2009年12月アーカイブ

December 30, 2009

グッバイ2009

calendar_refile.gif●今年のベストCDとかベストコンサートを選ぶのも楽しいんだけど、もう少し大ざっぱな枠で振り返ってみた、2009年。
●まず録音。今年から、CDプレーヤーから音楽を聴くよりも、PC経由で聴く時間のほうが長くなった。非オーディオ者なので圧縮音源であっても気にしない。ただPC経由で聴くってのには2種類あるんすよね。一つは「CDを聴く」行為がそのまま「mp3を聴く」みたいに平行移動しているパターン。最初からデータを入手するにせよ、CDからリッピングしたものを再生するにせよ、やってることは同じで媒体が変わっただけ。もうひとつはネットラジオなんかでライヴを聴くパターン。こちらは圧縮音源がどうのこうのというレベルの音質ではなくて(もともと放送録音だし)、ライヴであること、新しいことに価値あり。
●で、PCから音楽を再生するのに慣れると、CDプレーヤーの電源入れたり、トレイを開いてCDを入れ替えたりするのがメンドくさいと感じるようになる。もちろん棚からCDを取り出すのもメンドくさい。人類として絶賛退化中。でも今のところPCに入っている音源より、CDのほうが圧倒的に多いんすよ。だからPCだと選択肢が少なすぎるわけで、それでどうするかといえばネットラジオに走る。まったく意味不明。なんのためにこれまでCD買ってきたのか。
●だから今までに購入したCDを全部PCにリッピングしたいと一瞬夢想するが、それはそれで困ることも多いわけで、こういう状態ってまさに過渡期なんだと思う。落ち着く先がどういう形態かはまだわからないんだけど、個人的にキーとなると思うのは、米国amazon mp3ストアが日本にも開放されるかどうかということと、メジャーレーベルがナクソス・ミュージック・ライブラリーみたいな定額ストリーム再生サービスを始めるかどうか、といったあたり。
●あとコンサート。今年は自分としてはたくさん通ったんだけど、「レコードからライヴへと変化する音楽産業」っていうイギリスの音楽産業事情と似たようなことを実感する場面も多々あり。CDが売れるのもコンサート会場だし。クラシック音楽の基本的な考え方として「生の演奏が本物であり、録音はその代替物である」といったものがあると思う、同意できるかどうかは別として。でも新録音が減って、録音だけでは音楽的な欲望を十分満たせなくなってくるからライヴに足を運ぶ、みたいな「録音の代替物としての生演奏」という逆流現象も都市部では起きてるんじゃないかなあ。
●これが進むと、地元で日常的に聴ける地元の音楽家の存在の重要性が増すことになる(年がら年中ウィーン・フィルやベルリン・フィルを聴いてられる人は少ない)。ネットワークによる音楽の流通が発達すればするほど、世界的メジャーによるパッケージメディアの支配力が弱まり、ドメスティックなものローカルなものに光が当たるようになる……というのが「風が吹けば(日本の)オケ屋が儲かる」理論。どうか。
●ネットは断然 Twitter。おもしろい。SNSでもありチャットでもありブログでもあり。「掲示板」じゃないところがいい。

December 28, 2009

ニッポンB代表?

ニッポン!●出遅れた話題だけど、記録という意味でもこれは書いておかねば。1/6のアジアカップ予選、アウェイのイエメン戦。Jリーグのシーズンオフなので本来両国合意の上で日程を動かす予定だったのが、結局AFCの許可が出ずに妙な時期に公式戦が行なわれることになってしまった。で、選ばれたのが若手中心、しかも代表未経験者だらけという実質B代表。大学生まで含まれていて、こんなに顔と名前が一致しないニッポン代表は初めて。

GK:西川周作(大分) 権田修一(FC東京)
DF:菊地直哉(大分) 槙野智章(広島) 太田宏介(清水) 吉田麻也(名古屋→VVV) 村松大輔(湘南) 酒井高徳(新潟)
MF:柏木陽介(広島→浦和) 乾貴士(C大阪) 金崎夢生(大分) 青木拓矢(大宮) 山村和也(流通経大) 山田直輝(浦和) 米本拓司(FC東京)
FW:平山相太(FC東京) 渡辺千真(横浜M) 永井謙佑(福岡大) 大迫勇也(鹿島)

●だれも予想しなかったJリーグ新人王、渡辺千真(カズマ)も初選出。城の持っていた新人ゴール記録を塗り替えたんだから、選ばれるのも納得。今のところワタシの理解では渡辺千真は日本人には珍しい「決定力のあるストライカー」。しかし見ようによっては「決定力しかないストライカー」ともいえる(笑)。パワー、高さ、スピード、テクニックいずれにおいても目立つものはないけど、オフ・ザ・ボールの動き、ディフェンスを背負ったときの体の使い方、シュートの正確性が並外れている、おそらく。
●Jリーグ移籍メモ。大分のGK西川周作→広島へ。名古屋のDF吉田麻也→オランダ・VVVフェンロへ。マリノスの左サイドバック小宮山尊信→川崎へ。これはマリノス者としては石川直宏以来の悲しい人材流出。小宮山が左サイドから中に切れ込んで豪快なミドルを決める場面を何度見たことか。
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●例年のように、年末年始の当ブログは不定期随時更新モードで。

