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2010年7月アーカイブ

July 30, 2010

「巡礼」(橋本治)

巡礼●もう昨年の本だけどようやく読んだ、「巡礼」(橋本治著/新潮社)。ゴミ屋敷に暮らす孤独な老人の物語。この迷惑きわまりないジジイを取材しようとやってきたワイドショーのレポーターと、あまりにもフツーのオバサンすぎる近所の主婦との会話で始まり、いったいゴミだらけの家に住んでる偏屈ジジイはどんなヤツなのかと思ったら、なんと、それはワタシのような人物だった、いつどこに住むどんな男であれなり得たであろう頭のおかしな老人。
●描かれているのはワタシの世代よりひとつ前の人々が見てきた昭和の光景なのに、どうしてこんなに既視感があるんだろか。昭和一桁世代の主人公が少年時代からたどってきた道筋は、「戦後」という新しい時代が世の中を激変させるのと重なる。そこで実家の荒物屋(ってわかる?)を継いで、時代の波に乗るでもなく黙々とまじめに生きてきた男が、なぜゴミ屋敷の主になってしまうのかというところになんの不思議も感じさせない。男はみんなこんなもん。この老人と、ごく当たり前の人生を送る弟の間にある違いは、「めぐりあわせ」だけ。ほんの少しの偶然とか小さな決断の違いでどれだけでも道が分岐しうるのは今だって同じだろう。
●第3章「巡礼」は美しすぎるファンタジー。天ぷら食べる場面が泣けるじゃないっすか。もしこれがオペラだったとする(なにその唐突な仮定)。すると、イジワルな演出家はこの第3幕で舞台の端っこにベッド(いや布団か)を置くんだろな。主人公はゴミ屋敷の中で横たわって独り意識混濁となり、最後に弟と巡礼する夢を見ていただけでした、みたいに。

July 29, 2010

遅く来るか、早く帰るか

●昨晩は「フェスタサマーミューザKAWASAKI 2010」で、下野竜也指揮読売日響。R.シュトラウス12歳の作品という珍しい「祝典行進曲」と、交響詩「英雄の生涯」。会場に着いたらプレトークの模様がモニターに映し出されていて、なぜか「宇宙戦艦ヤマト」のテーマが聞こえてきた。指揮者は白衣だし謎。「ヤマト」は「英雄の生涯」と英雄つながり? とりあえずワタシはTwitterでのデスラー総統のつぶやきを思い出したんだが。
●このプログラムは休憩なしの短時間プログラム。その分、開演を遅めに設定して20時開演という勤労者フレンドリー仕様(この音楽祭は公演によって開演時間やプログラムの長さが違っていて、ぜんぶがこうなっているわけではない)。
●「ラ・フォル・ジュルネ」だけではなく、一公演が短いコンサートというのが目立って増えてきた。短めといっても本当に短時間のものもあれば、今回みたいに「祝典行進曲」と「英雄の生涯」やってアンコールも一曲やってくれればかなりの満足感は得られるわけで、実質休憩なしが利いて短時間な場合もある。オーケストラの普通の定期演奏会でも、たとえばマーラーの6番「悲劇的」1曲だけみたいに、休憩なしで大曲のみだと、かなり早く終わる(先日のアシュケナージ/N響はテンポがとても速かったので、特にそう感じた)。
●これとコインの裏表みたいな現象だと思うんだけど、通常の2時間クラスのコンサートで、終わるとすぐに帰るお客さんが明らかに増えたと感じるんすよ、10年スパンくらいで見ると。つまり、カーテンコール1回くらいでみんな拍手しててもさっさと席を立って帰る。終電とかじゃなくて、純粋に早く帰りたい(きっと)。
●いま「もう少し一公演の時間が短めであってほしい気分」があるのかなあとうすうす感じてるんだけど、イマイチその確かさに自信がない。

July 28, 2010

WOWOW ノンフィクションW 「岡田武史の挑戦~監督という職業~」

WOWOW●WOWOWで岡田監督のドキュメンタリー番組を見た。インタビュアーは主に久保田光彦氏。岡田監督はスペイン・リーグの中継に招かれたときもそうだが、WOWOWでは地上波とはずいぶん違った表情を見せてくれる。ワールドカップ終了直後、南国でリラックスしながら率直に思うところを述べてくれたという感じ。いかにもな回答を強要するつまらない質問もなくて吉。
●ワールドカップ前は「大会が終わったら、監督業は引退して、農業やって晴耕雨読の生活をしたい」的な発言が伝えられていたけど、この番組を見る限り、まだまだ監督やる気十分っぽいっすね。代表監督よりもクラブチームの監督をやりたい、と。ワールドカップのためにいろんな犠牲を払って持てる能力のすべてを注ぎ込み、やり残したことはなにもないという岡田監督が、大会が終わって感じたのは「寂しさ」。常に高い目標に挑戦せずにはいられないという人なのかも。
●印象に残ったのは、ベスト16に勝ち残ったことで、むしろ世界とのレベルの差を痛感したという話。つまり、日本代表はいろいろな巡り合せや偶然の力も働いて、あの大会では奇跡的にチーム一丸となって、最強に強まっていた。でも、そんな最強に強まった状態のニッポンでも、ワールドカップではパスを回されてしまう。もしあんな特別な状態が訪れていなかったら、どれだけニッポンはやられていたことか。そして、もしスペインやオランダがニッポンみたいに猛烈に団結して戦っていたら、どんなとんでもないサッカーが生まれたのか(と語ったとき、岡田監督が見たこともないくらいの笑顔を見せた)。
●周りになにを思われようと自分の信念を貫く、家族さえ信じてくれればそれでいい、っていう代表監督としての覚悟は壮絶。きっと自分と身内以外は全員ゾンビ化した国に生きるみたいなバイオハザード状態だったにちがいない。
●次はどこの監督に就任するのだろうか。ウチ(マリノス)はかつて散々お世話になったので、もうお互いに十分かなと思うんすけど。

July 27, 2010

「もやしもん」9 (石川雅之著)

「もやしもん」9●買い忘れていた「もやしもん」9巻 (石川雅之著)をゲット。「こんなにやたら文字と理屈の多い農学部マンガがよくヒットしたよなあ」と感心するのであるが、今回はさらに強まって文字と理屈が多い。歓迎。これが原点というか。菌類たちも登場するし、お茶とか食糧自給率とか農薬とか漬物とかキノコとかテーマもおもしろいし、学園ドラマ的展開は薄味だし、相変わらず女性キャラは区別付かないしで、大変すばらしい。
●菌類はニンゲンのことを「ホモサピ」って呼ぶ(笑)。かわいい。
●第1巻で入学した主人公はこの9巻まで来てもまだ1年生の12月なのかあ。なんという密度の濃い学園生活なのだ……と思ったが、よく考えてみると研究室で起きること以外になにも起きてない学園生活ともいえる。なんかこの研究室の雰囲気とかいいんすよね、なにかと泊り込みになったりする感じとか。

