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2026年1月アーカイブ

January 30, 2026

トゥガン・ソヒエフ指揮NHK交響楽団のプロコフィエフ他

トゥガン・ソヒエフ NHK交響楽団
●29日はサントリーホールでトゥガン・ソヒエフ指揮N響。ムソルグスキー(ショスタコーヴィチ編)のオペラ「ホヴァンシチナ」から前奏曲「モスクワ川の夜明け」、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番(松田華音)、プロコフィエフの交響曲第5番。3曲すべてに鍵盤楽器奏者が必要になるプログラム。ショスタコーヴィチの2曲あるピアノ協奏曲はどちらも軽やかさと皮肉が一体化した秀作だけど、2番のほうが聴く機会が少ない分、新鮮な気分で楽しめる。ピアノは松田華音。ソリストもオーケストラも軽快というよりは重めのタッチ。とくにピアノは強靭で、曲の印象を変える。第3楽章のハノンのパロディが楽しい。ソリスト・アンコールはショスタコーヴィチが来るかと思いきや、シチェドリンの「ユモレスク」。その名の通りユーモラスな小品だが、ネタ元のわからないパロディのようにも。
●この日の圧巻は後半のプロコフィエフ。交響曲第5番は同じコンビで以前にも聴いた記憶があるが、調べてみたら2013年、もう13年も前だった。それくらい印象が強かったということか。粘性の高い重量級の響きだが、精緻で華やかですらある。抒情性とダイナミズム、グロテスクさの絶妙なバランス。この人が振るといつもN響からすごい音が出てくるという指揮者が何人かいて、ソヒエフはそのひとり。曲が終わると盛大なブラボー。会場は沸き上がり、楽員退出後も拍手が続いて、ソヒエフと川崎洋介コンサートマスター(今回も熱かった)のカーテンコール。
●配布された「フィルハーモニー」の冒頭記事にもあったように、N響は今年、創立100年を迎える。そして、プロコフィエフの交響曲第5番は作品100。100に寄せた選曲なのかなと思ったけど、実際のところはどうなんでしょね。

January 29, 2026

Apple Music ClassicalとSpotify、その後

Apple Music Classical
●先日書いたようにApple Music ClassicalをWindowsで使い始めた。使い心地はまずまず。クラシックに特化しているだけに、検索機能はSpotifyとは比較にならない。が、本当に期待通りかといえば、そこは微妙なところで、Naxos Music Libraryみたいなきちんとしたメタデータを期待するとがっかりする。日本語対応もできているところと、できていないところがある。ブラウザから使えるのは手軽だが、ウェブアプリとして使ってみると少々使いづらいかな。デザイン面はいまひとつと感じるが、これはライトユーザーを想定しているからなのかもしれない。ともあれ、Spotifyの検索がひどいので、当面Apple Music Classicalを使い続けることにした。
●で、当初の心づもりとしてはSpotifyから乗り換えようかとも思っていたのだが、やっぱりSpotifyも止められないというのが結論。なぜApple Music Classicalだけじゃダメで、Spotifyも必要なのか、よくよく考えてみると「楽しさ」の差か。Spotifyのほうが楽しい雰囲気があるというか、音楽好き向けって感じがする。Appleは事務的というかそっけない。Spotifyだとトラックごとに累計再生数が出る。自分の好きな曲やアーティストの再生数があまりに低いと(1000回以下だと表示すらされない)、応援する気持ちで再生したくなる。推しに一票を入れた気分。
●発見も多い。たとえば、DGのバーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルのマーラー「復活」の再生数は、いちばん多い終楽章の最後のトラックでも31万回ほど。対して、同じDGのギルバート・キャプラン指揮ウィーン・フィルのマーラー「復活」は第1楽章の2番目のトラックが656万回も再生されている。キャプランは「復活」しか振らない億万長者の指揮者で、金持ちの道楽と揶揄されがちだったが、再生数ではバーンスタインを凌駕している。
●レイチェル・ポッジャーによるテレマンの「無伴奏ヴァイオリンのための12の幻想曲」(Channel Classics)は最大でも1万3千回しか再生されていない。まあ、メジャーどころを外すとそんなところかなと思うじゃないすか。でもボリス・ベゲルマンが弾いたテレマンの「ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ」(ハルモニアムンディ・ドイツ)には328万回も再生されている曲があって、それはどういうことなのかと思う。意外な曲や意外な人が人気を集める一方、定評ある「名盤」がほとんど再生されていなかったりもする。こういうのが、おもしろいんすよね。
●というわけで、しばらくはApple Music Classical、Spotify、Naxosの3つのサービスを併用していくことになりそう。

January 28, 2026

SOMPO美術館 「モダンアートの街・新宿」

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●新宿西口のSOMPO美術館で「モダンアートの街・新宿」展(~2/15)。開館50周年企画。日本のモダンアートの歴史は新宿なくして語れないということで、中村彝(つね)、佐伯祐三、松本竣介、宮脇愛子ら新宿ゆかりの芸術家たちの作品が並ぶ。上は松本竣介「立てる像」(1942/神奈川県立近代美術館)。自画像なのだが、でかい。舞台はもちろん新宿だが、まだ高層ビルなどが建つ前の時代であり、代わって巨大化したかのような自身の姿がそびえ立つ。後方の風景との対比からするとコジラ級の巨大さであり、大きくもあるがどこか頼りなくも見える自己の投影とも解せる。