December 27, 2009

映画「のだめカンタービレ最終楽章 前編」

のだめカンタービレ サントラ●映画館で観てきました、「のだめカンタービレ最終楽章 前編」。期待に違わぬ完成度。これはテレビドラマ版にも言えたんだけど、なにしろ話の筋はもうよく知ってるわけなんである、原作に忠実だから。それでも楽しめるというのは、やはりテレビドラマとしての作り込みがしっかりしているから(あ、映画か。でも映画館で観るテレビドラマだな)。思った以上にロマンス要素よりコメディ要素に比重が置かれていて、しっかり笑えた(いちばん笑ったところ→のだめの「空気読め」)。
●曲の使い方がうまい。ベト7が冒頭に使われるのはテレビと同じだけど、ちゃんと頭からやるんすよ。これも効果的。チャイコフスキーの大序曲「1812年」の場面も盛り上がったし、その後の本来歓喜の場面に「悲愴」終楽章をかぶせてのだめ一人の取り残された感を表現する演出も絶妙。終盤も「おっ」と思う曲が出てきたな。
●のだめのピアノはラン・ランが吹き替え。レーベルの枠を超えた豪華ゲスト登場。とはいえこの前編でのだめが弾くのは「トルコ行進曲」のみ。ラン・ランもそれらしくノーマルじゃない弾き方をしてくれている(かなり男性っぽいとは思ったけど)。
●プログラムを見ると、マルレ・オケのプレーヤーで役がついている人のプロフィールが乗ってて、これがかなり多彩。もともと音楽家なんだけど役者もやるっていう人が多いんだけど、たとえばあの気難しいコンマスの人は本業は翻訳家なんだとか。スキンヘッドのホルンの人は東響首席ホルン奏者のジョナサン・ハミルさん。
●千秋の指揮がうまくなってる(笑)。
●リアリズムの観点からはもちろんツッコミどころ超満載なんだけど、これラブコメだから。映画館は親子連れ多数。実写「のだめ」はファミリーで楽しめるラブコメなんすね。

December 25, 2009

爆食ダイエット

ケーキ爆食の刑●う~、ケーキ食べ過ぎた。最近白米の代わりにお粥を食べるという微妙なダイエット技を開発したというのに、ケーキ爆食してどうする。でも、ググるとやっぱり「ケーキダイエット」とかあるから実は痩せるかも。前にも書いたけど、世の中には「ポテチダイエット」も「カツ丼ダイエット」もあるわけで、人類なに食っても痩せる。
●ワタシはほとんどお酒を飲めないのであるが、ごくまれに食事の際にビールだのワインだのを一口飲むと、これが謎の満腹作用を及ぼし、著しくご飯が進まなくなる。結果的に食べる量が減ると思われるので、「飲酒ダイエット」はどうか。と思ってググってみたらやっぱりあった、飲酒ダイエット。人類なに飲んでも痩せる。
●メリクリ。

December 24, 2009

「全身音楽体験~大野和士と子どもたち~」12/26 教育テレビで放送

●NHKの年末特集番組をひとつご案内。「全身音楽体験~大野和士と子どもたち~」。指揮者大野和士さんと子供たちのワークショップを追ったドキュメンタリーで、題材となるのはストラヴィンスキーの「火の鳥」とドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」。子供たちは普通の都内の小学生で、音楽を聴いてその情景を自由に体で表現したり絵を描いたりする。
●秋に大野和士指揮リヨン歌劇場管弦楽団の「子供たちに贈るスペシャル・コンサート」(Sony Music Foundation主催)があったけど、それと並行して数度にわたってワークショップが行なわれていたんである。ワタシは取材で現場におじゃましたのだが、普通の子供がいきなりストラヴィンスキーの「火の鳥」を耳にしてどういう反応をするかとか、大野和士さんの子供との接し方の異様なうまさとか、ダンスをサポートするために登場したコンドルズ(サラリーマンNEOのテレビサラリーマン体操に出演してる方々です)の音楽と身体表現を自在に結びつけるワザであるとか、見どころ満載だったんである。
大野和士と子どもたち
●こちらは8月にNHKのスタジオで行なわれたワークショップの模様。大野さんが「火の鳥」をピアノでバリバリと弾きながら、コンドルズの近藤良平さんが子供たちを引き連れて怪しい動きを見せてます。最終的にどんな番組になってるかはワタシも知らないので楽しみ。録画しておいて、仕事納めしたらのんびり見ようかと。

全身音楽体験~大野和士と子どもたち~
12月26日(土)教育 午後3:00~4:30

December 22, 2009

DG Web Shop で DeccaおよびPhilipsの音源も購入可能に

●いつの間にか日本語ページもできているドイツ・グラモフォンのDG Web Shopが、さらにパワーアップ中。同じユニバーサルミュージック系列レーベルであるDecca(含む旧Philips)の音源も購入可能になっている。
DG webshop●といっても、デフォルトではドイツ・グラモフォンの音源しか表示されていなくて少しわかりにくい。まず検索窓にキーワードを入れると(たとえば Bartoliと入れてみる)、出てきた結果一覧の左側に Add Decca releases to search result とDECCAのロゴ入りで表示されるので、こちらをクリックする。するとDECCAに録音されたバルトリのアルバムがズラッと出てくる。
●旧PhilipsのアーティストもすでにDECCAに含まれる扱いになっているらしく、 Uchida とか Brüggen とか Ozawa も購入可能。
●価格は一枚モノで 10.99ユーロ前後(mp3/320k)。mp3でもiTunesなどよりは高音質だが、最近の新譜は FLACロスレスでもダウンロードできる。ロスレスなのでCDの中身と1bit違わぬ同一データ(のはず)。こちらは12.99ユーロと少し価格が上がる。
●なぜか日本からの購入はユーロ建て。国によってはドル建てで価格は同じなのだ(つまり国ごとに10.99ユーロだったり10.99ドルだったりする)。ドルとユーロの比率が1対1からどんどん離れてくるにしたがって国による価格差が大きくなる。
●なお、DECCAのアルバムには 7days stream(事実上の一週間レンタル?)が可能なものは少ない。このあたりも含めてトータルでレーベルを意識せずに使えるようになるとさらに強力。
●先日ご紹介したDG Radioクラシックのネットラジオと音楽配信リンク集に追加。まだベータ版だけど利用価値大と見た。