July 26, 2010

なぜかネズミ軍団

●昨晩のバイロイト音楽祭「ローエングリン」生中継、また今年も途中まで、寝支度などしながらラジオ的に付き合った。第1幕までかろうじて聴いて就寝。白鳥の騎士の名前は今年もまた明かされることがなかった。あ、「今年も」って今年が初めてか。
●このハンス・ノイエンフェルス演出の「ローエングリン」、こんな感じの写真(その1その2)があるんすけど、なんでみんなネズミなんすかね。
●ミッキーは出てきません(たぶん)。
●明日、7月27日(火)は以前にもご紹介した「小倉貴久子×大井 浩明フォルテピアノデュオ モーツァルト クラヴィア協奏曲全曲プロジェクト」の第2回公演(自由学園明日館講堂)。モーツァルトのピアノ協奏曲を作曲順に2台フォルテピアノで演奏するということで、今回は第11番、第12番、第13番、第14番の4曲。一般的な大コンサートホールでの協奏曲を日産スタジアムで観戦するサッカーとすれば、こちらはフクアリとか西が丘とか小さな専用競技場で観戦する試合。ぐっと親密な空間で聴く協奏曲は新鮮。当日券もあり。
●週末フットボール短信。テレビ中継でマリノスvsガンバ大阪。思い切りガンバに攻め込まれて、中身は到底ほめられたものじゃなかったと思うが、後半ロスタイムに天野のゴールで1-0、まさかの勝利。17歳のストライカー、小野裕二がチーム最年少となる初先発。他の全選手がかすんで見えるような逸材。その小野のパスに後ろから長い距離を走ってきた天野が追いついて、浅い角度からゴールマウスのニアに蹴り込んだ。これも見事だった。それにしてもマリノスの試合は見ていてしんどい。なんというか、危うくて見てらんない。俊輔? 出てた。高品質なご隠居プレイ。

July 23, 2010

バイロイト音楽祭ネットラジオ中継など

ワーグナー●今週末よりバイロイト音楽祭が開幕。また今年も欧州各局が生中継してくれる。例によってoperacastに Bayreuth 2010 特設ページができているので、中継予定はこちらを参照するが吉。時刻はGMT表示+9時間で日本時間。おかかさんの「ウェブラジオでクラシック音楽ライブ」も大いに頼りになる。いつもありがたく使わせていただいてます。
●まずは7月25日(日)の「ローエングリン」から。指揮はアンドリス・ネルソンス。今秋のウィーン・フィル来日公演をサロネンとともに指揮する注目の若手。1978年生まれだから、今年32歳か。ラトヴィア人。ネルソンスは2011年の「東京・春・音楽祭」でも「ローエングリン」を指揮することが発表されている(こちらは演奏会形式)。METライブビューイング「トゥーランドット」にも登場してて、そのときの幕間インタビューでラトヴィア国立歌劇場オーケストラの元トランペット奏者だったという経歴が披露されていた。
●「ネルソンス」と「ネルソンズ」で表記が揺れてたけど、そろそろ「ネルソンス」で決着付けたい。ウィーン・フィル来日公演がそっちだし。
●しかしサッカーにしてもコンサートやオペラにしても、生中継となると時差がキツいっすよね。この「ローエングリン」も23時スタートだから、頭のほうだけは聴けても、とても最後までは付き合いきれない。生をあきらめてしまえば、たぶんBartók Rádióのアーカイブを後日拾えるか。どこかBBCみたいにユーザー・フレンドリーなスタイルでアーカイブを残してくれたらなあ。
●今年は映像付き有料中継はないのか?
NHKの生中継は8月21日(土)の「ワルキューレ」なので、まだ先。

July 21, 2010

「代替医療のトリック」(サイモン・シン、エツァート・エルンスト著)

代替医療のトリック●今年読んだ中で、もっともインパクトがあった本がこの「代替医療のトリック」(サイモン・シン、エツァート・エルンスト著/新潮社)。サイモン・シンによるサイエンス・ノンフィクションは、これまでにも当欄で「暗号解読」「フェルマーの最終定理」「宇宙創成」を紹介している。共通するのは「とても難解なことを扱っているはずなのに、信じられないほど読みやすく、しかも読書の楽しみに満ちあふれている」ということ。
●まず「代替医療」という言葉になじみがなかったのだが、これは「主流派の医師の大半が受け入れていない治療法」と定義されている。自然科学の観点からは、生物学的に効果があるとは考えにくいものということになる。例として、大きな章が割かれているものを挙げると、「鍼」「ホメオパシー」「カイロプラクティック」「ハーブ療法」。日本人としては、「鍼」のように広く一般社会に浸透し受け入れられているものと、「ホメオパシー」のような基本原理の部分で自然科学と対立するものが並べて論じられるところに抵抗を感じるかもしれない。しかし、あわててはいけない。この本は「代替医療はぜんぶインチキなんだから排除すべし」という先に結論ありきのものではない。事実、共著者のエツァート・エルンストは代替医療の施療と研究に従事し、この分野で学位を持つ当事者なのだ。
●じゃあ、どういうスタンスがとられているかというと、これは明快だ。それぞれの代替医療で治療のメカニズムがどうなっているかはさておき、現実に効果があるかどうかということを、信頼性の高い(つまり科学的、統計的に有意な)臨床試験の結果から判断しようというのが基本姿勢になっている。「鍼」がどう人体に作用するのかを解明するのは難しいが、本物の鍼を打った被験者とニセの鍼を打った被験者とを比較するテストを大規模に行い、「鍼」にプラセボ効果を上回る効用があるかどうかを確かめることなら可能だ、という考え方。さすがに著者自らがそのような大規模な試験を行なうのは無理だから、すでに行なわれている実験の結果を評価する形になっている。「ある治療が効果があるかどうか」というのは、インチキ統計の餌食になりやすいトピックスなので、著者は「盲検法と二重盲検法」といったような話題から説明し、こういった実験や統計は自然科学の手法ではどうあつかわれるべきものかという基礎からていねいに教えてくれる。
●詳細に論じられているのは先に挙げた4つの療法だが、それ以外にも付録の部分でリフレクソロジー、指圧、吸い玉療法、デトックス、アロマセラピー、ヒル療法、風水、酸素療法などが取り上げられ、その有効性や安全性について述べられている。
●で、結論はどうなのよ、結論だけ知りたいんすよ、と思われるかもしれないけど、それってワタシはネタバレだと思うから書きたくない(笑)。というか、予断を持って読むのは、この本のスタイルにはふさわしくない。それと、この種の話題には難しい要素があって、仮に「Aという代替医療には効果が認められない」といった結論が導かれたとすると、「いや、私は現にAのおかげで健やかでいられるのであって、そんなバカな話はない」という声が必ずあがる。また、Aの従事者当人にとっては到底受け入れられない話だろう。自分で読んだ上で、著者の記述に納得するなり穴を見つけるなりしないと、結論だけ聞いてもあまり意味がない。過程の部分をすっ飛ばして、自分の望む結論は肯定し、望まない結論は否定するというのなら、そもそもこんな書物は不要だ。それに単に「効くか効かないか」だけではなく、話は医療の歴史や、人はなぜ代替療法に惹かれるのか、そもそも真実は重要なのかといったテーマにまで及んでいて、この本の射程は案外遠い(ただその割に最後の結論はやや力強さに欠けるというか、決して万人には支持されないだろうと確信するが)。
●原題はTrick or Treatment? 。ハロウィンのTrick or Treat? をもじって。

July 21, 2010

フェスタサマーミューザKAWASAKI2010、25日より開幕!

