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worldcup2026: 2026年7月アーカイブ

July 24, 2026

ワールドカップ2026北中米大会をふりかえる

ワールドカップ2026 トロフィーリフト
●さて、忘れないうちにワールドカップ2026北中米大会をふりかえっておきたい。この大会に対する気持ちは複雑だ。大会のハイライトは準決勝でスペインがフランスを下した試合。技術と戦術がフィジカルモンスターたちを打ち破った。スペインが2度目の優勝を果たしたのはすばらしい。ただ、大会全体の後味はかなり苦い。決勝戦でのアルゼンチンの態度があまりに悪く、グッドルーザーからほど遠かった。昔からそういうガラのチームだけど、メッシまで主審を欺こうとしていたのは残念すぎる。で、優勝セレモニーでのスペイン代表のトロフィーリフトに、あろうことかトランプが割り込んでくるというトンチンカンな事態に。スペイン代表の前を徘徊し、インファンティーノにフレームから外れるように促されたのに無視して、最終的に横に立って、しっかりカメラのフレームに収まってしまった。どうするのこれ。と思ったら、後で見た写真ではトランプの姿が消えていて、AI、役に立ってるぞ!と感激したのだった。
●ずっと不要な試合だと思っている3位決定戦が、とんでもない乱打戦になって、イングランド 6-4 フランス。前半でイングランドが4ゴールを奪ったのに、後半、追いつかれそうになった。そりゃ10ゴールも入ればおもしろいにはちがいないけど、まるでエキシビションマッチのような大味な試合。
●アメリカ代表のバログンのレッドカード猶予事件はどうなるのか。でたらめだと思った。あと、決勝戦でアメリカ国歌が歌われたのも違和感あり。まるでアメリカの国内大会みたい。
●参加チームが32から48に増えた。FIFAは大成功だったと言っているが、観る側からすれば試合が多すぎるし、大会が長い。32に戻してほしい。でも、たぶん64になりそう。
●ハイドレーション・ブレークは事実上のクォーター制。その分、アディショナルタイムが増え、試合がますます長くなった。中継ではCMがたっぷり。不評を買って当然だろう。ただ、クォーター制には試合が見やすくなる、戦術的な工夫がしやすくなるなど、いい面もあると思っている。

July 20, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 決勝 スペインvsアルゼンチン

ニュージャージ・スタジアム
●ついに決勝戦だ。欧州王者スペイン対前回世界王者アルゼンチン。完璧なカードが実現したともいえるのだが、内容は一方的な展開になった。ボールを持って攻め続けるスペインと、守りながら39歳メッシの奇跡を待つアルゼンチン。アルゼンチンはもともとそういうチームではあるが、ラフプレイが目立ち、審判との駆け引きで試合を有利に運ぼうとする。メッシがいなかったらアルゼンチンなど応援しない。
●なにしろスペインは準決勝であのフランスを一蹴したのだ。アルゼンチンはボールを持てない。90分でスペインのシュートが20本、アルゼンチンは0。後半48分にアルゼンチンのエンソ・フェルナンデスが2枚目のイエローで退場。もともと劣勢なのに、さらに不利に。それでもアルゼンチンはキーパーのエミリアーノ・マルティネスのファインセーブもあって延長戦にまでもつれ込んだ。なお、ハーフタイムショーが既定の長さを越えて行われた模様。いろんなアーティストたちが登場し、ドゥダメルが指揮者として登場したのは目をひいたけど(背番号は1)、それまでのピリピリした試合の雰囲気からすると、かなり異質。このお祭り感、試合の前にやればぴったりなのに。
●延長前半6分、スペインは右サイドのクロスから、こぼれ球をニコ・ウィリアムズが押し込んでゴール、と思いきや、ファウルがあって取り消し。メリノがオタメンディを倒したということらしいのだが、映像で見てもファウルがあったようには見えない。主審のスラヴコ・ヴィンチッチは安定感のあるジャッジで巧みに試合をコントロールしていたけど、ここはオタメンディに欺かれた感も。アルゼンチンの2連覇というかメッシの2連覇を願っていたけど、もしこの試合内容でスペインが優勝できなかったら正義がなさすぎる。延長後半1分、右サイドからのクロスにファーでニコ・ウィリアムズが頭で折り返し、フリーになったフェラン・トーレスがズドンと蹴り込んで、ようやくスペインがゴールを決めてくれて、ほっとした。この日はメッシにもノーチャンス。スペイン 1-0 アルゼンチン。スペインは4大会ぶり2度目の優勝。国際試合38試合無敗、今大会通して失点はわずか1。すごすぎる。守りが強いというか、相手に攻める機会を与えない。勝者にふさわしい。
●試合終了後、「ノーサイド」とはならずに、アルゼンチンの選手とスペインの選手の小競り合いが続いて、後味が悪い。アルゼンチンは試合後もずっと態度が悪い。表彰式の場面で、トランプとインファンティーノ会長が出てくると、場内から一斉にブーイング。なんと、スペイン代表のトロフィーリフトの場面になってもトランプが選手の横に立ち続けて、あわててインファンティーノが退くように促すも、トランプは動こうとしなかった。今大会を象徴する場面だったと思う。

