フィルのミヨー、ベートーヴェン、イベール、別宮貞雄

●4日は山田和樹指揮日本フィルへ(サントリーホール)。ミヨーのバレエ音楽「世界の創造」、ベートーヴェンの交響曲第1番、イベールのアルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲(独奏は上野耕平)、別宮貞雄の交響曲第1番という凝ったプログラム。日本フィル・シリーズ再演企画第9弾として演奏された別宮作品を軸に、別宮が師事したミヨー、同時代のフランス音楽からイベール、別宮貞雄が敬愛したベートーヴェンから同じ交響曲第1番といったように各曲が有機的に関連付けられている。
●あまり聴けない曲をたくさん聴けるなあ!と思って聴きに行ったら、いちばんのサプライズはむしろベートーヴェンだったというまさかの展開。管は倍管、弦楽器は16型かな? 近年交響曲第1番でこれだけ大編成の演奏を聴く機会はないのでは(ノリントン&N響も倍管を好んで採用していたけど、第1番ではやってないと思う)。しかも編成が大きいだけではなく、随所に思い切りのよいデフォルメがあって、なるほど、これは他の演目の作曲年と合わせたものか、20世紀の往年の巨匠風の演奏スタイルを志したものなのだと納得。第2楽章冒頭の弦楽器をソロで演奏させるというのはなにか元ネタがあるのだろうか。いきなり首席第2ヴァイオリン奏者たったひとりで第2楽章がはじまって、背筋がゾクッとする。倍管で演奏される管楽器のパートにソロとトゥッティの対比が発生するのと同様の趣向が弦楽器にも採用されたともいえるか……。
●上野耕平独奏のイベールが鮮やか、軽快だけど豊麗。一曲目のミヨーからアンサンブルのなかに交じって登場。別宮作品は初めて。後期ロマン派風の入口から、アイロニーとロマンが混淆するフィナーレへ。

September 4, 2015

ニッポンvsカンボジア代表@ワールドカップ2次予選

ニッポン!●初戦でシンガポール相手にまさかの引分けに終わってしまったハリルホジッチのニッポン代表。続いてはホームでのカンボジア戦。これまでだったらどう考えても楽に勝てる相手で、むしろこの相手が2次予選でいいの?的なカードであるが、現にシンガポールに引き分けてしまっているわけで、「内容はともかく、勝点3を」と、あたかも最終予選に臨むかのような気分で試合を見た。
●そしたら、ホントに「内容はともかく、勝点3を」得たという試合だった。3対0。これはどう見ても5対0くらいで勝つべき試合じゃないか……という物足りなさは残る。メンバーはGK:西川-DF:酒井宏樹、吉田、森重、長友-MF:山口、長谷部-香川-FW:本田(→原口元気)、武藤(→宇佐美)、岡崎(→興梠)。90分を通して、カンボジアはチャンスどころか攻撃の機会そのものがほとんどなかった。ずっとニッポンが攻めて、カンボジアがゴール前に人を固めて守る。カンボジアがゴール前でボールを跳ね返すと、それをニッポンが拾ってまた攻める。ここまで極端に一方的なゲームはなかなかない。
●しかし、最初のゴールが生まれるまでが長かった。これだけゴール前に人がいたら、ディフェンスを崩しようがない。こういう相手に対抗するセオリーとしてはミドルシュートの有効性があるわけだが、まさにその通りの展開で前半28分に本田のミドル、後半5分の吉田のミドルが決まった。吉田のシュートは完璧。センターバックのミドルが決まるのはニッポン代表ではあまり記憶にない場面だが、ハリルホジッチの要求に沿ったプレイだった模様。後半16分には岡崎のシュートのこぼれ球を香川が蹴りこんでゴール。香川は前半終盤にただ触れば入るようなゴールを外していてなにかの呪いかと思った。あれは外すほうが難しい。後半の序盤で、ハリルホジッチは香川をサイドに出し、代わって武藤を高い位置に上げて岡崎との2トップに。このチームには控え選手を含めても屈強な長身FWタイプがひとりもいないので、策も限られている。
●で、こういう相手、かつてのニッポン代表だったら(トルシエ時代とか、もっと前の時代とか)7対0とか8対0で勝っていたと思うんすよ。でも最近だとなかなかそんなスコアは見られない。ニッポン代表選手のクォリティはあがっているんだけど、対戦相手のレベルの下限がそれ以上にあがっている感じ。アジアのこれくらいのランクの国って、以前は後半途中から足が止まって運動量の面でもメンタルの面でもほとんど無抵抗になりかけていたもの。でもカンボジアは本当に集中してよく守っていた。1点取られたら攻めるんじゃなくて、取られても守り続けた。どこまで耐えられるかをテストするかのように。最後まで規律を持って走りぬいたのは立派。