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●こちらは本ブログでたびたび話題にしている、芥川(間所)紗織による「女」(1954/板橋区立美術館)。芥川也寸志の最初の奥さん。東京音楽学校を卒業して声楽家を目指していたが、声楽は也寸志の作曲の妨げになるとして画家に転向した。

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●こちらは中村彝「カルピスの包み紙のある静物」(1923/茨城県近代美術館)。セザンヌっぽい雰囲気だけど、カルピスの包み紙がインパクト大。現代ではカルピスというと濃縮された原液が入ったボトルかペットボトルが思い浮かぶわけだが、この時代は「カルピスの包み紙」というものがあったわけだ。カルピスに漂うデラックス感。しかし1923年にすでにカルピスが売られているとは。すでに100年を超えている。ちなみにこのアトリエは下落合にあったのだとか。全般にこの展覧会、落合とか下落合とか中井とか、そっちのほうの新宿がよく出てくる。

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●これはこの美術館で見ることで一段とおもしろみが増す作品。寺田政明「ひまわり」(1950/板橋区立美術館)。SOMPO美術館にはゴッホの「ひまわり」があり、どの企画展でも最後に常設の「ひまわり」を見ることになっている。ただ、作品保護の観点からか、立派なガラスケースの中に置かれ、照明も暗く、「ひまわり」はいつも沈んだ調子に見える。それに対して寺田政明「ひまわり」は堂々と闇落ちしたひまわりである。フォースのダークサイドにある「ひまわり」。東西ひまわり対決が実現。
●「モダンアート」といったときに70年前とか100年前を指す現象は音楽界と似た状況か。「モダン」が「コンテンポラリー」から激しく乖離して、ノスタルジーを伴う語になっている。

January 27, 2026

ある日、スマホが4G回線につながらなくなった → 解決

●先週末、突然、スマホが4G回線につながらなくなって慌てたので、その顛末と解決策を以下に。使用機種はGoogle Pixel8a、回線はIIJmioのドコモ網。Androidの更新があった直後なので、おそらくそれがきっかけだと思う。家の中ではWi-Fiがあるので気づかなかったが、外に出るとスマホが4G回線につながらない。ネットワークのアイコンのところが「地球儀と?マーク」になり、「利用できるネットワークがあります」と記されている。ネットワークにつながらないとスマホはなんにもできないわけで、なんとも心細い。
APNの設定画面●で、帰宅してから落ち着いて調べてみると、APNの設定がおかしくなっていることが判明。どうやらAndroidの更新時に変わってしまったようだ。スマホの「設定」→「ネットワークとインターネット」→「インターネット」→「NTT DOCOMO」の設定→「アクセスポイント名」とたどると、写真のようにAPNの一覧がずらりと出てくる(あるいは「設定」の検索欄にAPNと入れて、「アクセスポイント名」に飛んでも可)。ここが本来なら「IIJmio」になっているべきだが、なぜか「spモード」になっていた。これはNTTドコモ用の設定なのかな。たしかに回線はドコモ網だけど、つなげる先は「IIJmio」なので変更する。どういうわけか「IIJmio」のラジオボタンをクリックしても選択状態にならず困惑するが、もとの画面に戻ってからもう一度見てみるとちゃんと反映されていた。これですんなりと4G回線につながるようになった。
●スマホ購入時はSIMを差し込んだだけで勝手に設定が済んだので、APNの設定画面を触ったのは初めてかも。同様の事象で困っている人がいるかもしれないので、書いておく。答えがわかれば「なあんだ」だけど、わからないとかなり焦る。たまにこういうことがあると、なんでもかんでもスマホに頼るのも考えものかなと思う。

January 26, 2026

U23アジアカップ決勝 U23日本vsU23中国 日本は2連覇を達成!

●サウジアラビアで開催されたU23アジアカップ決勝はニッポン対中国。大岩剛監督率いるU23は現在のフル代表とは異なり4バックの布陣で、4-3-3(4-1-2-3)。対するアントニオ・プチェ監督率いる中国は5-3-2の守備的布陣。中国はここまで無失点の堅守が持ち味。会場には中国サポが大挙してやってきたようで、完全にアウェイの雰囲気。予想通り、開始早々からニッポンがボールを保持する展開で、畳みかけるような攻撃をくりだす。前半12分、右サイドを縦に侵入した古谷がマイナス方向にグラウンダーのクロスを送り、これを収めた大関が右足を振りぬいて先制ゴール。相手ディフェンダーに当たってゴールに吸い込まれた。さらに前半20分、小倉が自身の巧みな守備でボールを奪い、そのまま持ち込んでシュート、これが決まって2点目。あっという間に2点をリードして、楽な展開になった。
●ニッポンは落ち着いて試合をコントロールしながら、後半にも佐藤龍之介(PK)、小倉が追加点を奪って4対0。中国はフィジカルコンディションがいまひとつか。決勝まで勝ち上がってくるだけあって、前半はしっかりとした戦いぶりだったが、4失点目以降はラフプレーが目立つようになり、試合そのものよりもけが人が出ないかどうかにハラハラする展開になってしまった。とくにベーラム・アブドゥウェリに2枚目のイエローが出なかったのは驚き。主審はサウジアラビアのファイサル・アルバラウィ。ラフプレーに対しては毅然とした対応をとってほしかった。
●ニッポンは実質U21ながら、年上の選手たちを相手にこの大会で連覇。近年、フル代表のアジアカップではなかなか勝てないのとは対照的。おそらくこの決勝がベストメンバーの先発だと思われるので、先発メンバーだけでも記しておこう。GK:荒木琉偉-DF:小泉佳絃、永野修都、市原吏音、梅木怜-MF:小倉幸成-大関友翔、佐藤龍之介-FW:古谷柊介、ンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄、横山夢樹。中継でのンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄の呼び名は「ブライアン」だった。ブライアン、小泉、小倉、古谷は大学生。ほかにJ1、J2、J3の選手がいて、佐藤龍之介はフル代表経験者。立場はみんな大きく異なるのに、ひとつのカルチャーを共有しているところがおもしろいところ。