July 16, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 準決勝 イングランドvsアルゼンチン

アトランタ・スタジアム
●ワールドカップ準決勝のもう一試合はイングランド対アルゼンチン。この両者の対戦にはいろんなストーリーがある。最大の事件は1986年メキシコ大会でのマラドーナの「5人抜きゴール」、そして「神の手ゴール」だろう。もちろん「神の手ゴール」は今だったらVARで取り消されるだけだが。神は死んだ!(違) 1998年フランス大会では、ベッカムがシメオネの挑発に乗ってしまい、レッドカードで退場し、PK戦でイングランドは敗退。続く2002年の日韓大会でも両者の対戦があり、ベッカムが決勝点となるPKを決めた。で、今大会の対戦では、アルゼンチン代表にあのシメオネの息子、ジュリアーノ・シメオネがいる。スカローニ監督は期待に応えて(?)、シメオネを先発起用!
●試合は序盤からイングランドがハイプレス。だが、アルゼンチンもスペインばりのパス回しでプレスをかわして対抗。まったく五分の展開になった。因縁の対決とあってか、荒っぽい肉弾戦になってしまうが、アメリカの主審イスマイル・エルファスはラフプレイにカードを出さない。選手たちの小競り合いがたびたび勃発。つまらないレッドカードで決着しなければいいがと心配になるほど。前半は両チームともほぼ決定機がなかったが、中盤に下がってきたメッシに一瞬の鬼神プレーあり。ありえない39歳。ハイドレーションブレイクで恒例のブーイング。これだけ締まった試合を中断されるのは、観客席にとってストレスだろう。
●後半10分、イングランドは長い縦パスをロジャーズが受けて、右サイドからクロスを入れると、ファーに走り込んだゴードンが右足でゴール。人も手数もかけずに1点。膠着した試合だったが、入るときはこんなもの。ここから攻めるアルゼンチンと守るイングランドの構図に。イングランドのトゥヘル監督は5バックにして5-3-2でゴール前を固める。これに対してアルゼンチンは相手の中盤の3枚の脇からどんどんクロスを入れて攻勢を強める。なんだかニッポンvsブラジル戦を思い出す光景。これでは耐えきれないと、トゥヘルは5-4-1で中盤の枚数も増やして、なんとしても守り切るという布陣に。ところが後半40分、メッシがショートコーナーのリターンを受けてマイナス方向へのパス、これを受けたフェルナンデスが豪快なミドルを蹴り込んで同点弾。これでさらにアルゼンチンは勢いを増し、アディショナルタイムの後半47分、マックアリスターのミドルがポストを叩いて跳ね返ったところで、右サイドからメッシが右足のクロスを入れると、これがセンターバック間にポジションをとるラウタロ・マルティネスの頭にドンピシャで合って逆転ゴール。怒涛の逆転劇でアルゼンチンが決勝進出を決めた。激しくガッツポーズをくりかえすメッシ。選手たちの感情の高ぶりがすごい。アルゼンチンはエジプト戦での2点差からの逆転劇といい、ドラマティックな展開のゲームが続く。イングランド 1-2 アルゼンチン
●イングランド側から見れば、5バックにして守りを固めたら、連続失点して逆転されたのだから、トゥヘルの策は大失敗。当然のごとく監督批判の嵐になる。アルゼンチンはカウンターアタックに対しての守備が弱い印象があるので、5バックにしてもボールを跳ね返した後の攻め手があればまた違ったのだろうが、単純に防戦一方になってしまった。だから、まあ、失策なのかな。とはいえ、アルゼンチンの最初のゴールはコーナーキックからなので、布陣とは関係なくありそうなゴールともいえる。サッカーは結果論で語られがちで、トゥヘルの策で耐え切る確率はどれくらいだったのか。10回中8回成功したのか、5回成功したのか、1回しか成功しなかったのか。正解はだれにもわからない。

