amazon
January 15, 2026

セバスティアン・ヴァイグレ指揮読響のオール・ブラームス・プログラム

セバスティアン・ヴァイグレ指揮読響
●14日はサントリーホールでセバスティアン・ヴァイグレ指揮読響。オール・ブラームス・プログラムで、悲劇的序曲、ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲(林悠介、遠藤真理)、交響曲第3番という名曲ぞろいのプログラム。どれも大好きな曲ばかりなので、ぜんぜんそう謳われてないけど、心のなかで自分にとってのニューイヤーコンサートだと思って楽しむ。ゲストコンサートマスターとして小森谷巧が帰還。楽団の名誉顧問である高円宮妃久子さま臨席。テレビカメラあり。
●悲劇的序曲は冒頭から気迫のこもった鋭い音。曲が渋いからなのか、演奏会では意外と聴けない曲。さらに渋味が魅力の二重協奏曲へと続いて、漆黒のロマンティシズムを堪能。二重協奏曲では第1コンサートマスターの林悠介、ソロ・チェロの遠藤真理がソロを務めた。ともに楽団員とあってオーケストラとの調和はさすが。大きな室内楽を聴くかのよう。ソリストアンコールではコントラバス用の椅子が指揮台の前に置かれ、なにが始まるのだろうかと思ったら、なんと、ブラームスの間奏曲作品118-2。晩年のピアノ曲のなかでもとりわけ憂愁の色濃い名曲だが、ソリストふたりに少人数の弦楽器が加わった編曲で。だれの編曲なのかと思って休憩中にアンコールの掲示を見たら、首席第2ヴァイオリン奏者の石原悠企編。絶品だった。
●後半、交響曲第3番はすべての楽章が静かに終わる交響曲。質実剛健とした造形ながら、ここぞという場面ではヴァイグレがオーケストラを煽り立てて、熱風を吹き込む。この日、珍しいことに前後半とも客席でスマホの音が長く鳴るアクシデントが頻発して、会場全体の落ち着かないムードがもしかしたら舞台にも伝播していたかもしれないのだが、ともあれ、おしまいはしっかりと静寂が保たれて余韻が残った。スマホにかんしては、いつ自分が失敗をする側に回るかわからないので他人事ではない。いつも電源を切るように気を付けているけど、うっかり忘れることもあるし、マナーモードでもアラームは鳴る。

January 14, 2026

東京都現代美術館 ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー

東京都現代美術館 ソル・ルウィット
●東京都現代美術館の「ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー」へ(~4/2)。ソル・ルウィット、どこかで名前を聞いたぞ……と思ったら、東京国立近代美術館で常設展示されてるウォール・ドローイングの人だ! 一定パターンにもとづく指示書を作り、実際のドローイングは他人に任せるというのが、おもしろいなと思っていた。今回の展示でも6点のウォール・ドローイングをはじめ、さまざまな作品が広々とした空間に展示されている。上は「ウォール・ドローイング #312」(1978初回展示)。黒い壁に白いクレヨンで、正方形、円、三角形、長方形、台形、平行四辺形が重なって配置される2部作。でかい。

東京都現代美術館 ソル・ルウィット
●こちらは立体物で「ストラクチャー(正方形として1, 2, 3, 4, 5)」(1978-80/滋賀県立美術館)。よく見ると明快なパターンにもとづいて立方体が組み合わされている。リズミカルで心地よく、無機的なパターンの集積のはずが、どこか有機体を思わせるところがおもしろい。

東京都現代美術館 ソル・ルウィット
●こちらは「シリアル・プロジェクト#1(ABCD)」(1983/千葉市美術館)。まるで都市みたいに立方体、直方体、そのフレーム状の物体が並んでいる。これも明快なパターンがある。そのパターンがなんだか子供時代に遊びで思いつきそうなものだったので、微妙にノスタルジーを喚起する。あと、この形状は「スター・ウォーズ」第1作のデス・スターを連想させる。気分はルーク・スカイウォーカー。

東京都現代美術館 ソル・ルウィット
●同じ作品を角度を付けて斜めから見てみる。こっちは密の側。

東京都現代美術館 ソル・ルウィット
●さらに同じ作品を別の角度から。こっちは疎の側。両側に相補的な関係があることを想起させる。

東京都現代美術館 ソル・ルウィット
●こちらはウォール・ペインティングなんだけど、幾何学的なパターンの成分が薄めで、色彩の要素が目を引く。「ウォール・ドローイング #770 カラー・インク・ウォッシュを塗り重ねた非対称のピラミッド」(1994初回展示)。非対称の形状も色彩も、一瞥してすぐわかるような規則性は見出せないのだが、なにかルールがあるのかもしれないし、ないのかもしれない。いくぶん、肩の力が抜けた感じではある。