●以前記者発表の様子をご紹介した「フェスタサマーミューザKAWASAKI 2010」が、いよいよ7月25日(日)より開幕。ミューザ川崎で開かれる音楽祭で、首都圏9つのプロ・オーケストラが7/25~8/15にかけて登場する。チケットはお手頃価格、各オケを聴き比べるのも吉。ワタシもいくつか聴きに行く予定。
●ミューザ川崎には、なんと、あの「ふろん太くん」が遊びに来たそうである。うぬぬ。えっ、ふろん太くん、知らない? 川崎フロンターレ所属の鳥なんだかイルカなんだか恐竜なんだかよくわからない謎の生命体である。そっちの世界ではイケメンらしく、ブイブイ言わせてるっぽい(参照スクープ記事:川崎・ふろん太くんの熱愛発覚、お相手は大宮のミーヤちゃん)。マリノス者のワタシとしては、マリノスケとマリノス君にも同じ神奈川勢なんだからミューザ川崎を訪れてほしい気もするのだが、そこはやはり川崎と横浜はフロンターレとマリノスくらいには違うわけで、少し悔しい。
●ちなみに「フェスタサマーミューザ」のタブロイド版チラシをこちらで見ることができる。3つの設問に答えるだけであなたにぴったりのコンサートを教えてくれる「タイプ別オススメ名曲診断」があって、診断はあの須栗屋敏先生である。なお、一般向けなので、毒気はきわめて薄くなっている。
●今月、須栗屋敏先生はわりと活躍している。年に2回くらい出張鑑定するケータイサイト「音友クラシックコンサート」でも、今月いっぱい「性格別名曲診断」特集を公開している。ガラケーな方はどぞ。

July 20, 2010

2010年フクアリの旅

●ワールドカップで長谷部が言ったじゃないですか。「次はJリーグ見に来てください!」。で、三連休に全国的にJリーグ再開。長谷部にそういわれたら行くしかない。そうでなくても、ずっとテレビでばかりサッカー見てたから生観戦したくなる。
●が、いつもの横河武蔵野FCは本拠を離れて西が丘。マリノスはアウェイ広島。なので、どちらのチームにも縁はないが「スタジアムに行く」という発想でフクアリことフクダ電子アリーナでジェフ千葉vs札幌戦へ。蘇我のフクアリは最高のスタジアムなんだけど、ウチからは遠すぎて、足を運ぶのはこけら落としのマリノス戦以来。
フクアリ試合前
●フクアリ最強。なんという見やすさ。なんというピッチの近さ。18,500席という小ささで、陸上用トラックもない専用競技場、駅からも近いし、食い物屋も豊富にあるし、あらゆる面ですばらしい。Wikipediaにはフクアリの最後列でも日産スタジアムの最前列よりピッチに近いと書いてあって、マリノス・ファンとしては泣きたくなる。こんなスタジアムが近くにあればなあ。
●長谷部効果もあってか、お客さんは(指定席エリアをのぞくと)満員に近いくらい入っていて大盛況。ジェフサポも熱いんだが、アウェイ札幌側のエリアがびっしりと赤で染まっていて驚く。最近、いつもJFLの試合ばかり見ていたので、J2だと試合がイベントとしてやたら華やかに感じる。サッカーってこんなに派手だったんだ、とか。J1だとどんなことになるのか。
●試合のほうはジェフが攻守にわたって低調で、0-3という予想外の大敗。札幌は古田寛幸が2本のミドルシュートを決めた。13番の攻撃的MF内村圭宏がいい。ボールを持てて、自分から仕掛けられる。ジェフの巻はベンチ外。ロシア・リーグに移籍するらしい。
●試合終了後、ジェフは選手たちがスタンドの四方それぞれに挨拶に行くんすね。で、試合の内容も結果も悪かったので、挨拶するたびに大ブーイング(もちろんゴール裏がいちばん激しい)。4回もブーされるのは少し気の毒ではあるが、試合終了後の順位でジェフが3位、札幌が10位なわけで、どちらかが昇格を争っているのかわからないような試合となればしょうがないか。一部のサポが選手たちをバスに3時間缶詰にしたというのはどうかとは思うが。

July 17, 2010

梅雨明けてブブゼラ

夏●梅雨が明けた。いきなり灼熱。ジトジトと雨が降っている間は外に出かける楽しみがなくて梅雨明けが待ち遠しかったのだが、明けたら明けたで暑すぎて低山歩きなんてできるはずがない。結局ハイキングは秋にしかできてないのだな。なぜか春は足が向かない。
●Jリーグも再開。味スタではブブゼラが聞こえたとか。気持ちはわかる(笑)。
●先日のニセ日本代表に、以下の選手を選出するべきではないかと言う示唆をいただきました。多謝。


殿番(Donovan アメリカ)
慶太(Keïta コートジボワール)

●言える! 殿番はともかく、慶太のほうは絶対入ってなきゃおかしいっすよね。慶太本人だって「オレは必ず選ばれる」って信じてたと思うんすよ。だって「ケイタ」なんだし。オレが選ばれなくて他に誰がニセ日本代表に入るのかっていうくらいの勢いで期待してた、彼は。丸田だの子門だの伊亜金太だのを選ぶくらいなら、なぜ慶太を選ばない? 事実、オシム・ジャパンではケイタがいつもいたじゃないっすか、鈴木啓太が。しかし岡田監督が啓太を呼ばなかったように、飯尾監督もまた慶太を外してしまったのであった。
●慶太選手には4年後を目指してがんばって欲しい。ワタシに言えるのは、それだけです。(談)

July 16, 2010

BBC Proms 2010が開幕

BBC Proms●本日深夜 BBC Proms 2010 が開幕。オープニング・コンサートはビエロフラーヴェク指揮BBC交響楽団によるマーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」。9月11日の「ラスト・ナイト」まで約80公演が行なわれる。ワールドカップより長いんすよね。今年も若手から大御所まで、ラトル/ベルリン・フィルからスピノジ/アンサンブル・マテウスまで、多彩かつ豪華なアーティストたちが集う。ティチアーティとかネゼ=セガンとかヴォルコフとかブランギエとか若くて元気な指揮者も多数登場。コンサートの全貌を一覧したいときは、こちらの Printer Friendly Version の予定表がオススメ。
●と、この音楽祭に興味が持てるのも BBC Radio3 が中継してくれるおかげだ。ここはいつも一週間オンデマンドで番組を聴かせてくれるので、時差のあるワタシらにはとてもありがたい。音質はたぶんやや低め。まあライブの放送音源だし。
●で、これに関してくるのだが、訃報を。指揮者チャールズ・マッケラス逝く。享年84。今年のPromsにも出演予定があった。追って代役が発表されるだろう。ご冥福をお祈りいたします。
●プレトニョフの出演もあるのだな。

July 15, 2010

ワールドカップ2010南アフリカ大会ベストイレブン発表!

南ア2010●もう午前3時30分に目が覚めても試合の中継はない。祭は終わったんである。ワールドカップ2010南アフリカ大会を総括したい。まずは恒例、ベストイレブンの発表だ。当サイトでのベストイレブンは「こんな選手が日本代表にいてくれたら」という願いを込めつつ、ニセ日本代表メンバーとして発表されるのだ。少々タレントが攻撃的選手に偏っていてポジション的には一部リアリズムを欠くが、ま、ベストイレブンとはそんなものだ。


【ニセ日本代表2010】

GK:
亀仁(Kameni カメルーン)
DF:
与吉(Jokić スロヴェニア)
照井(Terry イングランド)
丸助(Márquez メキシコ)
MF:
柴矢(Sibaya 南アフリカ)
小松(Komac スロヴェニア)
子門(Simão ポルトガル)
丸田(Malouda フランス)
FW:
江藤(Eto'o カメルーン)
倉内(Crouch イングランド)
伊亜金太(Iaquinta イタリア)

番外:
羽生(Özil ドイツ)