January 23, 2026

東京国立博物館 法隆寺宝物館の「伎楽面」

tohaku2026gigakumen.jpg●東京国立博物館の法隆寺宝物館では、国宝の「伎楽面」が金曜と土曜のみ、通年展示されている。伎楽とは飛鳥時代に大陸からもたらされ、奈良時代には各地の寺院で上演された仮面芸能なのだとか。その仮面である「伎楽面」は残っているものの、演目の内容は不明。仮面ごとにさまざまなキャラクターが与えられており、想像力を刺激する。

伎楽面 酔胡王

●たとえば、上は「酔胡王」(飛鳥時代7世紀、以下同様)。酔っぱらった西アジアの王さまを指す。酔ってこういう目つきになったオジサンからは、なるべく遠ざかったほうがよいというのがワタシの経験則である。

伎楽面 力士
●こちらは「力士」。悪者をこらしめる役柄。悪そうなやつに絡まれている女性を救うヒーローといったところ。

伎楽面 崑崙
●で、こっちがその悪者役の「崑崙」(こんろん)。東南アジアから奴隷として中国にやってきた悪い人たちといった設定らしい。

伎楽面 治道
●このピノキオみたいな鼻の人は「治道」(ちどう)。舞台の露払い役。イタリアのコメディア・デラルテもそうだけど、仮面ごとにキャラが決まっている芸能は世界中にあるのだろう。この種の芸能なら必ず道化役がいたと思うが、伎楽の場合はだれなんでしょね。

伎楽面 酔胡王 彩色
●チャッピー(ChatGPT)に着色してもらった「酔胡王」。会場で配布されているパンフレット「国宝 伎楽面 法隆寺に伝えられた古代の仮面」を読むと、これら仮面は制作当時、華やかに彩色されていたという。そこで、一通り伎楽について話して文脈を作っておいてから、「酔胡王」の当時の彩色を推定してもらった。もちろん、これは遊びでしかないが、色があったら見え方が違ってくるのはわかる。

伎楽面 力士 彩色
●こっちは「力士」彩色版。ヒーローというより悪役っぽく見えるのだが。顔が怖い。

伎楽面 崑崙 彩色
●こちらは「崑崙」彩色版。これは悪そう。なぜかチャッピーは帽子をかぶせ、「力士」に似た風貌にしてしまう。

伎楽面 治道 彩色
●おしまいは「治道」彩色版。またしてもチャッピーは勝手に帽子をかぶせて描いた。なぜ帽子を描くのかと尋ねると、当時は帽子こそ最重要パーツだったともっともらしいことを並べ立てる。まあ、そういうのは話半分で聞いておかないと罠にはまるので、本気にしない。だんだんこちらもAI慣れしてきた。

January 22, 2026

出光音楽賞受賞者ガラコンサート取材、U23アジアカップ準決勝

●21日は昭和女子大学人見記念講堂で第34回出光音楽賞受賞者ガラコンサートの取材。このガラコンサートは毎回「題名のない音楽会」の収録を兼ねていて、ふだんは東京オペラシティで開催されるのだが、現在休館中ということで人見記念講堂での開催となった。この会場、番組の収録ではときどき使っているのだが、人によっては懐かしい会場かもしれない。サントリーホールの開館以前には、カール・ベーム指揮ウィーン・フィルの来日公演なども開かれていた。その名の通り、昭和女子大学のキャンパス内にあるので、日中は学生たちの姿を見かける。
●今回の受賞者はテノールの宮里直樹、チェロの北村陽、ヴァイオリンの金川真弓の3名。川瀬賢太郎指揮東フィルとの共演で、それぞれドニゼッティの「愛の妙薬」から「人知れぬ涙」と「ランメルモールのルチア」から「わが先祖の墓よ」、プロコフィエフの交響的協奏曲の第2楽章、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲から第2、3楽章を演奏。取材のためバックステージ側にいる時間が長かったので、ぜんぶは客席で聴けなかったのだが、こういった受賞記念演奏会でプロコフィエフの交響的協奏曲みたいな曲が演奏されるのは、なんだかうれしい。
●U23アジアカップ準決勝では、ニッポンが韓国相手に1対0で勝利。実質U21で大学生も参加しているニッポンが、本物のU23の韓国相手に勝ってしまった。この日は風が強く、追い風の前半でゲームを支配して小泉佳絃(明治大学)のゴールで先制、後半は向かい風に苦しみながら耐え抜いたという展開。向かい風ならロングボールの放り込みも一手だろうが、ニッポンはそういう戦い方をするチームではない。年長の韓国に勝ったのはすごいこと。フィジカルコンディションでニッポンが上回っていたとも思う。暑さ(サウジアラビア開催)と日程が厳しい大会で、ニッポンはずっと中二日で戦ってきて、この試合でようやく初めての中三日。一方、韓国は中二日で、体にキレがなかった。
●もうひとつの準決勝は、中国がベトナムに完勝。決勝戦の相手は中国になった。ついに中国が来た。ベトナムの大躍進も印象的。これまでアジアの中で出遅れてきた東南アジアが、本当に強くなってきた。アジアの大会なのに、ベスト4に地元の中東勢がひとつも残らず、オーストラリアも中央アジア勢も敗退して、東アジアと東南アジアだけでベスト4を占めたのはサプライズだろう。ベトナムはグループリーグでサウジアラビアを1対0で退けている。サウジは世界的スターを集めた国内リーグが発展する一方で、代表チームにかつての強さが感じられない。