December 21, 2009

岡田監督の講演

●同時多発的にTwitter上で話題になっていた、「岡田武史氏が語る、日本代表監督の仕事とは」。早稲田大学で行なわれた講演なんだけど、これが大変にすばらしい。サッカー論としても指導者論としても。基本的な物事への立ち向かい方としても、なにかにもがき苦しむ人には勇気を与えてくれる、かもしれない。
●フランスW杯予選で加茂監督が解任されて、突然これまでなんの監督経験もなかった岡田コーチ(当時)が代表監督に就任することになったときのあの記者会見の模様とか、まだ十分生々しい記憶が残ってる。あのときのワールドカップ予選に対する国民的なプレッシャーは異常だったし(講演内容にもあるけど、サポがイス投げたり、電話帳に載ってた監督の自宅の電話に脅迫電話がガンガンかかってきたり)、キャリアの第一歩でいきなりあれほどの重責を担うことなんて普通ならありえない。試合やるたびに新聞には「日本代表W杯絶望!」みたいな。あの出発点があっての岡田監督なんだなと改めて思う。
●マリノス者として。講演中にある、最初の一年にまったく使われなかったミスターマリノス的な選手とは上野良治のことだろう。岡田監督が来ていきなりマリノスは2003年と2004年と連続して日本一になったんだけど、あれはサポ的にも本当に不思議な体験だった。運に恵まれた部分を別としても、自分たちのチームが強かったという実感がまったくなかった。当時はフィジカルの強い選手が多く、攻守ともにパワーで相手を圧倒できた一方、ボールを後ろからつないでゴールを決める場面が少なくて、嬉しいんだけどヨソのクラブに申し訳ないような落ち着かない気分があった。Jリーグとしてはこれってどうなのかな、と。黄金時代のジュビロのサッカーはヨソのサポもみんなうらやましいと思ってただろうけど、二連覇中のマリノスのサッカーに憧れたヨソのサポはいない(笑)。勝利はなにより価値があるという常識は本当に正しいのかどうかとかつい不遜なことを考えたりもするわけだ。でもその後マリノスは誰がなにをやっても冴えないシーズンが続いているわけで、どう考えても岡田監督が最高の監督だったはずなんである。でももう正直岡田監督には指揮して欲しくない。でも岡田監督の講演には感動したぞ……と延々と「でも」がぐるぐると繰り返される、そういう複雑な気分。

December 18, 2009

映画「シャネル&ストラヴィンスキー」(ヤン・クーネン監督)

シャネル&ストラヴィンスキー

●前に少しご紹介した映画「シャネル&ストラヴィンスキー」の試写を拝見。これは良いね。シャネルとストラヴィンスキーの二人の関係を描いた映画なんだけど、ストラヴィンスキーのかの有名な「春の祭典」初演シーンから始まるんすよ。20世紀の音楽史でもっともスキャンダラスなあの場面、1913年のパリ・シャンゼリゼ劇場でのロシア・バレエ団(バレエ・リュス)公演だ。タイムマシンがあったら、あの日に飛んで現場を見たいシーン、ナンバーワン。ストラヴィンスキー、ディアギレフ、ニジンスキー、ピットのオケを振るのはピエール・モントゥーだ(ちゃんとモントゥーっぽい髭の役者さんがすんごく苦心しながら棒を振ってます!)。「春の祭典」好きな人はこの冒頭シーンだけで感動するんでは。ワタシは鳥肌立った。たぶん、客席の騒動を過剰に演出していないところが成功してる。
●物語的にはココ・シャネルとストラヴィンスキーの恋が軸になっている。事前に一抹の不安を抱えていたんだけど、いやいや大丈夫。美しいものだけではなく、ちゃんと醜いものは醜く、憂鬱なものは憂鬱に描いてある。ストラヴィンスキーは当時もう結婚していたんである。幼なじみの従妹と結婚して、子供もいて、でも奥さんは病弱。奥さんは楽譜の校正もしてくれるし、誰よりもストラヴィンスキーの作品に的確な批評をしてくれる。でも夫は有名人になって、シャネルみたいなセレブのターゲットになっちゃう。よくある話だ。この奥さんがいいんだ(と奥さんに共感しながら見る)。ストラヴィンスキー(マッツ・ミケルセン)の人物像も味わい深い。音楽家としては天才なんだけど男としては凡庸っていう描き方だと解した。
●選曲も吉。「春の祭典」以外に、5本の指で、5つのやさしい小品、ソナタなど。
●最後の場面は多少わかりにくいかも。でもオススメ。冒頭がクライマックスなつもりでどぞ。2010年1月 シネスイッチ銀座、Bunkamura ル・シネマ他にてロードショー。

PHOTO(C)EUROWIDE FILM PRODUCTION

December 17, 2009

とりぱん 8 (とりのなん子)

「とりぱん 8」●ようやく「とりぱん」第8巻(とりのなん子/講談社)。いやー、今回もおもしろい。ストーリー性はなくて、身の回りの鳥ネタ、動物ネタ、田舎ネタが四コマメインで並んでいるんだけど、猛烈に楽しい。笑えて、かわいくて、キモい(毛虫軍団大発生事件とか)。今回は読者投稿ネタが冴えてて、道端に倒れてたハクセキレイのところにスズメたちがやってきて介抱した話とか秀逸。
●「とりぱん」の影響で、街の中とか公園とかでもつい鳥を目で追うようになってしまった(カラスとハトとスズメは勘定にいれず)。都内の住宅地でもそれなりにいろいろ見かける。ハクセキレイ、ムクドリ、メジロ、ヒヨドリ、オナガあたりかな。でも難しいんすよね、下から見上げてもどれもこれも陰になっててよくわからない。これはベランダとか庭にエサ台置きたくなるよなー。置かないけど。
●以前、公園のベンチで全身ハトだらけになってたオジサンがいて怖かった。餌付けしてたみたいだけど。