January 13, 2026

SpotifyのマイライブラリをApple Music Classicalに移行する

Apple Music Classical
●ようやくApple Music Classicalを使ってみようという気になった。かつてはApple Musicも使っていたのだが、Windowsでの使い心地がよくないので見限ってしまい、近年はSpotifyとNaxosを併用していた。が、Spotifyの検索機能があまりに非力なのに業を煮やして、Apple Music Classicalを試すことに。Apple Music ClassicalをWindowsで使う場合は、ブラウザからログインして使うことになる(ウェブアプリとしても使える)。以前のWindows版iTunesよりずっといい。低機能だがシンプル。なお、Androidの場合は、ふつうにアプリをインストールすればオーケー。
●で、こういう場合、Spotifyで築いたマイライブラリ、つまりプレイリストやらアルバムをApple Music Classicalに移行したいわけだが、ちゃんとそのあたりのことは考えられている。方法はふたつある。ひとつはApple Music(Apple Music Classicalではない)の公式機能を使う。Windowsの場合は右上のユーザーアイコンから「音楽を転送する」を選ぶ。Androidであれば、Apple Musicを開き、「設定」→「ライブラリ」→「他のサービスから音楽を転送する」を使えばオーケー。Apple Musicに取り込めば、Apple Music Classicalにも入るようになっている。もうひとつの方法として、サードバーティのサービスを使う手もある。代表的なのはTuneMyMusic。ウェブ上で転送できる。
Apple Music ご利用いただけません●自分はAndroidから公式機能を使ったが、ほとんどのアルバムは問題なくインポートできたものの、一部は「ご利用いただけません」となってしまった。ただ、これも手動で検索してみるとちゃんとAppleにあったり、やっぱりなかったりもする。
●しばらく使ってみないとなんとも言えないが、わざわざクラシック専用に設計されたサービスなのだから期待したいところ。日本語対応もうたっている。以前に取材したプレス発表会では、プレゼンテーションがライト層向けでどうもピンと来なかったのだが、当面は先入観なしで使ってみたい。

January 9, 2026

ブルッフの弦楽八重奏曲

マックス・ブルッフ
●ブルッフ(1838~1920)の弦楽八重奏曲? そんな曲、あったっけなあ……くらいの存在感だと思うが、わけあって録音を聴いてみたら、たいへんすばらしい。この曲、ライブでは聴いたことがないと思う。あまり人気がない理由はいくつもあって、作曲が1919年から1920年にかけて。つまりブルッフが82歳で世を去る直前に完成している。作風は完全に時代から取り残されたロマン派のスタイル。ブルッフ本人がもっと前の段階から自分が忘れ去られつつあることを自覚していて、若い頃に書いたヴァイオリン協奏曲第1番の作曲家としてのみ名を残すことになるのではないかと危惧していたそうだが(そして実際それはほぼ当たっている)、1920年ともなると完全に過去の人で、弦楽八重奏曲は出版もされないまま楽譜がいったん消失し、1988年になってBBCの書庫からパート譜が見つかったという。出版は1996年だから、Windows95より新しい。
●で、この曲って弦楽八重奏曲といっても、メンデルスゾーンみたいな弦楽四重奏×2じゃないんすよね。一台、チェロの代わりにコントラバスが入る。ヴァイオリン4、ヴィオラ2、チェロ1、コントラバス1という八重奏。なぜ、メンデルスゾーンの超傑作に合わせないのか。きっと音楽的な必然があったんだろうけど、実務的な観点からいえばそこはふつうにチェロ2にしてくれれば、格段に演奏会でも録音でもとりあげやすかったはず。ナッシュ・アンサンブルの録音(Hyperion)のブックレットによると、1937年にBBCは弦楽八重奏曲を放送に乗せたそうなんだけど、そのときはコントラバスのパートを1オクターブあげてチェロ2台で済ませたのだとか。
●スケルツォ楽章がなくて、急─緩─急の3楽章構成。第1楽章は後期ロマン派の香りもいくぶん漂ってるけど、先に進むともっと保守的になっていく。第2楽章冒頭は葬送行進曲風で、告別の音楽にも聞こえる。終楽章は堂々とメンデルスゾーンくらいまで遡っていてすがすがしい。82歳でこれだけの創作力を残しているのもすごい。