September 3, 2015

フォースの覚醒

●そろそろ夏も終わって、秋のコンサート・シーズンが開幕。今週末から怒涛の勢い、か。
●12月18日公開予定の映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」前売り券がセブンイレブンで独占販売されるのだとか。映画の前売券でコンビニに集客するという発想があるということに軽く驚く。
●「スター・ウォーズ」といえば、今年のベルリン・フィル・ヴァルトビューネ野外コンサートが映画音楽特集になっていて、ラトル指揮でメイン・タイトルが演奏されたのだった。ほかにも「ベン・ハー」とか「E.T.」とかいろんな曲をとりあげていたが、最初に20世紀フォックスのファンファーレを演奏してくれたのが大吉。やはり、これがないと。というか、ワタシの場合は最初に聴いたときの刷りこみで、このファンファーレが終わると間髪入れずに「スター・ウォーズ」メイン・タイトルが続くという流れを期待してしまう。もっとも、今や「スター・ウォーズ」はディズニーの配給となったので、今後は20世紀フォックスのファンファーレとは切り離されてしまうのだろう。
●舞台設定はエピソード6「ジェダイの帰還」の約30年後なんだとか。といっても、エピソード6で一通り話は閉じているわけで、どういう話にでもなりうる。旧3部作のハン・ソロ、ルーク、レイア姫らがみんな出演するそうだが、あんまり白髪だらけの同窓会みたいになってもなあ。ルーク、ないしルークの子がダークサイドに堕ちる、みたいなくだりはきっとありそう。

September 2, 2015

Windows Vista → 7 → 10 → 7

●少し前に、古いデスクトップPCに入っていたWindows VistaをWindows 7にアップグレードした。VistaではApple Musicを利用できないため、あえて今さらながらWindows 7のパッケージを買い求めたわけだが、これは大正解だった。全般にWindows 7はVistaよりも軽快で、洗練されている。Apple Musicも猛烈に活用中。
●で、Windows 7以降のPCはもれなくWindows 10に更新できることになっている。この太古のマシンにもアップグレード可能の通知がやってきた。サブマシンのノートPCではすでにWindows 10を便利に使っているので、だったらデスクトップも同じWindows 10にそろえてみようかと考え、思い切ってアップグレードしてみることに。これは案外スムーズに済んだ。Vistaから7にしたときには、シンボリックリンクが外れたり、一部のアプリケーションの再インストールが必要だったりしたが、7から10のほうはそういった些細な問題も起きなかったし、所要時間もより短かった。少し感動する。
●それから数日を経た今、ふたたびWindows 7でこのエントリーを書いている。Windows 10そのものはすごくいいと思うんだけど、さすがに非力な太古のマシンには荷が重かったようで、微妙にモッサリ感が出てしまい、Windows 10からWindows 7へのダウングレードを敢行した次第。これってアップグレードから一カ月以内だったらもとに戻せるんすよね。やってみたら、拍子抜けするほど簡単。10分もかからなかったんじゃないだろうか。もとに戻せるってすばらしい。

September 1, 2015

4連勝と俊輔と2ステージ制と

マリノス●ウソのような話だが、マリノスが破竹の4連勝。先週末は浦和相手に4対0の完勝。なぜかいつも浦和相手には相性が良くて、チーム力で相手が一枚も二枚も上という場合でも、あまり負ける気がしない(逆に相性が悪いチームもたくさんあるが)。ボール支配率は圧倒的に浦和が高かったと思う。前半が終わった時点で選手の走行距離が出て、両チームを通じていちばん走っていたのが中村俊輔(37歳)だと知って、くらっと来た。俊輔のアスリートとしてのピークははるか昔のことだと思うが、カッコよさのピークは今かもしれない。というか、かつてはカッコよくなかった。芸術的なフリーキックも決めた。ボールの軌跡が美しすぎる。
●で、4連勝してマリノスは何位になったのか。これが今季からのヘンな2ステージ制でわかりにくくなった。セカンドステージの順位は6位まであがった。年間順位は7位。似たようなものだが意味は違う。セカンドステージには優勝以外のご褒美はない。優勝者だけがチャンピオンシップに出場する。一方、年間順位のほうは3位までにチャンピオンシップの出場資格がある。
●しかし、ひとつのリーグ戦に、こんな2種類の順位表があるっていうのはどうなんすかね。いまだにチャンピオンシップ出場のレギュレーションも理解できていない。昨シーズンまではリーグ戦最終盤まで優勝争いがもつれるような熱い展開が続いていたのに、2ステージ制になってみるとリーグ戦から「優勝争い」そのものが消失したような気が。どんな結果になっても、結局これってチャンピオンシップ出場権争いにすぎないんだし、みたいな。昨季までの普通のリーグ戦が恋しい。

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