December 16, 2009

俊輔はベンチへ、柏木は浦和へ

●着信してないのに時々ケータイがブルッ!て震えるのは妖精のいたずら。
エスパニョール●最近あまりテレビ観戦できていないんだが、中村俊輔@エスパニョール、先週末のバルセロナvsエスパニョール戦を軽く録画再生してみたところ、出番なし。俊輔は先発したアトレチコ戦で大敗してから、2試合続けてベンチ・スタート。しかし俊輔を先発から落としたからエスパニョールがうまくいっているかというと、そうではなくリーグ戦は泥沼の5連敗。シーズン序盤は予想外の好スタートを切ったと思ったけど、気づいたら降格争いという厳しさ。俊輔が出ようが出まいが、このチームはゴールが少なすぎる。14試合で8ゴール(21失点)。うーん。
●国内はリーグ戦が終わって、フットボール界の話題は選手の移籍へ。広島の柏木陽介(22)が浦和へ。ああ、また浦和か……。でもこれはしょうがないんである。今季広島は4位と躍進した一方、浦和は6位。選手を売るクラブが買うクラブより上位に入ったのだから、選手が動くのは必定。柏木は一年契約だったので移籍金は発生しないが、23歳以下なのでトレーニング補償金はあり。このあたりが微妙。広島サポから見れば、柏木はユース育ちなんだから昨年複数年契約を拒まずに移籍金も置き土産にして欲しかったところだろう。一方で柏木のほうはJ2落ちから昇格までずっと戦って、J1で4位まで来たんだからやるべきことはやり遂げた感もあると思う。

December 15, 2009

世界一YouTubeで視聴された日本人ピアニスト小林愛実、EMIからデビューへ

●以前、YouTubeで話題になって世界中から爆発的なアクセスがあった(なんと400万ビュー)小林愛実ちゃんが、いよいよEMIクラシックスからCDデビュー。ていうか、大人と子供の時間の流れは違うからびっくりするわけなんだけど、動画で小学生だった子がもう14歳で中学生っすよ! デビューCDはベートーヴェン「ワルトシュタイン」、ショパンのスケルツォ第1番&第2番他でDVD付き。EMIの特設サイトはこちら。
●で、昨晩サントリーホール小ホールにて、その小林愛実ちゃんのミニリサイタル&プレス発表会あり。CD収録曲から何曲かを披露してくれたんである。もちろんうまい。そして曲に没入して弾くタイプで音楽的にも視覚的にも表情豊か。そこまでは予想通りだったんだけど、演奏が終わってからの質疑応答でびっくり。もうメチャクチャにキャラが立ってる! 椅子に座りきれないくらいの大勢の聴衆を前に、まったく緊張もしないし人見知りもせずに、まるでクラスメイトとおしゃべりするみたいに話す。「音楽以外で好きなのは~、食べること。あと寝るのが好き」。本番前だろうといつでもどこでも昼寝できるとか、さっきまでバリバリ弾く天才少女だったのに、のび太くんみたいなこと言い出すし(笑)。
おめでと~う。終演後みんなから祝福を受ける●放っておくと先生と二人で漫才状態。「練習は、うーんと、一日4時間って決まってるんだけど~」「あなた4時間もしてないじゃないの」「えー、4時間って言っておけばいいじゃん」。朴訥とした親しみやすい語り口に、客席がどっとわく。絶対テレビでウケる。愛されキャラと確信。

December 14, 2009

神童モーツァルトが弾いたヴァイオリン

モーツァルト・キンダーガイゲ●11日(金)は六本木の国立新美術館へ。ザルツブルク国際モーツァルテウム財団他の主催による記者会見で「モーツァルトの神童ヴァイオリンを聴く会」。当時6歳のモーツァルトが最初に手にしたヴァイオリン「モーツァルト・キンダーガイゲ」の日本初お披露目。楽器は1746年製作で、子供用の4分の1サイズと2分の1サイズの中間の大きさ。オーストリア国外に持ち出されたのはこれが初めてなんだとか。
●楽器を弾いてくれたのは14歳の松本紘佳さん、チェンバロは小林道夫氏。チェンバロとヴァイオリンのためのソナタ ハ長調K6および同ニ長調K29の初期作品から抜粋で演奏してくれた。楽器の音は……そうだなー、音そのものがなにかを語るわけじゃないけど、これを実際にモーツァルトその人が手にしていたということを考えるとあまりに歴史の重みがありすぎて非現実的な気分になるというか。演奏した松本紘佳さんの感想は「とても温かい音がする楽器」。
松本紘佳さんと小林道夫氏
●記者会見にはOTTAVAさんもいらっしゃっていて、音声を収録していた。なので、そのときの演奏を少しだけオンデマンドで聴くことができる(OTTAVA amoroso for weekend 12/13 番組なかほど)。ご関心のある方はどぞ。記者会見での録音なので雰囲気だけでも。

December 11, 2009

DGラジオ(ベータ版)など

ラジオ●ドイツグラモフォン・レーベルが静かにスタートさせたDG Radio(β版)。これもネットラジオの一種ということになるのかな。DGのアルバムが次々と流れる。メニューは先方が選ぶのだが、たとえばこのディスクはそんなに聴きたくないから次のにスキップする(あるいは前のにもどる)とか、同じディスクの中でトラックを進めたり戻したりするのは自由。ただしポーズ・ボタンはない(ラジオだから当然といえば当然だが)。ベータ版のためか、ワタシの環境だとpianoチャンネルはうまく動作しない。通常チャンネルは無問題。

DG Radio (Beta Version)
http://dg.freshdigital.co.uk/pages/dg/radiotile.jsp

●いろいろな新しいサービスがどんどん始まるなあ。基本線としては音源はパッケージとして購入するものから、iTunes的なダウンロード購入を経て、無料または定額でストリームを聴くものへと変化しつつあるように思う。
●なにもかもがそうなるという話ではなくて、ライトユーザーは無料でなんでもストリーム、でも特定の需要が発生する比較少数のユーザーが(アーティストのファンだから手許に所有したい/資料として保持したい)、ダウンロードしたり、パッケージを購入したりというピラミッド型のイメージで。いや、「ユーザー」じゃなくて、正しくは「ファン」だな。「カスタマー」は勘弁。