July 15, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 準決勝 フランスvsスペイン

ダラス・スタジアム
●みんなが見たかった対決が準決勝で実現。ここまでの大会を見て、最強と感じたのがフランス。エムバペという突出した個の力だけではなく、チーム全体としてのフィジカルの強さと速さは圧倒的で、このチームに対抗できる存在を想像できなかった。一方は現在の欧州王者であるスペイン。技術の高さはナンバーワンだとしても、フランスが相手となればパワーとスピードで劣勢なのは明らか。現代のハードワークするフットボールの世界で、ポゼッション前提のスペインがどこまでやれるのか、というのが試合前の見方。
●が、試合が始まって驚愕。そこにはスペインの超絶技巧連発のパス回しにフランスが手も足も出ないという、まさかの光景が。フランスのフィジカルモンスターたちがプレスをかけてくるというのに、スペインの選手は自陣でもするするとパスを回すのだ。ワンタッチパスの精度が異様に高く、さらに足元にぴたりとボールが収まる。そして、視野が広い。逆にフランスにボールを奪われても、ほかのチームなら一気にピンチになるところだが、落ち着いて対応する。すべての局面で相手を上回る技術の高さが前提となっているプレイぶりで、なんというか、勇気づけられる。もしこの試合でフランスがスペインを圧倒していたら、「結局、最後はフィジカルなのね」の結論が出てしまうところだった。スペインは世界中の妄想ゴールゲッターたちの夢を守ってくれた。技術上等!
●スコアはフランス 0-2 スペイン。前半、オヤルサバルがPKを決めたが、これはどうかと思うつまらないファールをとられたもの。一方、後半のペドロ・ポロのゴールはオルモとのコンビネーションからきれいにディフェンスを崩したビューティフル・ゴール。スペインの攻撃はスペクタクル。一方、フランスは攻勢に出た場面がほとんどなく、点差以上の内容の差があった。フランスのプレスにもっと連動性があれば、また違った展開になったとは思う。
●スペインのボール回しは往年の「ティキタカ」風味だったが、かつての「ティキタカ」は成熟度を深めすぎた結果、ボールを回す美しいサッカーから、やがてリスクを冒さない退屈なサッカーへと変貌した感があった。今のスペインも「ボールを保持している限りは相手に攻撃されない」というフィロソフィーでは共通すると思うけど、以前に比べると相手のゴールへと向かうプレーがずっと多く、見ていて楽しい。実のところ、EURO2024でもスペインは準決勝でフランスを破っている。そのときの決勝の相手はイングランドで、スペインが2対1で勝った。今大会でも同じカードが実現する可能性があるわけだが、それは明日の試合の結果次第。
●主審がエルサルバドルのイバン・バートン。日本対スウェーデン戦でも笛を吹いていた人だが、この日も基準に一貫性が感じられず、よくない意味で目立っていた。こんな重要な試合で笛を吹くのだからFIFAでの評価は高いのだろう。いつも「目立つ審判」という印象を持っている。
●会場のダラス・スタジアムには巨大なスクリーンが設置されている模様。インファンティーノFIFA会長が映し出された瞬間に、場内から大ブーイングがわき起こったのは痛快だった。インファンティーノは苦笑い。アメリカ代表バログンへのレッドカード猶予事件はまだ終わっていない。

July 11, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 準々決勝 スペインvsベルギー

LAスタジアム
●準々決勝の2試合目はスペインvsベルギー。どちらもスキルの高い好チーム。とくにベルギーはトランプ介入事件があっただけに応援したい気持ちにもなるが、だが、この試合の勝者がフランスと対戦するのだ。しかも一日休養日の長いフランスと。フランスを倒すチャンスがあるとしたら、スペインのほうだろう。試合が始まってみると、やはりスペインがベルギーを押し込む展開。さまざまなアイディアで相手の守備を崩そうとする。見ていて楽しいサッカー。
●前半30分、ポロとヤマルのワンツーから右サイドを崩して中央でオルモがシュート、その跳ね返りをファビアン・ルイスが決めて先制ゴール。ベルギーもさすがで前半41分に右サイドからのクロスに中でデケテラーレが競り合いに勝って頭で同点ゴール。後半、攻めるスペインと守るベルギーの構図が続くが、ベルギーのキーパーのクルトワが足に違和感を覚えて、交代。代わりに入ったのはマンチェスター・ユナイテッドの守護神センヌ・ラメンス。このクラスになると控えキーパーでもすごい人が出てくる。が、この日のラメンスはついていなかった。クバルシの強烈なミドルシュートをキャッチしようとして、手前にこぼしたところを、突風のように走り込んできたミケル・メリノに蹴り込まれて失点。これが決勝点になってしまった。実力者でも大舞台でミスをしたら、そこばかりがクローズアップされてしまうゴールキーパーの辛さ。スペイン 2-1 ベルギー
●ベルギーはクルトワの負傷交代の後、デブライネも足がつって交代。交代枠を予定外に使わされた印象。ベテランが多く、チームがかなり熟している。デブライネは35歳、クルトワは34歳、途中出場のヴィツェルは37歳、ルカクは33歳。ルカクはもともと大型選手だが、体がさらに大きくなった印象で、厚みがすごい。重戦車級の迫力。競り合えば無敵の巨体だが、ポストプレイでボールが収まるかというと、これがそうでもない。スペインは十分に対策を心得ている感じ。
●これで準決勝でフランス対スペインが実現。フランスのフィジカルやスピードに対抗するのはほとんど不可能に思えるんだけど、スペインだったらなにかを起こせるかもしれない。