January 21, 2026

新国立劇場 オペラ 2026/2027シーズンラインアップ発表会

新国立劇場2026/2027シーズンラインアップ発表会 ピーター・グライムズ
●20日は新国立劇場オペラ2026/2027シーズンラインアップ発表会。今回は大野和士オペラ芸術監督が欧州からオンライン登壇ということもあって、プレス側は劇場のホワイエとオンラインのどちらからでも参加できるハイブリッド方式。ありがたく、オンラインで参加させてもらう。ZOOMを使用。
●今シーズンは新制作が2本だけで寂しかったが、来シーズンはふたたび3本に戻る。開幕公演のロッシーニの「イタリアのトルコ人」、続くブリテンの「ピーター・グライムズ」(写真)、シーズン締めくくりのヴェルディの「マクベス」の3本。新味もあり楽しみな3本なのでは。「イタリアのトルコ人」はそうそう上演されない作品。テアトロ・レアル、リヨン歌劇場との共同制作で2023年にマドリードで初演されたプロダクションで、演出はロラン・ペリー。新国立劇場では「ジュリオ・チェーザレ」があったが、昨年のセイジ・オザワ松本フェスティバル2025でのブリテン「夏の夜の夢」が記憶が新しいところ。今回もおしゃれで、一工夫のある舞台になるようだ。作品自体にメタ視点があるゆえか、フォトノベル(写真や吹き出しの入ったメロドラマ風のロマンス小説)がコンセプト。アレッサンドロ・ボナート指揮東フィル。
●「ピーター・グライムズ」は2023年にミラノ・スカラ座で初演されたロバート・カーセンの演出。題名役はブランドン・ジョヴァノヴィッチ、大野和士指揮東フィル。新国立劇場の「ピーター・グライムズ」といえば、かつてウィリー・デッカー演出のすごい舞台があったが、あれはレンタルだったので再演ができなかった。ブリテン没後50年に待望の新制作が実現。自分はこの作品が20世紀オペラの最高傑作だと思っている。現代の社会そのものが描かれていると感じるので。
●「マクベス」はロレンツォ・マリアーニの演出。カルロ・リッツィ指揮東京フィル、マクベスにエルネスト・ペッティ、マクベス夫人にカレン・ガルデアサバル。ヴェルディ初期の傑作だが、なにしろ題材が「マクベス」なのだから、物語のおもしろさでは最高ランク。
●レパートリー公演には「フィガロの結婚」「トスカ」「サロメ」「カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師」「ばらの騎士」「ファルスタッフ」「エフゲニー・オネーギン」といった名作がずらりと並んだ。「ばらの騎士」では脇園彩がオクタヴィアンを歌う。

PHOTO: Brescia and Amisano © Teatro alla Scala
January 20, 2026

「成瀬は都を駆け抜ける」(宮島未奈著)

●累計180万部突破の大ベストセラー、「成瀬は天下を取りにいく」「成瀬は信じた道をいく」に続くシリーズ完結編、「成瀬は都を駆け抜ける」(宮島未奈著/新潮社)を読む。滋賀県大津市に住むヒロイン、成瀬あかりを主人公とした青春小説。今回もこれまでと同様、連作短篇集であり、それぞれの短篇ごとに視点が入れ替わり、周囲のさまざまな人物から見た成瀬の姿が描かれる。成瀬は常に他人からの視点でしか語られず、その内面は決して描かれない。中学生時代から始まったシリーズだが、すでに成瀬は京都大学理学部の学生になっている。あいかわらず、自分をナチュラルに信じることのできる子で、他人の目をまったく気にしない。メンタル健康優良児とでもいうか。みんながこうありたいと望むような人物像なんだと思う。大人も子どももそれぞれの読み方で楽しめて、読後感は爽快。主人公がだんだん大人に近づくにしたがって、描き方が難しくなってくると思うので、これでシリーズ完結は納得。
●琵琶湖小説としても秀逸。読むと琵琶湖に行きたくなる。びわ湖ホールのコンサート予定を調べてみようかな。