January 8, 2026

TOPPANホール ニューイヤーコンサート2026 山根一仁、嘉目真木子、川口成彦、兼重稔宏

TOPPANホール ニューイヤーコンサート2026
●7日は今年最初の演奏会で「TOPPANホール ニューイヤーコンサート2026」へ。「1909年製ベーゼンドルファーとの邂逅」と副題が添えられており、昨年から同ホールに貸与された1909年製のベーゼンドルファー250がフィーチャーされている。かつてウィーン国立歌劇場内のバレエのリハーサル室で使用されていた楽器で、昨年3月の記者発表の際にデモンストレーションがあった。モダンピアノとはいえ、1909年まで遡ればこれも一種のピリオド楽器か。角のとれた丸い響きが特徴で、キラキラの高音ではなく、中低音の少し鼻にかかったような音色に味わいがある。
●出演はヴァイオリンの山根一仁、ソプラノの嘉目真木子、ピアノの川口成彦、兼重稔宏。プログラムは盛りだくさんで、前半にベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番「春」(山根&川口)、同じくピアノ・ソナタ第30番ホ長調(兼重)、ブラームスの「5つの歌曲」より「調べのように私を通り抜ける」Op105-1、「4つの歌曲」より「永遠の愛」Op43-1、モーツァルト「クローエに」K524、リヒャルト・シュトラウス「8つの歌」より「献呈」と「万霊節」(嘉目&兼重)。後半はすべて川口のソロでシューベルトの4つの即興曲集D899、ショパンの「華麗なる大円舞曲」と夜想曲第2番変ホ長調。ワルシャワを旅立ったショパンがまずはウィーンに滞在したことも含めれば、楽器に寄せたウィーン・プログラムともいえる。
●最初の「スプリング・ソナタ」からインパクトがあって、どれも聴きごたえがあったけど、いちばん印象に残ったのは川口成彦のショパン。昨年の記者発表でも夜想曲第2番を弾いてくれたと思うけど、そのときも一歩踏み込んだ思い切りのよい表現にぐっと来たのだが、今回もまた楽器を触媒として19世紀の残り香を伝えてくれるかのようなショパン。薫り高く、新鮮。超有名曲を一から洗い直したショパンというか。「華麗なる大円舞曲」はブリリアンスに焦点を当てるのではなく、人間くさいダンスの音楽として再現されていて自在。譜面を置いての演奏で、最後の余韻が続くなかで自ら楽譜を静かにめくって拍手を制し、そのまま夜想曲第2番につなげる。効果抜群。
●アンコールは川口&兼重の連弾によるブラームスのハンガリー舞曲第1番で始まり、途中から山根が登場して加わり、「愛の歌」第4曲で嘉目も加わって全員参加。一年の始まりにふさわしい華やかさ。

January 7, 2026

「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である」(中島聡)

●この本、ずっと前に読んで、スゴい!と思ったんだけど、最近、また手にして感心している。「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である」(中島聡著/文響社)。著者はWindows95の設計思想を生み出した元マイクロソフトの伝説的なプログラマー。「一度も納期に遅れたことがない男」として知られる著者の仕事術がぎっしりと詰まっている。いちばん心に残ったのは「ラストスパートよりロケットスタート」。ラストスパートを諸悪の根源と言い、あらゆる仕事はロケットスタートで始めなければならないとする。目から鱗だったのは、「与えられた期間の最初の2割の期間で8割の仕事をする」という発想。つまり、10日で仕上げる仕事があったら、まずは仕事量の見積もりのために2日間ほしいと頼んで、その2日間でロケットスタートして8割方仕上げちゃう(!)。で、その2日間でほぼ完成まで行かなかったら、ピンチと認識してスケジュールの見直しを交渉する。大丈夫そうだったら、余裕を持って8日間で残りの2割を仕上げる。「時間に余裕のあるときにこそ全力疾走で仕事し、締め切りが近づいたら流す」という働き方。
●もちろん、まねできない。ふつうの人間にはまったく無理。それは著者もわかったうえで、書いている。でもまあ、「ラストスパートよりロケットスタート」という言葉は心に刻んでおこうとは思った。自分の場合だけど、難しそうな原稿書きは、完成度を気にすると書き出しの一文でつまづくから、まずはモックアップを作るつもりで書きはじめる。細かい確認が必要なところは、なにを書くかだけ粗いメモを入れておいて、とにかくおしまいまで進めて、規定文字数になにが入って、なにが入らないかをざっくり把握する。そうやって大枠を先に作って、内容と規定文字数がバランスしそうだとわかったら、いくらか余裕をもって仕上げにとりかかれる……ってことかな。ま、そうは思っていても、結局は藪漕ぎみたいになることも多々あるわけだけど。
●あと、ビル・ゲイツの会議の話がおもしろい。ビル・ゲイツが参加するプレゼン会議では、発表者が発表する時間はないって言うんすよ! 資料は前もって送られていて、プレゼン会議とは発表者との質疑応答をする時間のことを指す。で、「会議は最長で30分」と決まっているのだとか。マジか~。