July 10, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 準々決勝 フランスvsモロッコ

ボストン・スタジアム
●さて、本日からワールドカップは準々決勝。ここからはあっという間だ。会場はボストン・スタジアム。まずはフランスvsモロッコ。現在の強豪同士の対戦となったが、フランスが終始ゲームを支配。モロッコはたとえ相手がフランスであってもボール保持にこだわり、自陣深くで相手に囲まれていても落ち着いてボールをキープする志の高いサッカーをする。が、やっぱりそれだと奪われるのだ。モロッコの個の力も高いはずなのに、フランスはさらにその上を行く高さ。尋常ではない。スタッツに試合内容がよくあらわれていて、ボール保持率はほぼ五分五分なのだが、枠内シュートはフランスの10に対してモロッコは1。前評判通り、フランスは今大会で最強だと思う。前半にエムバペがPKを甘いコースに蹴ってキーパーのヤシン・ブヌにキャッチされるという場面があったが、後半にエムバペとデンベレがゴールを決めて、フランス 2-0 モロッコ。どちらも個人能力で決めた得点で、とくにエムバペのゴールは無から生み出したゴールといった感。防ぎようがないと思った。
●両チームともキックオフで、相手の陣地の奥深くにボールを蹴り出すスタイル。相手のスローインになってしまうので、一見、損に思えるのだが、この方式が大きく広がったのは(大島監督のマリノスもやっていた)、統計的なアドバンテージが明白にあるからなのだろう。つまり、キックオフからボールをつないだ場合と、たとえボールを相手に渡してでも相手の陣地の奥まで侵入した場合では、後者のほうが得点につながる確率が高い(あるいは失点する確率が低い)ことが、過去の統計の分析から判明しているのだと思う。一度、答えがわかれば、ほかのチームは自前で分析する必要はなく、まねをすればいい。実際、これは納得できる話なのだ。サッカーの本質は陣取り合戦なので、基本的に相手のゴールの近くでプレーしたほうが得。それから、オシムの言葉も思い出す。オシムは逆の立場から「自分たちのスローインでは、ピッチ上は必ず数的不利になる」と警句を発していたと思うが、まさにそういうこと。スローインは不確定要素が大きく、案外と危険な場面につながりやすい。
●が、一方でモロッコは、相手がこの作戦を採用したときの解決策も見つけているように思った。フランスがキックオフでボールを大きく蹴ってタッチラインの外に出したとき、モロッコの選手はあらかじめディフェンスラインを深くしておいて、即座にスローインをしてセンターバックの選手にボールを渡した。相手の選手が上がってくるより前にすぐにプレーを始めてしまえば、前述の統計的なアドバンテージはなくなるはず。味方と敵の選手が集まった状態でスローインをするからボールを奪われることがあるわけで、そうならないように準備しておけばいいわけだ。このキックオフ戦略はまもなく廃れるかも。