●ステキな選手たちが揃いましたね~♪
●今大会をワタシは存分に楽しんだ。ワールドカップとしては98年フランス大会以来のおもしろさ。2002年は極端に楽しいことと忘れてしまいたい悲しい事件が両方あって複雑な気分になるし、2006年は少し順当すぎて驚きに欠けていたためか印象が薄く、それに比べれば2010年は前半までの南米勢の躍進や後半の欧州の巻き返しなど、ワクワクするような要素がほどよくあった。
●スター選手の活躍とかスペクタクルな内容の試合があったかといえば、はっきりと乏しかったので98年に匹敵とまではいかない。
●シーズン中に毎週試合がある強豪クラブチームのほうが、ワールドカップよりずっとレベルの高いサッカーをやっている。優勝したスペイン代表の完成形はバルセロナだろう。でもクラブのサッカーにはないおもしろさがワールドカップにはある。有力選手がみんな欧州でプレイするようになっているとは言っても、まだ南米、北中米、アジアにはそれぞれのローカルなスタイルが生きていて、大会に多様性をもたらしてくれる(むしろアフリカのほうがすっかり欧州化している)。4年に1度という絶妙なタイミングが、選手やチームにさまざまな明暗をもたらすのも大きい。
●審判問題はもう飽きた。
●そんなに好ゲームは多くはなかったのにどうして2010にワタシはこんなにポジティブなんであろうかとよーく考えてみると、それはやっぱりニッポン代表が活躍したからなんだろう。2勝1敗でグループリーグを突破するなんて。決勝トーナメントはPKには負けたけど、PK戦は引き分けとカウントするものなので、トータル2勝1敗1分。いちばんよかったのはデンマーク戦なんだが、ワタシが震えたのは断然カメルーン戦の試合終了の瞬間だ。本当に勝つなんて。夢みたいだと思った。直前にチームの形をがらりと変えた岡田監督の功績であることはまちがいない。昔、岡田監督が言ってた「ランクで決まるなら試合は要らない」は正しかった。
●ニッポン戦が終わるたびに渋谷とかで若者が集合する光景は2002年っぽかった。でも写真見ると全裸の男性とか歩いてて、到底近寄れません(参照)。

July 14, 2010

夢の自動車道

kameishizuka.jpg●亀井静香になってクルマを運転している夢を見た。道路を走っていると、左のブレーキが利かず、右のブレーキだけでしか減速できないことに気づく(それは自転車では? ワタシはクルマを運転しない)。片ブレーキのせいでつい車両が右車線にはみ出してしまい、対向車とぶつかりそうで怖い。このままでは危険だ。ワタシは衝突を避けるためにふたたび片ブレーキをかけ、右車線のさらに右側を走るという、わけのわからない状態になってしまった。こんなところを走ってしまっていいものか。「まあ、こりゃしょうがないわなあ」。亀井静香であるワタシは軽く笑いながらつぶやく。

July 12, 2010

ワールドカップ2010南アフリカ大会決勝:オランダvsスペイン

オランダ●一ヶ月にわたったワールドカップを締めくくる決勝戦はオランダvsスペイン。2年前のEUROに続いて、今回も最後までスペイン国歌を聞くことになった。超FAQだが、スペイン国歌には歌詞がない。だから選手はだれも歌っていない(歌えない)。
●ヨハン・クライフは喜んでいるだろうか。スペイン代表はバルセロナの選手だらけでバルセロナのサッカーをしている一方、オランダ側にまでバルセロナ色が感じられる(キャプテンはバルセロナで長く活躍したファン・ブロンクホルスト、ファン・ボメルも元バルサ、ベンチにいるのはフランク・デ・ブール?)。
●で、派手な試合を期待していたら、蓋を開けてみればやっぱり「決勝らしい試合」、つまり息の詰まるようなロースコアの試合になってしまった。お互い勝てばW杯初優勝。どうしても勝ちたいという気持ちがぶつかり合うとこうなるのか。それにしてもオランダの守備の激しさはどうなんすかね。ラフプレイを連発。イングランドのハワード・ウェブ主審がこれに応えて気前よくカードを出す。延長まで行ったとはいえ、オランダに9枚、フェアプレイ優等生のスペインに5枚。延長後半のハイティンハまで退場者が出なかったのが不思議なくらいだ。というか、本来ならとっくに出ているはずだったのを、主審が「コントロールした」ともいえる。
スペイン●相手がオランダだろうと圧倒的にボールを保持できるスペインの技術は本当にスゴい。フットボール史上最高の巧さかも。前半はほとんどスペインがゲームを支配。ただし決定機は少なかった。
●後半はよりチャンスが増えた。ロッベンはいったい何度高速ドリブルを披露してくれただろう。一度、スナイデルだったかのスルーパスに抜け出て、完全にフリーになってシュートを打ったが、カシージャスが逆を取られながらも残っていた足で弾き出すというスーパーセーブを見せてくれた。オランダのステケレンブルフにも好セーブがあって、試合が締まっていた。
●スペインはペドロに代えて、ヘスス・ナバスを投入。これは効いていた。オランダもカイトをエリアに代え同様にサイドを攻めようとするが、こちらはもう一つ。延長に入ってからはPK戦の予感が高まっていたが、延長後半11分にようやくゴールが生まれた。相手ディフェンスがクロスを跳ね返したボールをセスク・ファブレガスが拾って、右に開いていたフリーのイニエスタにパス、これをワントラップして右足で力強くゴールマウスに蹴りこんだ。
●オランダの選手がここで主審に詰め寄っていたのはなぜなんだろう。オフサイドでもなんでもない。あるいは、このプレイに至る前の、本来コーナーキックになるボールをゴールキックと判定されたことを執拗に抗議していたのだろうか。試合後のオランダ選手のコメントに「主審がスペイン寄りだった」というものがいくつかあったが、到底そうは思えない。主審はたしかにいくつもミスを犯したかもしれないが、正しく笛を吹いていれば前半早々からオランダに退場者が出て、最後は8人くらいでプレイしたのでは? 一発レッド相当がイエローで済んだ場面もあった。オランダは「勝ちたい」という意欲が空回りして制御不能になっていたように見えた。
●スペインは初優勝。欧州勢が欧州大陸以外の大会で優勝したのも初めて。アフリカはサッカー的には欧州であると考えれば、自然なところに落ち着いたともいえる(同様に東アジアと北米は南米に属している、94年と02年の大会から察するに)。EURO2008に続いて優勝したんだから、今はスペイン(あるいはバルセロナ)の美しいパスサッカーの全盛期だ。世の中みんな「ハードワーク」とか「ショートカウンター」とか念仏のように唱えている時代に、ポゼッション重視のこんなチームが勝ち切るなんて。スペインは決勝トーナメント以降すべての試合を1-0で勝ったわけで、スコアを見ればやや華やかさに欠けた戦いぶりではあったけど、中身を見れば彼らだけがまるで別のスポーツをやっているかのような印象もあった。
●これでスペインは一区切り付くんじゃないかな。
●もう大会が終わったかと思うと寂しい。スペイン人とオランダ人以外はみんな決勝が始まる前から寂しくなっていたにちがいなく、全世界的にファンが寂しさを共有するのがワールドカップ。