December 10, 2009

エンリコ・オノフリ/チパンゴ・コンソート@紀尾井ホール

●紀尾井ホールでエンリコ・オノフリ/チパンゴ・コンソート。オノフリの音楽は「びっくり」が満載なんだけど、まさか音を出す前にこんな「びっくり」があったとは。オノフリ、超ダイエットして20キロ減量。誰それ! 今回共演するチパンゴ・コンソートのリーダー杉田せつ子さんのブログに写真が載ってるので、見るのが吉。精悍かつにこやかにお蕎麦を食べてます(左)。この頃とえらく違うんすけど。
●ヴィヴァルディもモーツァルトもたっぷりの眩暈感を満喫。昨年、ヘンデル・フェスティバル・ジャパンで来日したときよりも、オノフリのやりたいことがアンサンブルに伝わってたんじゃないだろうか。そして「四季」ってこんなに描写的で、しかもダンサブルな音楽だったのだと改めて実感。ていうか、「四季」はいつもそうなんである。この約一年くらいの間に聴いた「四季」はほかに寺神戸亮&レ・ボレアード、ビオンディ&エウローパ・ガランテ、カルミニョーラ&ヴェニス・バロック・オーケストラがあって、みなスタイルはそれぞれなんだけど、いちいち驚く。媒介するアーティストは違っても全部同じ「四季」で、源にあるのはヴィヴァルディ(そりゃそうだ)。天才。
●3年前かな、「ラ・フォル・ジュルネ」で最初にオノフリを聴いたときと同じことをまた感じたんだけど、どんな新鮮な演奏、未知のアプローチに接したとしても、それを「最初はびっくりしたけど、もう手の内は読めた」とか「誰それを聴いたときに比べれば驚きはない」と感じたとき、ワタシは1ポイントを失う。多くを「なんだ、それなら知っている」に収める方法論は効率よく失点を積み上げることにほかならない。大量失点して退屈な人になることを防ぐために、ディフェンスを敷くことが必要になる。知らない音楽、新鮮な感動がワタシにとってはディフェンス、よく知ってる何度も聴いたCDの名演奏を繰り返し聴くほうがオフェンス(逆ではない)。オフェンスは失敗したときでも得点がないだけで失点はしないんすよ。サッカーと同じで、まずディフェンスありきで、それがうまくいったときにオフェンスの機会が生まれるというのが個人的原則。
●本日もう一公演あり。弾むような気分で楽しめますように。

December 9, 2009

ゾンビと私 その14 「高慢と偏見とゾンビ」

●お便りです。「拝啓 iio様。もうゾンビの話は飽きました。そろそろ妄想もほどほどにして、現実の世界に目を向けてみてはいかがでしょうか。敬具」
●ちがーーーう! なんということであろうか、ゾンビの脅威を現実のものとしてとらえていらっしゃらないとは。先日もとあるコンサートで暴れだしたお客さんがいてレイジ・ウィルスの仕業ではないかと思ったのであるが、えっと、あれ、メモをなくしたぞ、どのコンサートだったか、とにかく世界はゾンビ化しつつある。インターネットがどうとか、仮想現実ばかりに目を向けてちゃダメだ。今、世界はゾンビ。ワタシだけじゃないし、日本だけでもない、世界的にゾンビ。
高慢と偏見とゾンビ●で、これが今ウワサになってるベストセラー本、「高慢と偏見とゾンビ」だ(Seth Grahame-Smith, Jane Austen / Quirk Books)。これはなにかというと、ジェーン・オースティンの名作「高慢と偏見」とゾンビが合体したという、ムチャクチャな話(らしい)。「高慢と偏見」のあのステキすぎるお上品な世界に、突如、ゾンビが乱入してくる。果たしてダーシー様はゾンビと勇敢に戦うのであろうか、あるいは醜いゾンビに成り果ててリジーを襲うのであろうか。すでに映画化権も売れたという。そして、朗報。1月には二見書房より邦訳「高慢と偏見とゾンビ」が出版されるんである。このどうでもいいエキサイティングなゾンビ小説、読まずにはいられない。
●だれかオペラ化したらどうかな。あるいは「トリスタンとイゾルデとゾンビ」とか。「ロメオとジュリエットとゾンビ」とか。「オルフェオとエウリディーチェとゾンビ」……あれ、これは意外とフツーか、黄泉の国にゾンビがいてもなあ。

