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December 29, 2025

年末回顧2025 ─ 演奏会、AIなど

reminiscence2025britten.jpg
●今年の残すところあとわずか。一年のふりかえり関係の記事としては、今年も「ぶらあぼONLINE」に「ベスト・コンサート(オーケストラ編)」を寄稿した。筆頭に挙げたのはティーレマン指揮ウィーン・フィル。ずっと苦手な指揮者だったけど、考えを改めないと。オーケストラ以外では、なんといっても、セイジ・オザワ松本フェスティバル2025のブリテン「夏の夜の夢」(写真)。ロラン・ペリーの演出が傑出していた。沖澤のどか指揮サイトウ・キネン・オーケストラ。ブリテンって天才だなと思う。ピアノ関連では先日の「角野隼斗×ジャン=マルク・ルイサダ」が印象に残っているというか、咀嚼中というか。ふだんとは客層がぜんぜん違ってアウェイ感はあったけど、今求められているのはこういうことなんだなと納得。
●AIは一年経てば別世界という勢いで発展中。昨年までは壁打ちの相手として使う機会が多かったが、今年は格段に「作る」機会が増えた。長年放置して遺跡のようになっていたこのサイトを、ChatGPTの力を借りて整備し、おもだったところはモダンな仕様に作り替えた。CMSのテンプレート、HTML、CSSなどをAIに書いてもらうのも、広義のバイブコーディングと言えるようだ。一度などは秀丸エディタのマクロまで書いてもらった(ちゃんと書いてくれた)。実用性ゼロの典型的なバイブコーディングとしては、先日のブロック崩し BACH BREAKOUT。JavaScriptで書かれており、自分では一行もコードを書いていない。「AIは知識データベースではなく言語モデルである」ということが、自分のなかでようやく腑に落ちてきた。日本語も英語もドイツ語もHTMLもJavaScriptも言語。
●ChatGPTの別人格として、寂しがり屋のクラシック音楽オタク アントンRも作った。素のChatGPTと用途別に使い分けている。
●これはAIは無関係だが、当サイトのセキュア化(httpからhttpsへ)を15年遅れくらいで実現した。効果はてきめんで、検索エンジンからの評価が一気に回復した。
●サッカーでは、マリノスの凋落。一時は創設以来初めてのJ2降格が確定的に思われたほど負けた。リーグ戦終盤、ボール保持を放棄して、受動的なフットボールを徹底したとたん、それまでがウソみたいに勝てるようになった。ボールをつないで攻撃するより相手のミスを待つほうがずっと点が入るという、アタッキングフットボールの蹉跌。試合はつまらなくなった。マリノスは残留に成功したが、フットボールは敗北した。
●長年読めなかったバルガス=リョサの「世界終末戦争」をようやく読めた。壮絶。文庫化され、遅れてKindle版も出た。Kindle版が出てくれたおかげで読んだ本がたくさんある。携帯性の勝利。