オランダ 0-1 スペイン
満足度 ★★★
伝説度 ★★

July 11, 2010

3位決定戦:ウルグアイvsドイツ……ていうか、パウル

3位決定戦なんてワールドカップには必要ないだろう……と思っていたんだが、いざ中継がスカパーでしかないとなると悔しい。ハイライトしか見れなかったんだけど(ら抜き)、どうやら3決ならではのオープンな試合になったようだし。やっぱり3位決定戦って必要なのかも。二つの敗者のうち、どちらか一つは最後に勝者に返り咲けるわけだから。
●で、この試合で怖れていたのは「またまたまたまたクローゼが点を取って、ロナウドの記録に追いつき追い越す」という展開だった。しかし、クローゼに不調があってこの日はベンチ。断然ロナウド派のワタシは安堵。ロナウド、ってのはもちろんブラジルの元9番で、2002年には大五郎カットで登場し、若き日にはロナウジーニョと呼ばれていたあのレジェンドであり、クリロナではない。
●試合は2-3。ドイツが3位になった。ドイツは前回も3位だった。前々回は準優勝だった。前々々回はベスト8、前々々々回もベスト8、前々々々々回は優勝で、前々々々々々回は準優勝、前々々々々々々回も準優勝だった(含む西ドイツ時代)。いいときも悪いときも勝つのがドイツ。近年移民系の優れた才能が代表に新たな血を加え、さらに今回は若い選手もどんどん出てきた。このチームの未来は明るい。2014年ブラジル大会で開催国を破る可能性は十分。
●が、今回ドイツで最大のスターとなっているのは、パウルだ、どう見ても。パウル、すなわち予言タコ。この3位決定戦の結果も的中し、ドイツの7試合すべての予言に成功した。決勝はスペインの勝利を予言している。日頃サッカーにもワールドカップにも関心のない人でも、予言タコのことは知っているというくらいの事態になっているわけで、日本ではエジルやミュラーよりもパウルのほうが知名度が高いんじゃないか。なんでみんなそんなにタコ好きなの? 南アフリカ2010はメッシの大会でもルーニーの大会でもなく、パウルの大会として記憶されることだろう。
巨大イカ●しかしタコの平均寿命は1年とかそんなものらしい。水族館育ちのパウルでも2~3年ということなので、残念ながら2014年ブラジル大会でのパウルの活躍は期待できない。FIFAはより長命と思われる巨大イカの調教を始めておいたほうがいいんじゃないか。

July 9, 2010

「バンドジャーナル」8月号付録にホルストの第1組曲校訂譜

バンドジャーナル●ホルスト作曲「吹奏楽のための第1組曲」といえば、吹奏楽における聖典。その第1楽章「シャコンヌ」の自筆譜に基づく校訂譜が、今月の「バンドジャーナル」誌の付録としてついている(8月号、明日7月10日発売)。現在大英図書館に収められている自筆譜を伊藤康英氏が校訂したもので、以降10月号に第2楽章「インテルメッツォ」、12月号に第3楽章「マーチ」が掲載予定なんだとか。で、なにがどう違うんだというのは、たとえば現在広く使われている版とは編成から違っているということなど、詳細な校訂報告が添えられている。しかし吹奏楽の世界にも自筆譜にもとづく校訂版とか、そういう考え方があるんすね。ってことは、ピリオド・アプローチとかもあるの!?
●これはきっと売れる。問答無用の強力コンテンツ。
●久々に「バンドジャーナル」を手にしたけど、記事の分量がスゴい。薄いのに中身はギッシリつまっている。この半分の量の記事でも余裕で一冊作れると思うんだが、大変な大盛り感。ページあたりの文字数は「レコ芸」より多いんでは。老眼対策気にせずに文字の級数をガンガン落とせるからか(笑)。
●「バンドジャーナル」がどうかは別として、一般に雑誌って記事の量を増やすより減らすほうがずっと難しいんすよね。編集者たちが忙しすぎてひいひい言ってたとしても、放っておくと記事を増やすほうにばかり話が進み、なかなか減らそうって話にはならない。謎。

July 8, 2010

準決勝:ドイツvsスペイン。職人芸。

ドイツ●また朝3時半に起きて見た。
●2年前のユーロ決勝の再現となったこの試合。普段なら無条件にスペインを応援するところであるが一抹の不安があった。ドイツは絶好調。スペインはなかなか調子が上がらない。これでスペインが勝ってしまうと、決勝戦が盛り上がりに欠けるんでは?
●が、杞憂であった。キックオフの笛が鳴るとスペインは本来のサッカー(というかバルセロナのサッカー?)をすっかり取り戻し、職人芸的パス回しを連発。えっ、ドイツ相手にそんな勇敢なパス通すの!? ていうか全部通ってるし。狭いところをビュンビュン通し、しかもトラップが猛烈に巧い。あのドイツが追いかけてもボールを奪えないなんて。
●スペインは少々不調のフェルナンド・トーレスに代えて若いペドロを先発させた。フレッシュで体がキレている。前線はペドロと新シーズンからバルセロナに移籍するビジャ、中盤にイニエスタ、シャビ、セルヒオ・ブスケツ……ってこれそのまま来季のバルセロナ(メッシ抜き)攻撃陣では。
●ただ、スペインは攻撃しているときはパラダイスなんだけど、守勢に回ると脆さを感じるんすよ。ドイツのコーナーキック一つに耐えるのもいっぱいいっぱい感があって。しかもスペインの攻撃陣はアーティストはそろっているんだけど、ムチャするヤツがなかなかいない。美しいパス回しに酔う老マイスターはもうゴールのことなんて忘れているんじゃないだろうか。だれか縦に突進しなければ。お互いさまで前半は五分五分の勢い。
●後半はスペインに活気が出てきた。後半13分の攻撃は見事。ペドロのシュートが跳ね返り、ヒールキックのパスをもらったイニエスタが縦に抜け出て、左から低いクロスを入れてビジャが飛び込んだが届かなかった場面。しかし得点になったのは意外な形。後半28分、コーナーキックから、クロスに飛び込んだプジョルが頭でズドン。今までのパス回しはなんだったのだ。むしろドイツ風の得点でスペインが先制。
●後半37分のペドロのプレイが気に入らない。ドイツが前がかりになったおかげで、ペドロにドフリーの超絶カウンターのチャンスがあった。右サイドから駆け上がり、中で待つフェルナンド・トーレス(ビジャと交代出場)にボールを渡せば簡単にゴールできたのに、自分で相手ディフェンスを交わそうとして、失敗した。ペドロは確実に調子がいいんだが、こんな場面を見ると心配になる。きっと次は先発しないんじゃないか。ドイツのような強敵相手にこんなことをすると、たいていの場合は痛い目に遭う……。
●と思っていたのに、ドイツの攻撃に火がつかない。羽生は少し疲れていたか。あ、羽生じゃなくてエジルか。恐ろしいポドルスキも静かだった。クローゼはボールが来なければどうしようもない。終盤マリオ・ゴメスを投入したが、スペインのプレッシャーが巧みでパワープレイすら満足にさせてもらえない。そのまま0-1で試合終了はやや意外な気が。
●さらば、ジャイアン。ドイツっていうか、ポドルスキのキャラがなんとなくジャイアン。いじめっ子は去った。
●これで決勝はオランダ対スペイン。どちらも攻撃重視の強豪として毎回ワールドカップでは優勝候補とされながら、一度も優勝したことがない。98年フランス大会以来の「初優勝国」が誕生することが決まった。大会としては「ブラジルの自滅」が悔やまれるが、鮮度の高い決勝になったのは吉。せっかくこの組み合わせになったんだから、3-2くらいの派手な試合になってほしいっすよね。