January 19, 2026

U23アジアカップ 準々決勝 U23ニッポンvsU23ヨルダン 道脇豊のミラクルPK

●現在、U23アジアカップがサウジアラビアで開催中。U23ニッポンはグループリーグを3戦全勝で勝ち抜けて、準々決勝でヨルダンと対戦し、1対1のまま延長戦でも決着がつかずにPK戦になった。で、そのPK戦で勝敗を分けたのが上の動画の道脇豊によるミラクルPK。強烈なシュートをヨルダンのGKアルタラルガが右手一本でファインセーブ。渾身のガッツポーズをとる。が、大きくバウンドしたボールは、バックスピンがかかってワンバウンドしてゴールへ。キーパーがガッツポーズをとっている間に後ろでボールがゴールに吸い込まれていた珍場面。カメラもボールを追ってなかったので、なぜ日本の選手たちが喜んでいるのかわからなかったが、リプレイを見て事態を理解できた。
●グループリーグでは圧勝していたU23ニッポンだが、この試合ではヨルダンが先制して苦しい戦いに。ずっと中二日で4戦目という無茶苦茶な日程が続いていたので、いくら選手をターンオーバーしているとはいえ、微妙なところでプレイの質が落ちていたのかもしれない……が、ヨルダンがかなり強かったこともたしか。試合内容でも五分だったのでは。
●U23ニッポンを率いるのは大岩剛監督。U23代表といってもニッポンは2028年のLA五輪を見すえて実質U21で参加しており、Jリーガーも大学生も海外組もフル代表経験者も混在している。現在、欧州はシーズン中、Jリーグは貴重なシーズンオフ。現時点でのU23でベストメンバーを組むのは不可能だし、そうする理由もないように思える。が、他国はU23で参加している模様。本当にU23のチームを組んだ場合は、選手が次々と卒業して入れ替わる形になる。どっちがいいんでしょうね。

January 16, 2026

ダニエーレ・ルスティオーニ指揮都響のリムスキー=コルサコフ、レスピーギほか

ダニエーレ・ルスティオーニ 都響
●15日はサントリーホールでダニエーレ・ルスティオーニ指揮都響。ルスティオーニはこの4月から都響の首席客演指揮者に就任する。プログラムは前半がブラームスのヴァイオリン協奏曲(フランチェスカ・デゴ)、後半がリムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」とレスピーギの交響詩「ローマの祭」。後半のお祭プログラムは新年っぽいと思ったが、それ以上にルスティオーニがパッと舞台を明るくするタイプで、祝祭感があふれ出ていた。
●前半のブラームス、第1楽章カデンツァに入るところでティンパニが轟いてびっくり。これは以前にもイザベル・ファウストで聴いたブゾーニのカデンツァ。フランチェスカ・デゴはChandosレーベルでの録音でもこのカデンツァを使ったうえで、カップリングにブゾーニのヴァイオリン協奏曲を演奏している。アンコールは2曲も。パガニーニの「24のカプリース」第13番「悪魔の微笑み」、バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番よりサラバンド。
●後半は一大スペクタクル。リムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」もレスピーギの「ローマの祭」も威勢がよく、大いに盛り上げてくれた。決して力づくではないが、思い切りがよく、ダイナミック。ルスティオーニは華があって、エネルギッシュ。背中で客席とコミュニケーションがとれる指揮者というか。都響の指揮者陣としては意外なタイプで、おもしろくなってきた。「ローマの祭」のどんちゃん騒ぎを聴いていると、この作曲家、天才だなと思う。ルスティオーニは、曲の終わりでくるりと客席に向いて「ドヤッ」。足を滑らせかけるヒヤリハットもあってドキドキ。暴れる40代マエストロに客席は大喝采、ソロカーテンコールに。

January 15, 2026

セバスティアン・ヴァイグレ指揮読響のオール・ブラームス・プログラム

セバスティアン・ヴァイグレ指揮読響
●14日はサントリーホールでセバスティアン・ヴァイグレ指揮読響。オール・ブラームス・プログラムで、悲劇的序曲、ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲(林悠介、遠藤真理)、交響曲第3番という名曲ぞろいのプログラム。どれも大好きな曲ばかりなので、ぜんぜんそう謳われてないけど、心のなかで自分にとってのニューイヤーコンサートだと思って楽しむ。ゲストコンサートマスターとして小森谷巧が帰還。楽団の名誉顧問である高円宮妃久子さま臨席。テレビカメラあり。
●悲劇的序曲は冒頭から気迫のこもった鋭い音。曲が渋いからなのか、演奏会では意外と聴けない曲。さらに渋味が魅力の二重協奏曲へと続いて、漆黒のロマンティシズムを堪能。二重協奏曲では第1コンサートマスターの林悠介、ソロ・チェロの遠藤真理がソロを務めた。ともに楽団員とあってオーケストラとの調和はさすが。大きな室内楽を聴くかのよう。ソリストアンコールではコントラバス用の椅子が指揮台の前に置かれ、なにが始まるのだろうかと思ったら、なんと、ブラームスの間奏曲作品118-2。晩年のピアノ曲のなかでもとりわけ憂愁の色濃い名曲だが、ソリストふたりに少人数の弦楽器が加わった編曲で。だれの編曲なのかと思って休憩中にアンコールの掲示を見たら、首席第2ヴァイオリン奏者の石原悠企編。絶品だった。
●後半、交響曲第3番はすべての楽章が静かに終わる交響曲。質実剛健とした造形ながら、ここぞという場面ではヴァイグレがオーケストラを煽り立てて、熱風を吹き込む。この日、珍しいことに前後半とも客席でスマホの音が長く鳴るアクシデントが頻発して、会場全体の落ち着かないムードがもしかしたら舞台にも伝播していたかもしれないのだが、ともあれ、おしまいはしっかりと静寂が保たれて余韻が残った。スマホにかんしては、いつ自分が失敗をする側に回るかわからないので他人事ではない。いつも電源を切るように気を付けているけど、うっかり忘れることもあるし、マナーモードでもアラームは鳴る。