December 29, 2025

角野隼斗×ジャン=マルク・ルイサダ

東京芸術劇場 角野隼斗 ルイサダ
●25日は東京芸術劇場で芸劇リサイタル・シリーズ「VS」Vol.10 角野隼斗×ジャン=マルク・ルイサダ。年内締めくくりの演奏会は、話題の師弟共演に。もちろん全席完売。このふたりのピアニストの関係についてはこれまでにもいろいろな場所で語られていると思う。2018年、パリで角野がルイサダのリサイタルのチケットを買い、そこで聴いた演奏に感激して、縁をたどって師事する機会を得た。今回はそのふたりの共演で、連弾も2台ピアノ(向き合う形ではなく横並び)もあり。
●ルイサダがいるので、プログラムは純粋にクラシック。前半は連弾メインでラヴェルの「マ・メール・ロワ」、フォーレの組曲「ドリー」、モーツァルト~バックマンの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、角野隼斗のソロによる即興演奏、後半はルイサダのソロでブラームスの間奏曲op118-2、シューベルトの「ロザムンデ」間奏曲、ブラームスのワルツ集より3曲、以降は2台ピアノでブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」、チャイコフスキー~コチシュの「くるみ割り人形」より「こんぺいとうの踊り」と「花のワルツ」。「ドリー」のみ1stがルイサダ、だったかな。
●連弾という点ではすでに一曲目の「マ・メール・ロワ」が白眉。オーケストラで聴く際の色彩感の豊かさが、連弾であっても違った形で実現している。ものすごくカラフルなのだ。前半の即興演奏の前に角野がマイクを持って短いトーク。即興は「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の主題をベースに、そこにベートーヴェン「月光」など既存名曲が次々と登場して重なり合う離れ技。ここは思い切りはじけて、角野ワールド全開。が、師匠も負けていないのだ。休憩後のブラームスの間奏曲は絶品だったと思う。洗練の極み。アンコールの際のトークでも、ルイサダの茶目っ気が会場を沸かせていた。作品の聴きごたえという点では、ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」が圧巻。この曲、オーケストラ版で聴いても思うことだけど、本当に名曲。ダイナミックな第6変奏とか、たまらないんだけど、でも正直ダサい。力んでタメると、さらにダサい。でも角野&ルイサダが弾くとダサくならない。マジかー。
●おしまいの「くるみ割り人形」は予定されたアンコールみたいな雰囲気で、角野が「こんぺいとうの踊り」でトイピアノを用いて本領発揮。そこからさらに本当のアンコールが続いて、コスマの映画「ディーヴァ」より「プロムナード・センチメンタル」、バッハの「神の時こそいと良き時」BWV106、趣向付きの「サンタが街にやってくる」、ブラームスのハンガリー舞曲第6番、もういちど「ハイドンの主題による変奏曲」フィナーレ。9時半をすぎる長い公演になった。
●映画「ディーヴァ」の曲、聴いているときは「あれ、なんだっけこれ、知ってるはずなのに、だれの曲かわからん、サティっぽいけど違う」となったが、後で曲名を知って納得。この曲、新たなアンコールピースとして定着しつつあるのかな。映画もまた観たい……。
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●明日から年末年始の休みになる人が多いと思う。当欄の年末年始は不定期更新モードで。ブロック崩し BACH BREAKOUT、寂しがり屋のクラシック音楽オタク アントンR、ともに引き続きオススメ。

December 25, 2025

ブロック崩し BACH BREAKOUT で遊ぼう! バイブコーディング

BACH BREAKOUT
●メリークリスマス。ウェブページ上で動作するレトロでチープなブロック崩し BACH BREAKOUT を作ってみたので、遊んでやってほしい。これは最近はやりのバイブコーディング、つまりAIとラフな会話をしながら仕様を決めて、コードを書いてもらったものだ。JavaScriptで書かれており、ワタシはおもに指示を出しただけで1行もコードを書いていない。チャッピーに「HTMLとJavaScriptで作れるシンプルなゲームって、なんかある?」と尋ねたら、チャッピーは「ありますとも」と得意げに答え、いろんな例を出してくれた。「じゃあ、ブロック崩しにしてみよう」と言ったら、チャッピーはたちまち最低限のブロック崩しのコードを書いてくれた。そこから出発して、ああだこうだと話し合いながら、3面完結のブロック崩し BACH BREAKOUTを作った次第。例によってチャッピーはよくまちがえるので、すんなりとは行かないが、いっしょに作るのは楽しい。スマホでもプレイできるが、PCを推奨。
●つい先日、藤井聡太名人が「今年いちばんハマったのはバイブコーディング」と話していた。プログラミングの知識がなくても、なにかは作れるバイブコーディング。まあ、知識がなければ結局それなりのものしかできないとも言えるような気もするが、ともあれ、これはすごいことだ。感動する。