ドイツ 0-1 スペイン
満足度 ★★★★
伝説度 ★★

July 7, 2010

準決勝:ウルグアイvsオランダ。抵抗。

●朝、起きてから録画再生するつもりだったんだけど、なぜか午前3時前に目が覚めた。サッカーの神様が起こしてくれたにちがいなく、3時半からの生放送を観戦。
ウルグアイ●唯一の非欧州、ウルグアイを応援しつつ観戦。ウルグアイは前の試合で試合終了時にスアレスが故意のハンドを犯したため出場停止。エースのフォルランが前線で奮闘するが、序盤からミスが目立った。ベテランなので連戦でコンディションが落ちているのか。むしろもう一人のフォワード、カバーニのほうがコンディションもよくスピードがあって期待できそうと思ったのだが……。オランダがボールを持ち、ウルグアイがカウンター主体で速攻するという予想通りの展開。
●オランダの前線は中にファン・ペルシー、サイドにロッベンとカイト。この形は崩さないんすよね。ファン・ペルシー、あまり調子がよくないのでフンテラールを使えばいいんではと思うが、先発はなるべく固定させたいということなのか。
●オランダっていつも優勝候補なのに内紛で空中分解するという印象があるんだけど、今回はそういう気配が皆無。圧倒的に白人化している今のオランダ代表にあって、キャプテンは母親がインドネシア系のファン・ブロンクホルスト。35歳で左サイドバックの不動のレギュラー。きっと彼のキャプテンシーがこのチームを救っているのにちがいない。いやー、このチームの左サイドの裏を弱点みたいに言う人がいるけど失礼だよなあ。と思っていたら、前半18分、そのファン・ブロンクホルストが左サイドから強烈なロングシュートを決めた。ファーサイドの「ここしかない」という右上隅に矢のように飛んでいった。大会後、このまま現役引退するっていうんだけど、カッコよすぎじゃないですか、ファン・ブロンクホルスト。
●重要な試合でこういうゴールが序盤に決まると、これを大事に守って1-0で終了、なんていう凡戦警報が発令されるんだが、幸いそうはならず。前半41分にフォルランが豪快なミドルシュートを叩き込んで1-1。お互い似たようなゴール(そうめったに入らないシュート)を決めた。フォルランのほうはキーパーにもチャンスはあったと思う。
●後半頭から、オランダはデ・ゼーウを下げてより攻撃的なファン・デル・ファールトを投入。試合そのものは五分の戦いでも、選手層の厚みに大差を感じる。ただそれで攻撃的になったという感じではなく、むしろときどきオランダがしっかりと守備ブロックを敷き、ウルグアイが攻め手に困るという場面もあった。これやられるとウルグアイは辛い。
●後半25分、オランダはきれいなパス回しからゴール前のスナイデルへ。これをエリア左角あたりからシュート、打った瞬間は決まらないと思ったが、ゴール右隅に転がってしまった。今のはオフサイドか? スナイデルの前にオランダの選手がいて、ボールに触ったような……いやいや、スロー再生するとボールに触っているのはウルグアイのディフェンスだった。しかし、前のオランダの選手がプレイに関与したと見ればこれはオフサイド? うーん、よくわからないが、ワタシはこれはオフサイドではないと願う。なぜなら、最後に触ったのはウルグアイの選手で、現象としてはオウンゴールだから。
●この失点の影響があったのかなかったのか、直後の後半28分、左サイドのカイトからのクロスをロッベンがヘディングで決めてオランダがウルグアイを突き放す。ロッベンは得意の高速ドリブルをなんども披露してくれていたが、ゴールは頭。それにしてもロッベン26歳、若者っすよ。見えない……。
●これで2点差なので、試合はもう終わったようなものだ。ただウルグアイの闘志はすばらしく、後半ロスタイムに入ってから、M・ペレイラのゴールで1点を返した。ここから3分間ほどは本当にスリリングな展開になったが、あまりにも時間がない。追いついていれば伝説だった。ロスタイム表示を掲げた第4審判は西村さん。今大会最後まで残っている日本人。
●これで決勝は二大会連続して欧州対決に確定。オランダvsドイツか、オランダvsスペインか。ドイツはいつだって強い上に、今回はまた半端なく強い。スペインの調子は今ひとつ。順当に行けば前者だが、華やかなのは後者か。


ウルグアイ 2-3 オランダ
満足度 ★★★★
伝説度 ★★

July 6, 2010

「オシムの戦術」(千田善著)

オシムの戦術●試合のない日は本を読めっ! で、「オシムの戦術」(千田善著/中央公論新社)だ。ああ、あのときオシムが病に倒れなかったら、いったいどのようなニッポン代表が誕生していたのであろうか、きっとワールドカップでも活躍してくれたにちがいない、ニッポンを舐め切った世界中のフットボール関係者を驚かせてくれたはずだ、それなのに、それなのに、ううっ(涙)……あれ? ニッポン、岡田監督で活躍してくれちゃったじゃないっすか! すげえ! オシムいないのにベスト16! オシム要らずなニッポン!
●いやいや、そういう話ではないんである。オシムがJリーグ時代も含めてどれだけニッポンのサッカー界に功績を残してくれたことか。どんな風に選手と接し、どんなトレーニングを行ない、なにを言い、なにを考えていたのか。この「オシムの戦術」を読んでると、単にニッポン代表が勝つか負けるかなんていうことはひとまずどうでもよくなって(よくないけど)、もっとサッカーそのものの奥深さや豊かさ、そして厳しさまでもが伝わってくるんである。著者はオシムの通訳だった千田善氏。選手よりも協会スタッフよりもだれよりもオシムを間近に見ることができた特別な立場、というのに加えて、千田氏はもともとフットボーラーなんすよね。サッカー歴40年以上で「サッカーマガジン」を創刊号から愛読しているというほどなんだから、並大抵じゃない。オシム本人が語る言葉とはまた別のおもしろさがある。
●オシムが倒れた後、リハビリに向かう姿勢もさすがというべきで心に残る。なんという強さ。あと、入院中にもお見舞いも兼ねて選手たちが移籍なんかの相談に来てたという話も印象的。オシムは親身になって応えてくれたというんだけど、本当に慕われてるんだなと思う。恩師なんすよね、いろんな選手の。そして日本のサッカー界の。