January 14, 2026

東京都現代美術館 ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー

東京都現代美術館 ソル・ルウィット
●東京都現代美術館の「ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー」へ(~4/2)。ソル・ルウィット、どこかで名前を聞いたぞ……と思ったら、東京国立近代美術館で常設展示されてるウォール・ドローイングの人だ! 一定パターンにもとづく指示書を作り、実際のドローイングは他人に任せるというのが、おもしろいなと思っていた。今回の展示でも6点のウォール・ドローイングをはじめ、さまざまな作品が広々とした空間に展示されている。上は「ウォール・ドローイング #312」(1978初回展示)。黒い壁に白いクレヨンで、正方形、円、三角形、長方形、台形、平行四辺形が重なって配置される2部作。でかい。

東京都現代美術館 ソル・ルウィット
●こちらは立体物で「ストラクチャー(正方形として1, 2, 3, 4, 5)」(1978-80/滋賀県立美術館)。よく見ると明快なパターンにもとづいて立方体が組み合わされている。リズミカルで心地よく、無機的なパターンの集積のはずが、どこか有機体を思わせるところがおもしろい。

東京都現代美術館 ソル・ルウィット
●こちらは「シリアル・プロジェクト#1(ABCD)」(1983/千葉市美術館)。まるで都市みたいに立方体、直方体、そのフレーム状の物体が並んでいる。これも明快なパターンがある。そのパターンがなんだか子供時代に遊びで思いつきそうなものだったので、微妙にノスタルジーを喚起する。あと、この形状は「スター・ウォーズ」第1作のデス・スターを連想させる。気分はルーク・スカイウォーカー。

東京都現代美術館 ソル・ルウィット
●同じ作品を角度を付けて斜めから見てみる。こっちは密の側。

東京都現代美術館 ソル・ルウィット
●さらに同じ作品を別の角度から。こっちは疎の側。両側に相補的な関係があることを想起させる。

東京都現代美術館 ソル・ルウィット
●こちらはウォール・ペインティングなんだけど、幾何学的なパターンの成分が薄めで、色彩の要素が目を引く。「ウォール・ドローイング #770 カラー・インク・ウォッシュを塗り重ねた非対称のピラミッド」(1994初回展示)。非対称の形状も色彩も、一瞥してすぐわかるような規則性は見出せないのだが、なにかルールがあるのかもしれないし、ないのかもしれない。いくぶん、肩の力が抜けた感じではある。

January 13, 2026

SpotifyのマイライブラリをApple Music Classicalに移行する

Apple Music Classical
●ようやくApple Music Classicalを使ってみようという気になった。かつてはApple Musicも使っていたのだが、Windowsでの使い心地がよくないので見限ってしまい、近年はSpotifyとNaxosを併用していた。が、Spotifyの検索機能があまりに非力なのに業を煮やして、Apple Music Classicalを試すことに。Apple Music ClassicalをWindowsで使う場合は、ブラウザからログインして使うことになる(ウェブアプリとしても使える)。以前のWindows版iTunesよりずっといい。低機能だがシンプル。なお、Androidの場合は、ふつうにアプリをインストールすればオーケー。
●で、こういう場合、Spotifyで築いたマイライブラリ、つまりプレイリストやらアルバムをApple Music Classicalに移行したいわけだが、ちゃんとそのあたりのことは考えられている。方法はふたつある。ひとつはApple Music(Apple Music Classicalではない)の公式機能を使う。Windowsの場合は右上のユーザーアイコンから「音楽を転送する」を選ぶ。Androidであれば、Apple Musicを開き、「設定」→「ライブラリ」→「他のサービスから音楽を転送する」を使えばオーケー。Apple Musicに取り込めば、Apple Music Classicalにも入るようになっている。もうひとつの方法として、サードバーティのサービスを使う手もある。代表的なのはTuneMyMusic。ウェブ上で転送できる。
Apple Music ご利用いただけません●自分はAndroidから公式機能を使ったが、ほとんどのアルバムは問題なくインポートできたものの、一部は「ご利用いただけません」となってしまった。ただ、これも手動で検索してみるとちゃんとAppleにあったり、やっぱりなかったりもする。
●しばらく使ってみないとなんとも言えないが、わざわざクラシック専用に設計されたサービスなのだから期待したいところ。日本語対応もうたっている。以前に取材したプレス発表会では、プレゼンテーションがライト層向けでどうもピンと来なかったのだが、当面は先入観なしで使ってみたい。