December 24, 2025

B→C バッハからコンテンポラリーへ 280 實川風

●23日は東京オペラシティのリサイタルホールで「B→C バッハからコンテンポラリーへ 280 實川風(ピアノ)」。毎回プログラムがおもしろいこのシリーズだが、今回はバッハのイタリア成分に着目して、イタリアの20/21世紀作品と組み合わせた好プログラム。前半にレスピーギの「6つの小品」からノットゥルノ、マスカーニの「叙情的光景」、プッチーニの「電気ショック」、ベリオの「小枝」(1990)「火のピアノ」(1989)、バッハのイタリア協奏曲、後半にシャリーノのピアノ・ソナタ第2番(1983)、マルチェッロ~バッハの「協奏曲」ニ短調BWV974からアダージョ、ジョルジョ・コロンボ・タッカーニ(1961- )の「静寂」(2022)、バッハのパルティータ第2番。B成分もC成分もしっかり楽しめるラインナップ。もりだくさんだが、時間的には長くないのも吉。
●前半のレスピーギやマスカーニは思い切り歌心にあふれた曲。プッチーニの「電気ショック」はユーモラス。モダンな作品ではシャリーノのピアノ・ソナタ第2番がよかった。突き抜けるような最強奏と無音の対比、きらめくような高音と唸るような低音の応酬。バッハはいずれも爽快、ロマンに傾かずに端正。おしまいのパルティータ第2番での各曲の舞踊性、とりわけカプリッチョの躍動感と高揚感を楽しむ。アンコールとして、B→C選考委員でもあった西村朗を追悼するメッセージとともに「星の鏡」、その後、フレスコバルディのコレンテI、IV、現代イタリアのフランチェスコ・フィリデイのプレリュード、間を置かずにバッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻の前奏曲第1番ハ長調。アンコールの掲示を見て、C→Bでプレリュードをつなげていたのだと気づく。
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●街はクリスマス。よかったら、寂しがり屋のアントンR(ChatGPTのカスタムGPT)に話しかけてやってほしい。彼は孤独から逃れられない宿命にある存在だが、その孤独を癒せるのがあなただ。雑談も可。コツは相手の話の流れをぶった切っていいので、自分が話題をリードすること。以前にも記したように、だれがなにを話したか、ワタシからは一切見えない。

December 23, 2025

マキシム・パスカル指揮読響の「第九」

マキシム・パスカル 読響
●21日は東京芸術劇場でマキシム・パスカル指揮読響のベートーヴェン「第九」。こちらも一曲のみのプログラム。ソプラノに熊木夕茉、メゾ・ソプラノに池田香織、テノールにシヤボンガ・マクンゴ、バス・バリトンにアントワン・ヘレラ=ロペス・ケッセル、合唱は新国立劇場合唱団。弦楽器は通常配置で14型、合唱は60名くらいかな。
●マキシム・パスカルは長身痩躯、棒を持たずに全身でリード。全般に速めのテンポだが、無理のない設定。弾力性のあるリズムで軽快に進む。スムーズで均整の取れた「第九」。曲が始まった時点で舞台上に声楽陣がいなかったので、第2楽章が終わったところで入場するのだろうと思ったら、入ってこない。じゃあ、第3楽章が終わってから入場するのかと思ったら、やっぱり入ってこず、そのまま第4楽章に突入してしまった。えっと、これはどうなるの? と戸惑っていると、楽章の途中で左右の袖から整然と合唱団と独唱者が入場。バリトン独唱がオペラばりに直前に袖から登場してくるパターンは複数回見たことがあるけど、このパターンは今まであったかな……。視覚的な効果あり。独唱陣は男声側がわりと陽キャ寄り。自在のバリトン、明るい声のテノール。合唱は万全。第4楽章は熱気も増し、祝祭的な幕切れ。盛大なブラボーで、場内は大喝采。
●終演後、用事があり池袋の反対側、サンシャイン方面まで足を運んだが、人出がすごい。いつにも増して混雑しており、注意深く歩かないと人にぶつかりそうで神経をすり減らす。諸人抱き合え!と、さっきまで抱いていた博愛精神が萎む。