July 4, 2010

パラグアイvsスペイン。90分内でプチPK合戦。

パラグアイ●これはどちらを応援しようか激しく迷うカード。「ワールドカップは南米派」としてはパラグアイを応援したい(ニッポンと引分けて抽選の末にここに来たチームとも言えることだし)。しかし一方で、勝ったほうが準決勝でドイツを倒さなければならないという(←スマソ、ドイツ・ファン)という重い使命を担う。決勝で「ウルグアイvsパラグアイ」が実現したら楽しいなと思いつつ、現実的にドイツに対抗できるのはスペインのほうじゃないかとか、グジグジ……。
●でもスペイン、調子悪いっすよね。コンディションも全般によくないし、一部選手たちがパッションに欠けているというか。名指しで申しわけないんだけど(ここ読んでたら失礼>本人)、シャビとかイニエスタとか、普段バルセロナでプレイしているときに比べて、ずいぶんヌルくないっすか。あのひたむきさはどこへ。
●スペインは巧い。パスワークなんて信じられないほど。参加国の中でスペインだけが別の競技をしているかのように。将棋とか。いや、将棋はないか。チェスとか。パズルみたいにパスを回している。
●前半はパラグアイのほうが決定機が多かった。セットプレイでスペインの選手がパラグアイの選手のマークを無防備に外してしまう場面が3回くらいあったと思う。パラグアイは日本戦から6人ほどメンバーを入れ替えてきて、開始早々からすっ飛ばしてきた。バルデスなんて前半で倒れそうなくらい走ってる。前半41分、クロスをバルデスがフリーで受けたシュート、あれオフサイドで取り消されたけど、少なくともバルデスはオンサイドだったんでは。
●後半12分から、妙なことが立て続けに起きた。以下、すべて主審の判定は正しかったと思うのだが、まずパラグアイのカルドーソがエリア内でピケに足を引っ掛けられてPKを得た。カルドーソがこれを蹴り、カシージャスが見事にキャッチ! ややコースは甘めとはいえ、あれを弾き出すのではなくキャッチしてしまうカシージャスは人外。で、カシージャスがこれを味方に投げて、スペインの攻撃がはじまり、そのままビジャが相手ペナルティーエリア内に突進したところでファウルを受けて、今度はスペインにPKが与えられた。ビジャは笛を期待した倒れ方だったが、まあファウルにはちがいない。
●スペインのキッカーはシャビ・アロンソ。落ち着いて決めた……と思ったら、主審の笛が鳴ってやり直し。蹴る前にスペインの選手が何人もエリア内に侵入していたから。で、シャビ・アロンソが二度目のPKを蹴ると、これをキーパーのビジャールがファインセーブ。ボールをいったん弾いたが、味方が体を張って守ってくれた。2度続けて両チームにPKが与えられ、しかもその両方がキーパーにストップされるなんていうシーンは見たことがない。ある意味伝説。
●ようやくゴールが生まれたのは後半38分。イニエスタからペドロにパス、ペドロのシュートはポストに跳ね返されてビジャの目の前に。ビジャはコースを狙ってシュートを打つが、これが右ポストに跳ね返り、さらにそのボールが左のポストに当たって、それからゴールラインを割ってくれた。パチンコ? やっぱりスペインは別の競技をプレイしてないか?
●終盤、パラグアイは選手交代を使って運動量の低下を抑えようとしていたが、それでも足は止まってスペインに広大なスペースを与えてしまった。盛大なブブゼラ(おっとヴヴゼラか)の音の向こう側に、リーガでおなじみのスタイルの「オーレ!オーレ!」が聞こえてきた。スペインのパス回しにあわせて、選手がボールを保持している間「オーーー」と発声し、ボールをパスした瞬間に「レ!」と言う、あの独特のスタイル。この掛け声にはあきらかに選手にボールタッチを少なくさせる強制力が働く。後半44分にパラグアイに決定的チャンスがあったのだが、なぜかシュートを蹴る前からゴールになる気がしなかった。
●スペインは不調のままここまで勝ち進んだ。次はドイツと対戦。正直厳しいところだが、決勝がオランダvsドイツでは味気ない。今大会、グループリーグでは南米勢の躍進と欧州の不調という意外な展開があったが、結局ベスト4に残ったのは欧州3と南米1。ウルグアイ、オランダ、ドイツ、スペイン。南米は2強が敗れるととたんに寂しくなる。
●優勝はウルグアイ。という願望。


パラグアイ 0-1 スペイン
満足度 ★★★
伝説度 ★★★★

July 4, 2010

アルゼンチンvsドイツ。殺戮のゴール・マシーン。

ドイツ●出た、ドイツのサッカー。キックオフまでは「これも今大会屈指の好カードで楽しみ~」くらいに思っていたが、いざ笛が鳴ったら、そこは完璧なドイツによるアルゼンチン虐殺ショー。アルゼンチンはメッシもイグアインもテベスもちゃんといたんすよ。退場者が出たわけでもなく、コンディションも悪くなった。なのに、0-4。ドイツのゴールラッシュ。
●前半3分、フリーキックからミュラーが頭で決めてあっという間にドイツ先制。その後はアルゼンチンにも十分にチャンスはあったが、後半23分にゴール前でクローゼがおいしいゴールを決めると後は一方的な展開に。相手が意気消沈したところで、かさにかかって攻めるドイツはさすが。ワールドカップで大差をつけて勝利するのはいつもドイツ(……という印象がある)。
●それにしても、ドイツ代表でのクローゼのゴールをワタシらはいったい何度見ているんだろうか。ワールドカップ通算14ゴール目? 前の試合で「もうクローゼのゴールは飽きた」って書いたら、また見せられた(苦笑)。あと1点でブラジルのロナウドの記録に並んでしまう。承服しがたい(笑)。誰かクローゼを止めてくれ。ユーロも含めると何ゴールだ。
●そしてアルゼンチンがワールドカップで4点差付けられるってどんな現実なのか。メッシはノーゴールで敗退することになったが、メッシのプレイはぜんぜん悪くない。だれもマネできないような、スーパーなドリブルを毎試合のように連発していたはず。ただ、一人でプレイしててはどうにもならない。テベスもイグアインも個人ではスゴいんすよ。チームで攻めることができなかっただけで。
●このドイツは今大会の最強チームだと思う。イングランドからもアルゼンチンからも4点取ってる。そしてドイツは試合を重ねても選手のコンディションが良いまま保たれている。常に選手たちは勝利のために全力を尽くすし、勝手な個人プレイに走る選手もいない。組織があって、気持ちも強い。もともとパワフルな大型選手がそろっているところに、若い羽生みたいなドイツ人離れした柔らかいボールタッチを持つ選手も出てきた。あ、羽生じゃなくてエジルだった。そもそもワールドカップでのドイツ(含む西ドイツ時代)の戦績は尋常じゃないくらい優れている。決勝に行くのがフツーくらいの感じで、もしW杯に通算成績というのがあればぶっちぎりの1位のはず(ブラジルは強いときは無敵だが、あっさり負けることも多い)。ドイツはあらゆる代表にとっての目標になるべき立派な存在だ。なのに、なぜみんなからあんなに嫌われているんでしょうねえ。
●ああ、決勝戦にスペインが出てきますように! オランダvsスペイン、あるいはウルグアイvsスペインになりますように! ラテンが生き残りますように。


アルゼンチン 0-4 ドイツ
満足度 ★
伝説度 ★★★★

July 4, 2010

ブルーノ・レオナルド・ゲルバーのベートーヴェン

●すみだトリフォニーホールでブルーノ・レオナルド・ゲルバーによるベートーヴェン/ピアノ協奏曲全曲演奏会の第二夜へ。オケは大山平一郎指揮新日本フィル。なんと、二晩で5曲全部演奏するんである。一日目に1番+5番「皇帝」(こちらは行ってない)、7月2日の二日目が2番+3番+4番。2番と3番はそのまま続けて、休憩後に4番という大変なボリューム感。ゲルバーはこれを悠々と弾き切った。こういうのが大家の風格って言うんすかね。重厚な堂々たるベートーヴェンで、懐かしいスタイルの音楽を味わった。圧巻の巨匠芸。しかしゲルバーって昔とまったく風貌が変わっていないような気がするんだけど……69歳? 謎。
●全曲終わった後に、盛大なブラボーがかかって、たくさんのお客さんがスタンディング・オベーション。これにはややびっくり。たしかに良かったけど、そんなに派手なプログラムではないのに? それだけ人の心を動かすベートーヴェンだったということなんだろう。ここまでお客を立ち上がらせる演奏会はそうはないわけで、少し考えさせられた。ゲルバーの勝利。
●アルゼンチン生まれのピアニストによるベートーヴェンということで、ワタシのなかではこの演奏会はこの日の夜のワールドカップ準々決勝アルゼンチンvsドイツの記念演奏会でもあった(勝手に)。そしてその試合がまさかあんな結果に終わろうとは、この時点では夢にも思わなかった……。恐るべし、ベートーヴェン。