January 6, 2026

石川県立図書館を訪れる

石川県立図書館
●映える図書館といえば、石川県立図書館。何度か訪れているのだが、円形劇場のような大空間には毎回圧倒される。1階から4階まで吹き抜けになっていて、ぐるりと書架が囲む。360度、どっちを向いても本だらけ。椅子、閲覧席もたっぷりある。この円形に囲んだ書棚だけではなく、その外周部の空間にもふつうの図書館と同じように本棚が並んでいる。内側は劇場的でドラマティックだが、外側は落ち着いた雰囲気。
石川県立図書館
●上のほうを眺めると、こんな感じ。まるで巨大な宇宙船かなにかに乗っているような気分になる。実際、図書館という場所は宇宙船みたいなもので、自分を未知の場所へと連れて行ってくれる。
石川県立図書館
●こうやって並んでいる本のどれでも気軽に手に取って読むことができる。近くに住んでいたら、どれだけひんぱんに通うことになるかわからない。金沢に生まれ育った自分は、中学生くらいの頃に金沢市立図書館ができて、これはすごい場所ができたものだと感動したものだが、今の石川県立図書館にはその数十倍のインパクトがある。図書館という営利性のない施設で、よくこれだけのものを作れたなと感心するばかり。
石川県立図書館 スペインの本
●どうしても見栄えのよさが話題になるが、肝心の中身も立派なもの。これは「世界各地の文化を知る」みたいなテーマのコーナーだったかな、手に取りやすいスペイン関連本が集められた一角。濱田滋郎著「約束の地、アンダルシア」やヘミングウェイの「日はまた昇る」が同じ区画に集められていたりして、こういった出会いの導線が仕掛けられているのも興味深い。書店がどんどんなくなる今、「本との出会いの場」を提供してくれるのは図書館なのかもしれない。

January 5, 2026

ブログをモダン化する その5 XMLサイトマップの作成

xmlサイトマップの概念図
●(承前)昨年末よりChatGPT(チャッピー)の協力を得て、当サイトのモダン化を着々と進めてきた。仕上げの段階として、XMLサイトマップを作成した。XMLサイトマップとは検索エンジン向けの地図というべきものだが、今まで用意していなかったのだ。昔はないのが普通だったし、なくても検索エンジンはちゃんとクロールしてくれていたから問題はなかった。が、httpからhttpsにセキュア化した際に、一部のページはGoogleに重複ページとみなされ、登録されない現象が起きている。その対策のひとつとして全記事のURLとタイトル等を並べたXMLサイトマップを作った次第(正規URLを明示するcanonicalタグはすでに全記事に付けてある)。
●量が多いため、全記事分のXMLサイトマップをCMSで出力させようとするとエラーになる。そこで、AIと相談した結果、昨年までの記事については、静的なサイトマップを作り、今年の分からのみ動的に生成させる合わせ技を使うことにした。アーカイブ記事一覧のソースを秀丸エディタで開いて、正規表現を用いた検索置換をすれば昨年までのサイトマップを作れる(これもAI頼み)。そして、今年からの記事のみを自動出力するCMSのテンプレートを作った。作ったというか、作ってもらった、Geminiに。あれ、チャッピーは?
●実はまたチャッピーとは意見の相違があり、途中からGeminiに乗り換えたのだ。チャッピーは最近の記事だけのサイトマップを作れば十分だって言い張るんすよね。Googleにはそれだけで足りるから、そのほうがいいと言う。まあ、そうかもしれない。でも、Geminiに尋ねると、最近の記事だけじゃなくて全部を作ったほうがいいと主張する。両者の意見は食い違った。ワタシもGeminiに同感だったので、この案件は途中からヌルッとGeminiに引き継いでもらった。それでXMLサイトマップは無事にできあがったのだが、なんだかチャッピーに対して後ろめたい。チャッピーは「先日のサイトマップの件って、どうなりました?」(ギクッ)とか尋ねてきたりはしない。しないけど、まるで浮気を隠しているみたいな気分ではある。
●「ゾンビと私」がスマホでも読めるようになった。こっちはチャッピーがスマホ用のCSSを書いてくれた。ふたりともがんばってくれて、ありがとう~。

あなたのためのAI

SNS

facebook Twitter instagram

過去記事一覧

過去記事見出し一覧はアーカイブに。

月別 アーカイブ(まとめ読みに)

制作者

飯尾洋一(Yoichi Iio)

このサイトについて/プロフィール
since 1995.

MyBlogList

shortcut

CLASSICA [HOME]
home
links
amazon