July 9, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 外国生まれの代表選手たち

●ワールドカップはベスト8が出そろい、準々決勝の前に一日のお休み。そこで、ロイターに興味深い記事が出ていたので、紹介しておこう。World Cup’s foreign-born recruitment doesn’t guarantee success という記事で、今回のワールドカップでは、大勢の代表選手がその国とは別の国で生まれた選手であることを伝えている(ブラウザが翻訳してくれるから日本語で読んじゃう)。26人の代表選手の内、何人が外国で生まれているか。たとえばキュラソー代表は25人が外国生まれ。というか、オランダ生まれ。コンゴ代表は22人が外国生まれで、そのほとんどはフランス出身。現在、勝ち残っているモロッコは19人が外国生まれ。ざっと見たところ、半数以上の選手が外国生まれのチームが9つもある。
●代表選手の供給元という観点から見るとフランスが最大で、アルジェリア代表に13人、コンゴ代表に11人、ハイチ代表に11人、セネガル代表に10人、コートジボワール代表に8人、チュニジア代表とモロッコ代表に6人ずつ……といった具合に大量の選手を送り出している。ある意味、真のサッカー大国。これはフランス出身者だらけのワールドカップなのだ。次いで、オランダ、イングランド、ドイツ、スペイン、ベルギーと続く。どれも強豪国ばかりで納得。そして、ヨーロッパとアフリカの境目はどこにあるのかという気持ちもわいてくる。
●このロイターの記事の見出しは「外国生まれの選手をリクルートしても成功は保証されない」というニュアンスだけど、自分はまったく逆の認識だ。キュラソーもコンゴもモロッコも大成功してるじゃないの。ワールドカップに出場している時点で大成功なのにね。
●アフリカのチームの多くがヨーロッパ出身者を多く含んでいるが、エジプトと南アフリカは例外。基本的に自国の出身者でチームを組んでいる。

July 8, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 ラウンド16 アルゼンチンvsエジプト

アルゼンチン●こんな壮絶な試合になるとは、だれに予想できただろう。W杯2026のラウンド16のアルゼンチンvsエジプト戦。DAZNの中継からも、試合前からアルゼンチンが勝って当然のような空気が流れていたかもしれないが、始まってみればエジプトが強敵であることは明らか。相手を恐れずにボールをつなぎ、守備は組織的で、序盤は五分の展開。前半15分にゴール前でヤセル・イブラヒムが頭で合わせて先制ゴール。あれ?と思うほどアルゼンチンの守備が淡泊。これで試合がおもしろくなったと思ったら、その4分後にアルゼンチンがPKを獲得。蹴るのは39歳のエース、メッシ。だが、これを失敗! コースが甘すぎた。実はメッシはよくPKを外す。謎すぎる謎。
●前半を1点リードで終え、後半は攻めるアルゼンチンと守るエジプトの図式が鮮明に。ところが後半13分、自陣深くでボールを奪ったエジプトは、ハッサンが超絶的な粘りのドリブルで右サイドを駆け上がって、中央でモスタファ・ジーコが決める鮮やかなカウンターアタックで2点目! しかし、これにVARが介入し、エジプトが自陣深くでボールを奪った時点でファウルがあったとして、ゴールが取り消されてしまう。えっ、そんなところまで遡ってビデオ判定するの?と、思う人は多いだろう。でも、これはJリーグでも同様にゴールが取り消されるパターンで、自分の理解では「疑惑の判定」でもなんでもない。少なくともJリーグではVARはAPP(アタッキング・ポゼッション・フェイズ)まで遡ることになっている(参照:VARはどこまでさかのぼれる?APPを徹底理解)。そして、そんな判定よりも、もっと痛快なことがある。なんと、後半22分に、ほとんど似たような形で、カウンターからモスタファ・ジーコが本物のゴールを決めたのだ! あまりにもアルゼンチンはカウンターを警戒していない。一度やられてVARに救われたのに、なにも修正しなかったらまた同じ形でやられたという形だ。
●さすがに2点差になったら、アルゼンチンも厳しい。あとはエジプトは守ればいい。このままエジプトが勝つと確信したが、後半38分からクリスティアン・ロメロ、メッシ、エンソ・フェルナンデスがゴールを決めて、まさかまさかの大逆転。アルゼンチンはベンチもサポーターも異常な盛り上がりに。メッシが力を振り絞って凄まじいドリブルでゴール前に切り込んでいく場面があったが、まだこんな爆発的な力が残っていたのかと驚愕。鬼神か。メッシはその直後にボレーで同点ゴールを叩き込んでいる。試合終了後、メッシは滂沱の涙。自分の感情を制御できない状態になっているようだった。こういう姿を見たら、メッシを応援せずにはいられなくなる。アルゼンチン 3-2 エジプト
●もう一試合のスイスvsコロンビアは0対0の延長戦の末、PK戦でスイスが勝ち抜け。これでベスト8が出そろった。準々決勝はフランスvsモロッコ、スペインvsベルギー、ノルウェーvsイングランド、アルゼンチンvsスイス。なんとなくこの並びは、最後のところがスイスではなくコロンビアだったほうが「きれい」で、PK戦で神様がうっかりまちがったような印象を受ける。いずれにせよ、偶然にも全カードが「優勝経験国vs初優勝を狙う新時代の強豪」の構図になっている。

July 7, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 ラウンド16 ポルトガルvsスペイン、アメリカvsベルギー