July 4, 2010

ウルグアイvsガーナ。おはよう日本。

●えっと、これ、書かなくてもいいかなと思ったんだけど、やっぱり悔しすぎるから書いとく。
ウルグアイ●午前3時30分キックオフの試合は録画で見てるんすよ。延長PKまで考えて1時間ほど余裕を持って予約。
●この試合、序盤はウルグアイが優勢だった。ただ、たまにガーナの攻撃を受けると、これがかなりウルグアイには厳しい。頼みのフォルランも疲労が蓄積してきているのか、今ひとつ動きにキレがない。持ちこたえられるかなと心配していたら(ウルグアイ寄りで見てます)、前半ロスタイムという最悪の時間帯にムンタリに地を這うようなロングシュートを決められてしまった。キーパーは一瞬逆を取られたのか、球筋の変化が激しかったのか。
●後半10分、ウルグアイはフリーキックのチャンス。左45度、やや距離があったがフォルランが見事に右足で決めた。これも一瞬キーパーが逆に動いてしまっていたようだ。フォルランはキーパーとの駆け引きに勝利した。
●ガーナに限らず今回アフリカ勢に感じるんだけど、基本彼らは完全に欧州化しているというか、白人抜きの欧州チームと呼びたくなる(その裏側ではかなり前から欧州もアフリカ化している)。組織的なディフェンスなんてやって当然みたいな。ていうか、そもそも欧州に生まれ育った選手も少なくないんでは。
●後半は次第に消耗戦となり、延長戦へ。ゴールの気配がない。延長後半がそろそろ終わって、PK戦かと思われたとき、唐突に画面から南アのスタジアムが消え、代わりに東京のNHKのスタジオでアナウンサーと思われる人が登場して、挨拶をした。「おはよう日本!」。えっ、なになに? 一瞬なにが起きたかわからなかったが、どうやら中継時間がなくなって、そのまま朝のニュースに突入したようだ。唖然としながら録画を早送りしたが、番組の中でウルグアイvsガーナを中継してくれている気配はない。「おはよう日本」が終了したところで、録画が切れた。
●NHKでもこんなことがあるんだ……。
●で、どうやらこの「おはよう日本」の間に大変なドラマが生まれていたようだ、ワタシは見てないんだけど。延長戦終了直前、ウルグアイのスアレスがゴールライン上で思い切り意図的なハンドで相手のシュートを止めた。当然PK、スアレスは退場。そしてガーナのギャンがこのPKを……外した! そこで笛が吹かれてPK戦へ。PK戦は(やっぱり)ウルグアイが勝った、と。なんという伝説。そんなの見たことがない。いや、実際ワタシは見ていないのであり、今でも見たことがないわけだ。


ウルグアイ 1-1 ガーナ (4PK2)
満足度 肝心なとこを見てないから★
伝説度 たぶん★★★★くらいじゃないか、もし見てたら。

July 3, 2010

準々決勝 オランダvsブラジル。自滅。

オランダ●今大会屈指の好カード。ともに普段に比べればスペクタクルに欠けるチームなんて言われてるけど、それでもこの両者が戦うとなれば華やかな展開を期待する。前半10分、ブラジルのフェリペ・メロの長いグラウンダーの縦パス一本にロビーニョが走りこんで、落ち着いて先制ゴール。ゴールってこんなに簡単に奪えるの? しかもオランダから。そしてあんなパスコースが見つかるなんて。
●前半31分のブラジルの攻撃も楽しかった。ロビーニョが左サイドからドリブルでディフェンスを二人交わして低いクロス、これをルイス・ファビアーノがヒールで流して、カカーがファーサイドの上を狙って巻くボールを蹴ってシュート。セーブされたが惜しい!
●でも後半はまったく別の試合になった。後半8分、スナイデルのクロスに対して、飛び出したブラジルのキーパーとフェリペ・メロが味方同士で競り合ってしまい、オウンゴールで同点。続く後半25分、オランダはコーナーキックからスナイデルが頭で合わせて逆転ゴール。
●ここからブラジルは自滅モードへ。激しい試合で(主審は西村さん)、全般に選手たちに苛立ちが感じられていたのだが、後半28分フェリペ・メロが倒れたロッベンを意図的に踏みつけてしまいレッドカード。フェリペ・メロがこの試合の主役なのか。終盤、一人少ないブラジルが前がかりになるが、カウンターを喰らい放題、なんども決定機があったオランダにダメ押しゴールが入らなかったのが不思議なくらい。やや締まりのない終わり方になった。オランダがベスト4へ。
●今回のブラジル、どうったんすかね。ゆったりとしたボール回しから、突然ぐぐっと全体でギアチェンジして猛然とゴールに迫るというブラジルならではのワクワクする瞬間が、このチームには乏しかった。それと引き換えに守備力とフィジカルに強いチームを組んだゆえに「最強」との呼び声も高かったのだが、結果的には逆転負けを喫しているんだからサッカーは難しい。あと、このスタイルだと、ブラジルがブラジルであるというだけで無条件に手にすることのできる目に見えないプレミアムが減ってしまう気がする。ブラジル国民の気分で一言でいえば「損した」気分。ドゥンガじゃな。次は自国開催だからプレッシャーが大変。


オランダ 2-1 ブラジル
満足度 ★★★
伝説度 ★★

July 2, 2010

ボローニャ歌劇場来日、バイロイトTV生放送、3Dオペラ、DGラジオ。

●ふー。中休みである、ワールドカップは。ベスト8が出揃ったところで二日間は試合がない。過密日程の大会だが、さすがにここで休みがないと選手が倒れる。テレビ視聴者も。
●で、そろそろこのサイトがなんのサイトなんだかわからない状態に入っているが(4年に1度は確実にそうなってる)、大会中にたまっている音楽系の話題をいくつか。
●まず、ボローニャ歌劇場2011年9月の来日決定の速報。演目は3つ。ベッリーニ「清教徒」(フアン・ディエゴ・フローレス、デジレ・ランカトーレ)、ヴェルディ「エルナーニ」(サルヴァトーレ・リチートラ、ディミトラ・デオドッシュウ)、ビゼー「カルメン」(ヨナス・カウフマン、ニーノ・スルグラーゼ)。「カルメン」の演出はカストロ政権下のキューバが舞台で、カルメンはタバコ工場じゃなくて葉巻工場の女工なんだとか(笑)。エスカミーリョはボクサーだっていうんだけど、じゃあ闘牛場は出てこないのかね。いずれも東京文化会館。
●続いてTV放映の情報。今年のバイロイト音楽祭の「ワルキューレ」が、なんと、NHK-BShiで世界初のTV生放送決定!(詳細)。8月21日(土)午後10:50~午前5:10。これはスゴい。ネットラジオで生バイロイトというのはクラヲタ夏の風物詩として定着しているが(ホントかよ)、フツーにテレビで見れる(ら抜き)ってのはありがたいではないか。開始時刻はいいとして、終演は午前5:10。ワールドカップの深夜生中継が生ぬるく思えるような時間帯だ。がんばれ、ニッポン! 違うか。
●指揮はクリスティアン・ティーレマン、演出はタンクレート・ドルスト。BShiが見れないアナログ者(ワタシのことだ)は生はあきらめて、8月30日(月)午前0:40からBS2で。
●もう一つオペラネタがあるのだった。ロイヤル・オペラが「カルメン」を3D映像で収録。「アバター」「アリス・イン・ワンダーランド」を担当したrealDが技術提供したっていうんだけど、そんな発想がありえたとは! オペラ歌手を3Dで堪能できる!(笑)。これは喜ぶところなのか……。
●最後に一つネットラジオ系の話題を。しばらく中断されていたDG Radioが微妙にリニューアルして復活している。ラジオというか、好きなだけ聴いていられる試聴機。DGのサイト自体もあれこれリニューアル中で、一部サービスが中断されたり再開されたりで、落ち着かない。老舗レーベルもあれこれ試行錯誤しているのだなあ。
●明晩からまたワールドカップ。でもここからは、あっという間なんすよ、もう試合数が少ないから。閉幕間近っていう心の準備をしておいたほうがいい。なんという寂しさなのか。たまらなく切ない。

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