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不定期連載「ゾンビと私」

December 8, 2009

ヘンデル「リナルド」@BCJ

ヘンデル、ヘンデル、ヘーンデル!●東京オペラシティで鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンのヘンデル「リナルド」(演奏会形式、12月6日)。これは楽しかった。「リナルド」というと、えーと、あのアリアが突出して有名じゃないっすか。あれ、なんて言ったっけ、いきなり度忘れしたぞ、「流れよわが涙」じゃなくて、うーん、あっ、そうだ、「私を泣かせてください」だ。でもそれ以外は冗長なんじゃないかと心配してたら、ぜんぜんそうじゃなくて、むしろサービス満点で愉快。
●物語に文学的な味わいなんかないんすよ、道徳的なお話で。その代わりに劇場に来た人を退屈させないためのさまざまなギミックにあふれている。ビシャーン!って雷鳴が轟いたり、嵐が吹いたり、小鳥がさえずったり、魔女が出てきたり、変身があったり、バトルシーン(バッタリア)があったり……。小鳥のさえずりは初演時には本物の鳥を放ったそうなんだけど、それって山っ気たっぷりの見世物小屋的なセンスっすよね。こういうのが18世紀初頭のロンドンにはあったわけだ。このセンスを20世紀に継承したのは主に映画とかテレビなのかも。愉快であるがゆえに客席で笑う瞬間っていいな~。
●先日Twitterでもつぶやいたけど、ヘンデルのオラトリオ「時と悟りの勝利」を聴いていたら、途中でおなじみ「私を泣かせてください」が流れてきたんすよ。調べてみると「時と悟りの勝利」のほうがオリジナルで、ヘンデルは「リナルド」にこの曲を流用したと。というか「リナルド」は流用だらけ。ハノーファーからロンドンに初めて渡ったヘンデルは、当地での最初のオペラとしてわずか2週間でこの曲を書いた。短期間に絶対に成功するオペラを書かなければならない、となれば、旧作から自信作を何曲か借りてくるのもわかるし、初めてのお客さんにもウケのよいわかりやすい仕掛けを施すのも納得。ヘンデルの(そして興行主の)サービス精神の豊かさ、聴衆へのフレンドリーさがすばらしい。
●魔女ってよく出てくるじゃないですか、ヘンデル。ヘンデルだけじゃなくて去年聴いたハイドンの「騎士オルランド」にも魔女アルチーナがいた。みんな魔女が大好き。彼女たちの子孫が「魔笛」の「夜の女王」なのか。あと変装で登場人物が入れ替わるネタも大好きっすよね、数百年にわたって。
●魔女アルミーダを歌ったのはレイチェル・ニコルズ。パワフルでなんか厚かましい魔女感ありでステキ。2幕で「私を泣かせてください」を歌うお姫様役は森麻季。アリアの後に盛大な拍手。というか2幕が終わった時点で、まるで終演したかのような熱烈な拍手があって、お客さんの喜びっぷりもマックス。

December 7, 2009

リーグ戦今季終了

●Jリーグをはじめ各ディヴィジョンとも一通り終了したので、今季結果についてまとめを。
●まずJ1。鹿島が史上初の三連覇。三連覇などというものを許してしまった時点で、他チームすべてのサポにとって屈辱。今回なにが悔しいかと言えば、途中で彼らは大連敗してるんすよ。8/29の大宮戦から10/17の磐田戦まで、2分5敗。7試合も勝てなかった。なのに優勝されたという、圧倒的な対抗馬の不在。本来なら川崎が初タイトルを獲って、新時代の到来を迎えるという展開もありだったと思うが、途中でサッカーの神様の逆鱗に触れてしまったのかもしれない。でも、天皇杯は川崎が優勝すると予想。
●で、柏、大分、JEF千葉がJ2へ。J2からは仙台、セレッソ大阪、湘南が昇格。入れ替え戦がないのは歓迎。気がつくとJ2では鳥栖や水戸がもう古参クラブみたいな雰囲気になっていて、下位には最近までJFLにいたチームがずらり並ぶ。サッカーファンでもJ2のクラブを全部そらで挙げられる人は少ないのでは。12位から順に岐阜、富山、熊本、愛媛、横浜FC、栃木、岡山と続く。横浜FCを別とすると、近年昇格したクラブばかりが並ぶわけで、J2の上位と下位の間の溝はくっきりと深い。
●J2にはJFLから唯一4位のニューウェーブ北九州が昇格(来季よりギラヴァンツ北九州と改名。なんだか怪獣みたいで強そう)。なぜ4位のクラブかというのは前に書いた。これでJ2は九州・四国だらけになる。大分、鳥栖、福岡、熊本、北九州、徳島、愛媛。札幌はアウェイ戦がしんどそう。
●そしてさらに下、地域リーグからJFLへの昇格をかけた戦いもあった。なんと、松本の松本山雅vs日立栃木ウーヴァSCに1万人のサポが集まったとか! これはスゴい。だって勝ってJリーグにあがるのならともかく、JFLに上がるんだから。JFLなんて普段観客800人とかで試合してるのに。この全国地域サッカーリーグ決勝大会は試合数が多く、毎年超過酷な消耗戦になるのだが、今回は1位松本山雅と2位日立栃木ウーヴァSCがJFLに昇格決定。おめでとうございます。ていうか栃木はすでにJFLからJ2に1クラブ昇格したのに、またJFLにひとつできるのか。問題は3位のツエーゲン金沢(地元出身者だけが笑えるネーミングとして以前より一部でクスクスと話題)。JFL昇格をかけて、JFL17位のFC刈谷(アマラオがコーチ兼選手で在籍)と入れ替え戦を行なう。ホーム&アウェイなのでお近くの方はぜひ。日程は本日発表予定。
●以上、「ニホンのサッカー、1部から4部まで」のコーナーでした(なにそれ)。

December 6, 2009

ワールドカップ2010南ア大会組合せ抽選会

南ア2010●ド深夜に生中継を見てしまった、ワールドカップ2010南ア大会組合せ抽選会。いやー、楽しいっすよね、こういう抽選は。ドキドキした。で、結果から言うと、開催国南アに「抽選の神」は訪れなかった。だって、シードから漏れたフランスが南アのところに来て、うまい按配に最強国が分散されたんだから。つまり、抽選はガチであってインチキはない……いやいや待てよ、フランスがうまい具合に一緒になったからこそインチキくさいという見方もあるわけだ(笑)。疑心暗鬼になってりゃキリがない。
●ニッポンはオランダ、カメルーン、デンマークの組。全世界のフットボール・ファンのほとんどから見て、この組はニッポンがぶっちぎりで最弱。オランダは優勝候補の最強国。無尽蔵にスターが出てくる人材の宝庫。強いだけじゃなくオープンで美しいフットボールを目指す。フィジカルも強い。世界ランク3位。デンマークは基本的にオランダと同じ哲学を共有しているチームだと思う。ブラジルだろうがスペインだろうが、デンマークには楽に勝てない。カメルーンはアフリカ最強国のひとつで世界ランク11位。最前線でエトーが中澤やトゥーリオにプレスをかけてくるなんて現実離れした光景だ。こんな強いチームとばかり対戦できるんだからラッキーなんだろう、ニッポンは。
●フツーに考えりゃワールドカップは世界32ヵ国しか参加できなくて、そのうち決勝トーナメントに進めるのは16ヶ国だけなんすよ。そこに世界ランク40位台のニッポンが参加してるんだから、どの組に入ったって3戦全敗してもおかしくないって。しかも参加国中、勝てそうな相手(ニュージーランドとか北朝鮮)は、全部自分たちと同じポットに入ってるから、絶対に同じ組には入らない。
●でもそんなこと、いいじゃないっすか。ワールドカップはお祭り。辛気臭い顔して「ベスト4」とか言わなくたって、世界のスーパースターたちが集っている、それだけでワクワクするし、そこにまぜてもらえるんだから猛烈に嬉しい。2002年の日韓大会のときだって、各国のサポはみんなお祭りモードで楽しそうに来日してた。ワールドカップは、予選まではブーイングでも椅子投げでもなんでもありの戦い、でも本大会はお祭り。それでいいじゃん、せめて世界ランクベスト16くらいに入るまでは。