January 9, 2026

ブルッフの弦楽八重奏曲

マックス・ブルッフ
●ブルッフ(1838~1920)の弦楽八重奏曲? そんな曲、あったっけなあ……くらいの存在感だと思うが、わけあって録音を聴いてみたら、たいへんすばらしい。この曲、ライブでは聴いたことがないと思う。あまり人気がない理由はいくつもあって、作曲が1919年から1920年にかけて。つまりブルッフが82歳で世を去る直前に完成している。作風は完全に時代から取り残されたロマン派のスタイル。ブルッフ本人がもっと前の段階から自分が忘れ去られつつあることを自覚していて、若い頃に書いたヴァイオリン協奏曲第1番の作曲家としてのみ名を残すことになるのではないかと危惧していたそうだが(そして実際それはほぼ当たっている)、1920年ともなると完全に過去の人で、弦楽八重奏曲は出版もされないまま楽譜がいったん消失し、1988年になってBBCの書庫からパート譜が見つかったという。出版は1996年だから、Windows95より新しい。
●で、この曲って弦楽八重奏曲といっても、メンデルスゾーンみたいな弦楽四重奏×2じゃないんすよね。一台、チェロの代わりにコントラバスが入る。ヴァイオリン4、ヴィオラ2、チェロ1、コントラバス1という八重奏。なぜ、メンデルスゾーンの超傑作に合わせないのか。きっと音楽的な必然があったんだろうけど、実務的な観点からいえばそこはふつうにチェロ2にしてくれれば、格段に演奏会でも録音でもとりあげやすかったはず。ナッシュ・アンサンブルの録音(Hyperion)のブックレットによると、1937年にBBCは弦楽八重奏曲を放送に乗せたそうなんだけど、そのときはコントラバスのパートを1オクターブあげてチェロ2台で済ませたのだとか。
●スケルツォ楽章がなくて、急─緩─急の3楽章構成。第1楽章は後期ロマン派の香りもいくぶん漂ってるけど、先に進むともっと保守的になっていく。第2楽章冒頭は葬送行進曲風で、告別の音楽にも聞こえる。終楽章は堂々とメンデルスゾーンくらいまで遡っていてすがすがしい。82歳でこれだけの創作力を残しているのもすごい。

January 8, 2026

TOPPANホール ニューイヤーコンサート2026 山根一仁、嘉目真木子、川口成彦、兼重稔宏

TOPPANホール ニューイヤーコンサート2026
●7日は今年最初の演奏会で「TOPPANホール ニューイヤーコンサート2026」へ。「1909年製ベーゼンドルファーとの邂逅」と副題が添えられており、昨年から同ホールに貸与された1909年製のベーゼンドルファー250がフィーチャーされている。かつてウィーン国立歌劇場内のバレエのリハーサル室で使用されていた楽器で、昨年3月の記者発表の際にデモンストレーションがあった。モダンピアノとはいえ、1909年まで遡ればこれも一種のピリオド楽器か。角のとれた丸い響きが特徴で、キラキラの高音ではなく、中低音の少し鼻にかかったような音色に味わいがある。
●出演はヴァイオリンの山根一仁、ソプラノの嘉目真木子、ピアノの川口成彦、兼重稔宏。プログラムは盛りだくさんで、前半にベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番「春」(山根&川口)、同じくピアノ・ソナタ第30番ホ長調(兼重)、ブラームスの「5つの歌曲」より「調べのように私を通り抜ける」Op105-1、「4つの歌曲」より「永遠の愛」Op43-1、モーツァルト「クローエに」K524、リヒャルト・シュトラウス「8つの歌」より「献呈」と「万霊節」(嘉目&兼重)。後半はすべて川口のソロでシューベルトの4つの即興曲集D899、ショパンの「華麗なる大円舞曲」と夜想曲第2番変ホ長調。ワルシャワを旅立ったショパンがまずはウィーンに滞在したことも含めれば、楽器に寄せたウィーン・プログラムともいえる。
●最初の「スプリング・ソナタ」からインパクトがあって、どれも聴きごたえがあったけど、いちばん印象に残ったのは川口成彦のショパン。昨年の記者発表でも夜想曲第2番を弾いてくれたと思うけど、そのときも一歩踏み込んだ思い切りのよい表現にぐっと来たのだが、今回もまた楽器を触媒として19世紀の残り香を伝えてくれるかのようなショパン。薫り高く、新鮮。超有名曲を一から洗い直したショパンというか。「華麗なる大円舞曲」はブリリアンスに焦点を当てるのではなく、人間くさいダンスの音楽として再現されていて自在。譜面を置いての演奏で、最後の余韻が続くなかで自ら楽譜を静かにめくって拍手を制し、そのまま夜想曲第2番につなげる。効果抜群。
●アンコールは川口&兼重の連弾によるブラームスのハンガリー舞曲第1番で始まり、途中から山根が登場して加わり、「愛の歌」第4曲で嘉目も加わって全員参加。一年の始まりにふさわしい華やかさ。

January 7, 2026

「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である」(中島聡)