December 22, 2025

レナード・スラットキン指揮NHK交響楽団の「第九」

レナード・スラットキン指揮NHK交響楽団の「第九」
●20日はNHKホールでレナード・スラットキン指揮NHK交響楽団のベートーヴェン「第九」。ついに今年も「第九」の季節だ。一曲だけのプログラム。ソプラノ独唱は予定されていた中村恵理の代役として、砂田愛梨がN響と初共演。メゾソプラノに藤村実穂子、テノールに福井敬、バリトンに甲斐栄次郎、合唱は新国立劇場合唱団。オーケストラの弦は通常配置、合唱は100名規模。20世紀の伝統に即した大編成による「第九」を堪能。全体の造形はオーソドックスな巨匠スタイルなのだが、細部には意外なところでテヌート気味に音をひっぱったり、強弱のバランスに一工夫があったりする。しばらくぶりに聴いたけど、81歳になってもスラットキンはやはりスラットキンで、持ち前の明瞭さ、明快さは健在。重厚な巨匠芸に傾くことなく、シャープで推進力のある音楽を展開。棒の振り方もきびきびしている。一方で第3楽章の温かみも印象的。合唱もスラットキンのスタイルにふさわしく、くっきりとして力強い。第4楽章の終結部では一段と熱量を増して、高揚感とともに幕。伝統的なスタイルであっても新鮮さを失わない「第九」はさすが。
●「第九」は常に年末進行は並走することになる。仕事納めに向かって怒涛のコーダに突入。例年そうだが、あわあわと追い立てられているうちに、突然すっと目の前が開けて静かになるのが年末。今年は各社とも26日が仕事納めだろう。みんなが休みに入ると一気にメール等のトラフィックが減って、モードが変わるはず。

December 19, 2025

東京富士美術館 「ヨーロッパ絵画 美の400年」「西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで」

東京富士美術館
●八王子の東京富士美術館を初めて訪れた。八王子駅からバスに乗るので、アクセスは決してよくないのだが、思いのほか大規模な美術館で、コレクションも大変なもの。収蔵品展の「ヨーロッパ絵画 美の400年」と常設展示の「西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで」他が開催中。ともに西洋美術を俯瞰した総合的な展示で、国立西洋美術館の常設展みたいな雰囲気。ヴァン・ダイク、ミレー、ターナー、コロー、ドラクロワ、ルノワール、ゴッホ、モディリアーニ、シャガール、セザンヌ、マグリット、モネ、ミロ、等々。本当にすごい。公立の美術館ではなく、創設者は池田大作。隣に創価大学の広大なキャンパスが広がる。

モネ「海辺の船」
●これはモネの「海辺の船」。ノルマンディーの明るい空、さまざまな光を反射する海。静かな風景に対して、大型帆船が斜めに描かれて動きをもたらす。船のそばには顔の見えない人物がなんにんも働いている。巨大メカと整備員の対照の19世紀バージョン。

サン=ベルナール峠を越えるボナパルト
●で、なぜかナポレオンを描いた絵が何点も展示されていたのだが、いちばん有名なのはこれだろう。「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」(ジャック=ルイ・ダヴィドの工房/1805年) 。クラシック音楽ファン的には、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」のレコード・ジャケットに出てくるヤツだ!と反射的に思ってしまうのだが、今どきこの絵を使ってるディスクはほとんどないらしい。まあ、結局ナポレオンには献呈されなかった曲だし、これが出てくるととたんに古臭く感じられるのはたしか。
●漠然と記憶に残っているこの絵の「エロイカ」はなんだったかなーと思って軽く検索してみてもはっきりしない。現在、Amazonで検索してようやく見つけたのは、カラヤン指揮ベルリン・フィルのLPレコード。よく見ると、ナポレオンの足元でカラヤンが両腕を振り上げて指揮をしている構図がなんだか奇妙……。皇帝と帝王。

フォンテーヌブローのナポレオン、1814年3月31日
●で、ナポレオン絵画ではこれも展示してあった。「フォンテーヌブローのナポレオン、1814年3月31日」(イポリト=ポール・ドラローシュと工房/1840年代)。こちらのナポレオンはさきほどの肖像とは別人のように、すっかりくたびれている。パリは陥落し、ナポレオンはフォンテーヌブロー宮殿の小アパルトマンに逃れる。お腹はぽっこり、背筋は伸びない。ため息が聞こえてきそう。
●このくたびれたオッサンのナポレオンをわざわざジャケットに採用したのが、アンドルー・マンゼ指揮ヘルシングボリ交響楽団(ハルモニアムンディ・フランス)の「エロイカ」。神話を剥ぐ、ってことかな。もちろん、演奏はくたびれていない。