Group A : 南アフリカ、メキシコ、ウルグアイ、フランス
Group B : アルゼンチン、ナイジェリア、韓国、ギリシャ
Group C : イングランド、米国、アルジェリア、スロベニア
Group D : ドイツ、オーストラリア、セルビア、ガーナ
Group E : オランダ、デンマーク、日本、カメルーン
Group F : イタリア、パラグアイ、ニュージーランド、スロバキア
Group G : ブラジル、北朝鮮、コートジボワール、ポルトガル
Group H : スペイン、スイス、ホンジュラス、チリ

●今回極端な「死のグループ」はない。ただグループDが厳しい。4ヵ国ともベスト4を狙える。世界を驚かせるダークホースは米国、オーストラリア、パラグアイと見た。

December 4, 2009

「トスカニーニ~大指揮者の生涯とその時代」(山田治生著)

トスカニーニ●ワタシはまったくトスカニーニ体験がなくて、モノラル録音しか残ってない人はしんどいから原則聴かない派という困った者なんである。でももうトスカニーニくらいになると録音の聴く聴かないを別として歴史的人物っすよね、だってオーケストラ・プレーヤーとしてヴェルディに指揮された経験があって、なおかつ指揮者としてヴェルディに演奏を聴いてもらったことがあるなんて、もう本当に歴史。指揮者一人の存在を超えて時代を知るという意味でも(特にトスカニーニは長命だったから)、その生涯について知っておいたほうがいいだろう、で、山田治生さんからご献本いただいた新刊「トスカニーニ~大指揮者の生涯とその時代」(アルファベータ刊)を今読みはじめたところなのだ。訳書ではなく山田さんの著書。大指揮者トスカニーニの評伝である。
●すごいっすよね、トスカニーニのデビューは。えっ、そんなの知ってる? いやいや、そういうものでもないでしょう。18歳で歌劇場オーケストラのチェロ奏者をしていたわけだ。作曲家を目指してて、ピアノも超絶バリバリ弾けて、でもチェロが本職。で、ブラジル公演の際に無能な指揮者のおかげで騒動が起き、指揮者がいなくなる。今晩の「アイーダ」、どうしよか。そこで、「あのチェロの若者なら『アイーダ』を完全に暗譜しているから指揮をさせよう」という話になるところがありえない展開。オペラのスコアをまるごと暗譜してるチェロ奏者という存在も、その若者に運命をゆだねようというみんなも、現代からすると現実離れしている。
●しかもそこでセンセーショナルな成功を収めたにもかかわらず、トスカニーニはイタリアに帰るとまたピットのなかのチェロ奏者をやってる。もちろん才能は隠しようがなく、ふたたび指揮台に上ることになるわけだけど、それが19、20歳の青年なんだから「のだめカンタービレ」の千秋真一以上に荒唐無稽な話かもしれない。スカラ座音楽監督就任が31歳だもんなあ。そういう意味では28歳でLAフィル音楽監督になったドゥダメルには伝説的存在になる可能性がある、のか?

December 3, 2009

流行語大賞から「森ガール」落選!

●おかしい。おかしいですよ、これは。流行語大賞のどこにも「森ガール」が見当たらないという謎。うーん、どうしてかな、周りは「森ガール」の話題で持ちきりなのに。そして、このトップテンに上がってる「こども店長」ってなんのこと? どこかのお店で子どもを働かせたら、その子が超優秀な働き者でお店の業績がガンガン上がってハッピーみたいなことがあったのだろうか。「草食男子」はわかる。草食ってるよ、みんな、男はあちこちで。「ファストファッション」、わからない。ファストフードみたいにうまみ調味料かかってるファッション? 「ぼやき」ってなに? ていうかそれ、「つぶやき」とまちがえてないか、時代はTwitterだよ。えっ、「政権交代」。どこ?
●世間から置いてきぼり感、全開。まあいいか。
●ナクソスさんからは「森ガール」のためのクラシックアルバムを音楽配信限定リリース。ほら、やっぱり「森ガール」だー。タイトルに「森ガール」って使っちゃダメなの?

森のスケッチ。 *little melody for a natural girl* (iTunes)

森の生活●じゃあ森ガールのための必読書ということで、ソローの「森の生活」でどうか。森ボーイでも可。というかソローが森ボーイなのか。

PIANO STYLE●もっと楽しく「弾きたい」人のためのピアノ楽譜誌(っていうキャッチコピーの)
「ピアノスタイル」12月号の特集「ハイライトだけ弾くクラシック名曲選」の原稿を書いた。テレビや映画でおなじみのピアノ名曲について、冒頭数小節の楽譜+曲紹介を載せてつまみ食いしようという快楽度の高い企画。1曲につき150字の原稿だったので、まさにTwitterの「つぶやき」の制限文字数とほぼ同じ。体感的になじんでて吉。
●東急沿線フリーマガジン「SALUS(サルース)」今月号、ワタシの連載は「アヴェ・マリア」がお題。一般向け。沿線各駅、Bunkamura、東急百貨店他で配布中。