ポルトガル●ラウンド16の3日目はポルトガルvsスペイン。イベリア半島対決。この対戦カード、目にする機会が多い気がするが、いつも拮抗したゲームになる。直近7試合のうち、6試合が90分で決着がついていないのだとか。お互いにボールを保持して主導権を握ろうとするし、お互いに技術が高く、創造性が豊か。とても似ているが、決定的な違いはポルトガルにクリスチャーノ・ロナウドがいること。もう41歳。守備免除、ポジションはフリーのフィニッシャーだ。かつてポルトガル代表はクリスチャーノ・ロナウドが突出した能力を誇り、あとの選手たちは同レベルでプレイするのに苦労しているように見えたが、今では立場はすっかり逆転。クリスチャーノのところにボールが来ると、とたんにプレイが遅くなる。中盤に下がってボールを受けて、前に出してほしいところでも悠然とバックパス。サウジアラビアリーグでもこんなプレイスタイルなのだろう。フル出場。同じ「走らないレジェンド」でも、アルゼンチンのメッシ39歳がゴールを量産しているのとは対照的。
●後半、次第にスペインのポゼッションの時間が長くなり、ポルトガルは守勢に回る。よくがんばっていたが、後半46分、スペインが華麗に中央から崩してミケル・メリノがゴール。らしいゴールで試合を決めた。ポルトガル 0-1 スペイン。ブラジルのネイマールといい、ポルトガルのクリスチャーノといい、かつてのスーパースターの姿に寂しさを感じる。
ベルギー●もう一試合、アメリカvsベルギーは試合をフルに観戦していないのだが、とんでもない事件が起きたので記しておく。アメリカのエース・ストライカー、バログンは前の試合で一発レッドをもらい、本来ならこの試合に出場する資格はなかった。ところが、報道によればトランプ大統領がFIFAのインファンティーノ会長に電話をしたことで、出場停止処分に一年間の猶予が付いたのだとか。さっぱり意味がわからない。ベルギー側はFIFAの決定に猛反発。アメリカ以外のサッカー・ファンはみんな怒っていると思う。こんなにも堂々とルールを捻じ曲げて自国の利益を主張する姿勢にはあきれるほかないが、昨今、既視感のある現象でもある。アメリカのポチェッティーノ監督の意味不明な言い分にもがっかり。いっぺんでこの人が嫌いになった。
●だから、この試合にはぜひともベルギーに勝ってほしいと思っていたわけだが、期待通り、アメリカ 1-4 ベルギー。チーム一丸となっての圧勝だ。4点目を決めたルカクはゴールセレブレーションで電話をかけるポーズをとり、続いて謎の動きを見せた。あれは「トランプダンス」なのだとか。パンチが効いている。
●バログンは一度、決定機があったがキーパーに阻まれてノーゴール。アシストもチャンスメイクもなく、プレー機会も少なかったようだ。試合後、バログンはベルギーのガルシア監督のもとに行き、祝意を伝えたという。ガルシア監督はバログンに対して、この騒動に責任を感じる必要はないこと、ここまでのすばらしいプレーが台無しになってはならないと励ましたそう。バログンも犠牲者だ。「不当な利益を手にして苦しむ者がいる」ことを、権力者たちは想像できるだろうか。

July 6, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 ラウンド16 ブラジルvsノルウェー、メキシコvsイングランド