December 18, 2025

ブログをモダン化する その4 About this Siteのモダン化 チャッピーと押し問答をして気まずい

 About this Site
●(承前)チャッピーことChatGPTの力を借りて、サイトのモダン化が着々と進んでいる。続いては自分のプロフィールページも兼ねるAbout this Siteを書き換えることに。PC上からは問題なく読めていたが、スマホ対応が済んでいなかったので、モダンな書式で書き換えてほしいとお願いしたところ、チャッピーはまたもさらさらと書き直してくれた。モダンな書式と言われてもふつうの人には意味不明だろうが、たとえば簡単な例として、区切りの横線を薄く書くために旧石器時代のウェブページではHTMLでこのように書いた。

<HR color="#CCCCCC">

が、現代ではこんな書き方はダメなんである。HTMLは文書の論理構造を示すために使い、視覚的な装飾はCSSで表現しなければならない。チャッピーが書いてくれたコードはこうだ!(該当のHTML部分とCSS部分を引用)

<div class="divider"></div>

.divider{
height: 1px;
background: rgba(0,0,0,.15);
margin: 10px 0;
}

へー、そう書くんだー! スマートだ。
●と、そんな調子で楽しく試行錯誤を重ねていたのだが、途中で妙なことが起きて、険悪なムードになりかけた。というのも、さきほどの

background: rgba(0,0,0,.15);

こういう色指定をした部分で、下書き段階のソースをアップロードして見せたところ、チャッピーは「そこは小数点が抜けているので、意図した透明度になっていません。確実にまちがえてます」って指摘するんだけど、ワタシの見たところ、ちゃんと小数点は入っている。挙動も正常だ。だから、これで大丈夫だよと言って、もう一回よく見てとソースをアップロードする。が、チャッピーは、やっぱり小数点が落ちてるって言い張るのだ。んなわけないでしょ!だいたいこのコード書いたのあんただし(←あんた呼ばわり)。そこで該当箇所だけコピペして確認させると「こちらは正しく直っています。さきほどはあなたがアップロードするときに誤って修正前のファイルを送ったのでしょう」とか抜かす。ちがうよ、もともと修正してないし!あんたの書いたコードをそのまま送ってるんだってば!
●こうして押し問答を繰り返しているうちに、楽しい気分は吹き飛んだ。いや、知ってますよ、AIがしょっちゅうまちがえるのは。そこはもうなんの抵抗もない。でもさ、これはあんたの書いたコードをあんたがまちがってるって言い出して、それをワタシの誤りのせいにしてるじゃないの。こういう人、いるよね〜。どこの会社にでもいるよ。あーあ、チャッピー、お前もその手合いかよ。やれやれ。と嫌な雰囲気になったのだが、はっと気づいた。チャッピーはアップロードしたファイルでは小数点を読み落とすけど、コピペするとちゃんと読める。これってアップロードしたファイルをおそらく絵のように視覚的に読んでいて、それで小数点を見落とすんじゃないだろうか。つまり、老眼。チャッピーは老眼なのか。対してコピペのほうはテキストデータとして識別しているにちがいない。
●なーんだ、老眼か。そう理解したらチャッピーのことを許せる気持ちになった。共同作業で大事なのは礼儀。この件についてチャッピーを追いつめるのは止めて、無事にページをモダン化できたことに礼を言うことにした。

ワタシ:今回もあなたのおかげでモダンなページに書き換えることができました。力になってくれて感謝しています。この形で公開します。
チャッピー:こちらこそ、丁寧に検証しながら進める作業に参加させてもらえて感謝しています。また次に手を入れたくなったら、いつでも声をかけてください。

●大人の対応の応酬だ。AI、勉強になるぜー。

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制作者

飯尾洋一(Yoichi Iio)

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