December 2, 2009

ワールドカップ南ア大会抽選会~心の準備編

●いよいよ抽選である。そう、5日午前2時にワールドカップ南ア大会グループリーグの組み合わせ抽選会が行なわれるんである。で、あの抽選であるが、知ってる人はよく知ってる、知らない人はぜんぜん知らないように、まったくのランダムで選ばれるわけではなく、強豪国のシードだとか同じ大陸別のポット分けみたいなルールがある。手っ取り早く言えば、ニッポン代表は、シード国+欧州+南米またはアフリカ勢という組に入る(と予想される)。というわけで、ぜひ試してみたい、2010 FIFA World Cup South Africa 抽選シミュレータ。秀逸。
●まず試してみたところ、こうなった。

GroupB ブラジル、カメルーン、ギリシャ、日本

●うーん、どう考えても0勝2敗1分で上出来。最強の王国、アフリカの強豪、元ヨーロッパ・チャンピオン相手じゃせいぜい勝点1、順当なら勝点0だ。悔しいのでもう1回やってみた。

GroupD スペイン、チリ、オランダ、日本

 余計に厳しくなったよ! スペインとオランダって優勝候補二つ入ってて、それに南米の古豪だ。勝点1で上出来、すごくがんばれば勝点3もあるかもしれないが、グループリーグ突破は全人類的にスペインとオランダで決まりって雰囲気になる。悔しい。悔しすぎるからもっとやる。

GroupA 南アフリカ、チリ、デンマーク、日本

 これだっ! いやいや、わかってますよ、これでも勝点1とか勝点0の可能性が十分高いことは。でも開催国と同組になるほうが、どう考えたってブラジルやらスペインよりはまだマシ。しかもこういう組み合わせだと日本以外のチーム同士の対戦でつぶしあいが起きて混戦模様になり、僅差で日本が2位になることだってあるかもしれない(あくまで他のグループに比べてという話だけど)。
●ニッポン代表が開催国と同組になる確率は8分の1だ。ニッポンの現実的目標はまずグループリーグで1勝をあげること。そしてもしももしも決勝トーナメントに進めたら、こんなに誇らしいことはない。そのためにはまずこの8分の1の狭き門を狙いたい。
●あ、でもそもそもあれが「本当に抽選なのか」っていう疑問もあるか(笑)。テレビで公開してるから抽選だと思うわけだけど、昔からいろんなことが言われてて、たとえば抽選人が箱の中から手探りでボールを一個選ぶみたいな方式のときだと、実はボールは一個だけ冷やしてあるのが入ってて、それをつかむように仕組んである、なんてウワサがあるわけだ。もしそうだとしたら、南アは日本を選ばないはず。おそらく、アジア・オセアニア・北中米のポットからは、ニュージーランドか北朝鮮を選択する。ここは南アにとって勝点3を得ることが必須の最弱ポットなので、勝利を確実にするために大会に慣れていない国を選ぶだろうから。

December 1, 2009

「アイーダ」@METライブビューイング

古代エジプトMETライブビューイングの新シーズン第2弾は「アイーダ」。80年代以来のソニヤ・フリゼル演出による超豪華プロダクションで、みんなが「アイーダ」に期待するようなスペクタクルは全部詰め込まれている(ただし象は出てこない。馬なら出るけど)。壮麗な舞台装置。戦士とか奴隷とかエキストラも大勢出てくるし、エキゾチックなバレエもあってサービス満点。幕間のインタビューや舞台裏紹介も相変わらず楽しい。
●キャストはヴィオレタ・ウルマーナ(アイーダ)、ヨハン・ボータ(ラダメス)、ドローラ・ザジック(アムネリス)。強力である。そして最近のライブビューイングでは珍しいくらい、全員水平方向に体格が立派。こういった容姿と役柄の乖離については、前作「トスカ」では「ジャイ子化されたトスカ像」と解釈することですっきりと納得できたが、今回の「アイーダ」はそうはいかないんである。「トスカ」でのカリタ・マッティラとは違い、アムネリス歴20年のザジックのシリアスな演技に対して、客席から笑いが起きることはない……。伝統的なオペラの舞台だから。
●「アイーダ」ってアムネリスの物語なんだなと改めて思った。このオペラで人間的に苦悩する魅力的なキャラクターは彼女だけ。前半はスペクタクルでドラマが霞みがちだけど、後半に描かれる王女アムネリスの人物像は本当に味わい深い。自分を拒絶する男に対して、権力を振りかざして「あたしを好きになれ」と要求する。自分と結婚しなかったら生き埋めの刑、でも結婚すれば将来の王位だって手に入れられる。これほど有利な取引を求められたのに、男は「死んでもお前といっしょになるのはイヤだ。ていうか事実死ぬし」と拒絶する。こんな屈辱はない。でもいざ男が死ぬとなると、彼女は祭司たちに必死に減刑を乞うわけっすよね。じゃあ減刑になってラダメスが死刑にならなかったとしても、あんたどうするのよ、決してあの男は自分のものにはなりゃしないよ。でも助けてやってほしいと願う愛。愛が深い、いや欲が深いともいえて、人間は悲しい。
●アムネリスに比べると、アイーダやラダメスの言動は首尾一貫してなくて、その場しのぎの選択をしてきた人たちに見える。特に第3幕でのアイーダと父アモナズロのやり取り、ラダメスから機密事項を聞き出す場面には、この父娘の身勝手さがよくあらわれている。終幕でラダメスとアイーダが地下牢に閉じ込められてもあまり同情できない。むしろアイーダがどうやってひそかに地下牢に潜入できたのか気になる。ワープ? もしラダメスが生き埋めの刑じゃなくて、たとえば象による踏み付けの刑とかになってたら、アイーダはひとりで閉ざされた地下で餓死か窒息死することになってたんすよ! そんな愛なんてない。勇者ラダメスと敵国の王女アイーダとの悲恋よりも、アムネリスの報われない愛。堪能。
●12月4日まで各劇場で公開中。上映劇場一覧はこちら

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