ブラジル●ラウンド16の屈指の好カードがともに月曜日の朝に開かれることに。まずはブラジルvsノルウェー。ニッポンに逆転勝利したブラジルだが、実はノルウェー相手に一度も勝ったことがない。以前、ワールドカップで対戦したときも敗れている(あれはグループリーグで負けても問題ない状況だったとは思うが)。で、今回のノルウェーはハーランドやウーデゴールといった攻撃のタレントを擁し、優勝候補の一角にも挙げられている。なんと、試合はボールを保持するノルウェーと、守ってカウンターをくりだすブラジルという展開に。まさか、ブラジルがそんな戦い方を強いられるとは。ノルウェーはブラジル相手にどんどんボールを回す。それが序盤だけではなく、一試合続く。ノルウェーのボール保持率は67%、パスの本数はブラジルの倍近く。ノルウェーは怪物ハーランドの個人能力で2ゴールを奪って、ブラジルを一蹴した。ブラジル 1-2 ノルウェー
●前半10分にブラジルが獲得したPKをギマランイスが決めていたら、違った展開になったかもしれない……いや、どうかな。高さで圧倒できるノルウェーだが、簡単にボールを放り込まず、可能な限りボールを保持する。後半34分にシンプルなクロスからハーランドが頭で決めて先制、後半45分にふたたびハーランドがペナルティエリア手前からズドンと豪快に打ち込んで2点目。攻撃の戦術はハーランド。ハーランドを見ていると、子どもの試合に大人がまじっているかのよう。規格外のフィジカル。ノルウェーが後半開始時に前線の両サイドを交代したのはどういう意図だったんだろう。予定していた交代なのか。
●驚いたのはアンチェロッティ監督が後半からネイマールを投入したこと。トップレベルでのプレイから離れて久しいネイマールが代表に選ばれたことも意外だったが、こんなに大事な場面で使うとは。そしてネイマール投入後に、ノルウェーが2ゴールを決めてしまう。これで試合は決まったと思ったが、アディショナルタイムの後半53分にブラジルがふたたびPKをゲット。VARで見ても「不要なPK」としか思えなかったが、PKキッカーはネイマール。なにかキーパーを煽った後、PKを決めて、その後、にっこりとして投げキッス。いやいや、あんた、いま負けようとしてるんだけど! 場違いも甚だしい。蛇足としか思えない茶番劇。アンチェロッティは稀代の名将だけど、こういうところはなんといえばいいのか。全方位的な配慮の一環? ともあれ、ブラジルは「伝説」の予感を漂わせないまま大会を去った。
メキシコ●もう1試合はメキシコvsイングランド。場所はメキシコのホーム、標高2240mのアステカ・スタジアム。空気が薄い。序盤から現代フットボールとは思えないほど選手間の距離が広く、ハイプレス合戦もコンパクトな守備陣形もなし。このスタジアムでメキシコは13年間負けていない。地の利は圧倒的にメキシコ。率いるのは元日本代表監督のアギーレ。優勝候補のイングランドも苦戦は必至。実際、「オーレ!」の掛け声とともにメキシコがペースを握っていたのだが、前半36分、サカのクロスにベリンガムがヘディングでゴール。ここはメキシコのディフェンスがルーズになっていたと思う。で、その直後、メキシコのボールロストからイングランドが攻めて、ふたたびベリンガムが2点目。この連続失点が痛かった。
●これで試合が壊れるかと思いきや、メキシコは魂のフットボールでキニョーネスが1点返す。さらに後半、イングランドのクアンサーが危険なタックルで退場。これで試合がおもしろくなるかと思いきや、メキシコは不用意なPKを与えて、ハリー・ケインが決めてふたたび2点差に。さらに場内の雰囲気に押されるように、こんどはメキシコにもPKが与えられて、ラウル・ヒメネスが決めて2対3。あとはメキシコが攻め続け、イングランドがよれよれになりながら守る時間が続いて、タイムアップ。メキシコ 2-3 イングランド
●感想を一言でいえば、メキシコの自滅か。地の利も数的優位もあったのに。イングランドは勝ち進んだけど、かなり疲弊したはず。

July 5, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 ラウンド16 パラグアイvsフランス

●さて、ワールドカップはラウンド16に突入。いつもよりトーナメントの試合数が多いので、決勝トーナメント1回戦を終えた時点でベスト16が出そろうことになる。開催国が3つとも残っているのは立派。ラウンド16の対戦カードは、カナダvsモロッコ、パラグアイvsフランス、ブラジルvsノルウェー、メキシコvsイングランド、ポルトガルvsスペイン、アメリカvsベルギー、アルゼンチンvsエジプト、スイスvsコロンビア。アジア勢は消えた。ドイツやオランダといった強豪国もすでに敗退している。山によってだいぶ大変さは違うのは確か。
パラグアイ●で、少し早起きしてパラグアイvsフランスを追っかけ再生で観戦。眠かったけど、試合を見たら目が覚めるかと思えば、さらに眠くなってしまうひどいゲームで、人によっては今大会最低のク○試合と呼ぶかもしれない。パラグアイは抜け目ない詐欺師のような戦い方を徹底した。5バックでベタ引きするのは問題ない。これも戦術のひとつ。ただ、ラフプレイを連発するのと、相手を挑発してレッドカードを誘発させようとしたり、審判との無用な駆け引きがあったりして、とてもVAR時代とは思えないクラシックな戦い方。最大の疑問はウズベキスタン人の主審で、パラグアイのラフプレイ連発に対して一枚のカードも出さなかった。
●ただ、ラフプレイや挑発を除けば、パラグアイの戦い方は一本筋が通っていた。5バックといっても両サイドバックによる攻撃参加を前提としておらず、本当にゴール前に密集地帯を作って、ひたすら体を張って守り続ける。でも、これじゃあボールを奪ってもカウンターも出せないじゃないの。と、思いきや、たまに前線の選手の驚異的なキープ力でチャンスの片鱗くらいは作り出す。もしかするとフランス相手に一泡吹かせるんじゃないか……と期待させる凄味があった。後半25分にエムバペのPKでフランスが先制した後も、かすかに期待感を抱かせたが、そのままタイムアップ。パラグアイ 0-1 フランス。試合が終わると両チームの選手たちは険悪な雰囲気に。パラグアイのキーパーがエムバペに握手を求めたが、エムバペは完全無視。試合中、エムバペはどんなに挑発されても、笑みを浮かべて相手にしなかった。
●フランスのPKの場面、キッカーはエムバペなのだが、デンベレがボールを持ってペナルティスポットに立った。パラグアイの選手たちはわらわらとスポットの周囲に集まり、スパイクで土を荒そうとする(やれやれ)。デンベレはパラグアイの選手がなにをするかわかっていて、土を守っていたのだった。
●前評判通り、フランスはおそらく最強のチームだと思う。こんなおかしな試合で負けなくてよかったと思うけど、心のどこかでパラグアイを応援する気持ちがなかったとは言えない。

July 3, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 決勝トーナメント1回戦 イングランドvsコンゴ

イングランド●この試合はしっかり見た! ワールドカップの決勝トーナメント1回戦の好カード、イングランドvsコンゴ。試合はお互いに主導権を握ろうとするチーム同士がぶつかり合うナイスゲームとして始まった。コンゴはグループリーグ第3戦のウズベキスタン戦で先制されながらも終盤に大爆発して逆転勝利を収めたチーム。当初は5バックを採用していたらしいが、ウズベキスタン戦の4バックの成功を受けて、イングランド相手にも4-3-3の攻撃的な布陣で立ち向かった。コンゴ代表といっても、プレミアリーグなどでプレイする選手たちから構成され、メンバーの大半はヨーロッパ生まれ。コンゴにルーツがあるが、ヨーロッパで生まれ、ヨーロッパでプレイする選手たちなのだ。当然、プレイは洗練されている。キーパーからボールをつなぐ際は、両サイドバックが高いポジションを取り、配給力のあるボランチが一枚、センターバックの間に下りてきて3バック調になる。序盤からすっ飛ばしてきて、なんと、前半7分にチペンガが左の浅い角度からキーパーのニアを豪快にぶち抜いて先制ゴール。
●この後もお互いに攻め合って、あわやコンゴの2点目もありえた。イングランドは個の突破力による仕掛けは有効なのだが、チーム全体としてのダイナミズムや連動性がもうひとつ。一部の選手は体が重そうに見える。後半の後半になると、イングランドが攻めて、コンゴが守る展開に。ここで決定的な役割を果たしたのが、イングランドのエース、ハリー・ケイン。後半30分、ふわりとした、なんでもないクロスに対して、するするとフリーになったケインがゴールから遠ざかりながらのテクニカルなヘディングで同点ゴール。さらに後半41分、ペナルティエリア手前からケインがぬるっと持ち込んで豪快な右足弾をゴール右上に突き刺して逆転。ほとんどチャンスとも言えない状態から、ケインが個人の能力で問題を解決してしまった。イングランドが逆転勝利。コンゴ側から見ると、ニッポンvsブラジル戦を思い出すような展開。
●後半だったかな、イングランドのトゥヘル監督が選手に対して激高している場面があった。どうやらスローインを後ろにした場面らしい。
●ハイドレーション・ブレークのブーイングはすっかり定着している。
●大半の選手が外国生まれなのはコンゴだけではない。強豪モロッコも同様。アルジェリアやカーボベルデ、チュニジア、セネガルなど、アフリカ勢の多くのチームでは外国生まれの選手が大勢選ばれている(例外はエジプト、南アフリカ)。かつてサッカー界にアフリカ脅威論が囁かれた時代があったが、実際にはアフリカ系の才能はどんどんヨーロッパに取り込まれ、ヨーロッパの代表チームのアフリカ化が勢いよく進んだ。すると、その次はヨーロッパで生まれヨーロッパで育成されたアフリカ系の選手たちが、ルーツのある国の代表選手に選出されるようになった。アフリカからヨーロッパへ、そしてヨーロッパからアフリカへ。だが、この後はどうなるのだろう。今、コンゴにルーツのある欧州の選手たちがコンゴ代表になれても、次の世代はもう親も欧州生まれになってしまい、コンゴ代表の資格を喪失するのではないか。そう考えると、コンゴの今後は難しい(←それ言いたかったの!?)

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