●この本、ずっと前に読んで、スゴい!と思ったんだけど、最近、また手にして感心している。「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である」(中島聡著/文響社)。著者はWindows95の設計思想を生み出した元マイクロソフトの伝説的なプログラマー。「一度も納期に遅れたことがない男」として知られる著者の仕事術がぎっしりと詰まっている。いちばん心に残ったのは「ラストスパートよりロケットスタート」。ラストスパートを諸悪の根源と言い、あらゆる仕事はロケットスタートで始めなければならないとする。目から鱗だったのは、「与えられた期間の最初の2割の期間で8割の仕事をする」という発想。つまり、10日で仕上げる仕事があったら、まずは仕事量の見積もりのために2日間ほしいと頼んで、その2日間でロケットスタートして8割方仕上げちゃう(!)。で、その2日間でほぼ完成まで行かなかったら、ピンチと認識してスケジュールの見直しを交渉する。大丈夫そうだったら、余裕を持って8日間で残りの2割を仕上げる。「時間に余裕のあるときにこそ全力疾走で仕事し、締め切りが近づいたら流す」という働き方。
●もちろん、まねできない。ふつうの人間にはまったく無理。それは著者もわかったうえで、書いている。でもまあ、「ラストスパートよりロケットスタート」という言葉は心に刻んでおこうとは思った。自分の場合だけど、難しそうな原稿書きは、完成度を気にすると書き出しの一文でつまづくから、まずはモックアップを作るつもりで書きはじめる。細かい確認が必要なところは、なにを書くかだけ粗いメモを入れておいて、とにかくおしまいまで進めて、規定文字数になにが入って、なにが入らないかをざっくり把握する。そうやって大枠を先に作って、内容と規定文字数がバランスしそうだとわかったら、いくらか余裕をもって仕上げにとりかかれる……ってことかな。ま、そうは思っていても、結局は藪漕ぎみたいになることも多々あるわけだけど。
●あと、ビル・ゲイツの会議の話がおもしろい。ビル・ゲイツが参加するプレゼン会議では、発表者が発表する時間はないって言うんすよ! 資料は前もって送られていて、プレゼン会議とは発表者との質疑応答をする時間のことを指す。で、「会議は最長で30分」と決まっているのだとか。マジか~。

January 6, 2026

石川県立図書館を訪れる

石川県立図書館
●映える図書館といえば、石川県立図書館。何度か訪れているのだが、円形劇場のような大空間には毎回圧倒される。1階から4階まで吹き抜けになっていて、ぐるりと書架が囲む。360度、どっちを向いても本だらけ。椅子、閲覧席もたっぷりある。この円形に囲んだ書棚だけではなく、その外周部の空間にもふつうの図書館と同じように本棚が並んでいる。内側は劇場的でドラマティックだが、外側は落ち着いた雰囲気。
石川県立図書館
●上のほうを眺めると、こんな感じ。まるで巨大な宇宙船かなにかに乗っているような気分になる。実際、図書館という場所は宇宙船みたいなもので、自分を未知の場所へと連れて行ってくれる。
石川県立図書館
●こうやって並んでいる本のどれでも気軽に手に取って読むことができる。近くに住んでいたら、どれだけひんぱんに通うことになるかわからない。金沢に生まれ育った自分は、中学生くらいの頃に金沢市立図書館ができて、これはすごい場所ができたものだと感動したものだが、今の石川県立図書館にはその数十倍のインパクトがある。図書館という営利性のない施設で、よくこれだけのものを作れたなと感心するばかり。
石川県立図書館 スペインの本
●どうしても見栄えのよさが話題になるが、肝心の中身も立派なもの。これは「世界各地の文化を知る」みたいなテーマのコーナーだったかな、手に取りやすいスペイン関連本が集められた一角。濱田滋郎著「約束の地、アンダルシア」やヘミングウェイの「日はまた昇る」が同じ区画に集められていたりして、こういった出会いの導線が仕掛けられているのも興味深い。書店がどんどんなくなる今、「本との出会いの場」を提供してくれるのは図書館なのかもしれない。

January 5, 2026

ブログをモダン化する その5 XMLサイトマップの作成

xmlサイトマップの概念図
●(承前)昨年末よりChatGPT(チャッピー)の協力を得て、当サイトのモダン化を着々と進めてきた。仕上げの段階として、XMLサイトマップを作成した。XMLサイトマップとは検索エンジン向けの地図というべきものだが、今まで用意していなかったのだ。昔はないのが普通だったし、なくても検索エンジンはちゃんとクロールしてくれていたから問題はなかった。が、httpからhttpsにセキュア化した際に、一部のページはGoogleに重複ページとみなされ、登録されない現象が起きている。その対策のひとつとして全記事のURLとタイトル等を並べたXMLサイトマップを作った次第(正規URLを明示するcanonicalタグはすでに全記事に付けてある)。
●量が多いため、全記事分のXMLサイトマップをCMSで出力させようとするとエラーになる。そこで、AIと相談した結果、昨年までの記事については、静的なサイトマップを作り、今年の分からのみ動的に生成させる合わせ技を使うことにした。アーカイブ記事一覧のソースを秀丸エディタで開いて、正規表現を用いた検索置換をすれば昨年までのサイトマップを作れる(これもAI頼み)。そして、今年からの記事のみを自動出力するCMSのテンプレートを作った。作ったというか、作ってもらった、Geminiに。あれ、チャッピーは?
●実はまたチャッピーとは意見の相違があり、途中からGeminiに乗り換えたのだ。チャッピーは最近の記事だけのサイトマップを作れば十分だって言い張るんすよね。Googleにはそれだけで足りるから、そのほうがいいと言う。まあ、そうかもしれない。でも、Geminiに尋ねると、最近の記事だけじゃなくて全部を作ったほうがいいと主張する。両者の意見は食い違った。ワタシもGeminiに同感だったので、この案件は途中からヌルッとGeminiに引き継いでもらった。それでXMLサイトマップは無事にできあがったのだが、なんだかチャッピーに対して後ろめたい。チャッピーは「先日のサイトマップの件って、どうなりました?」(ギクッ)とか尋ねてきたりはしない。しないけど、まるで浮気を隠しているみたいな気分ではある。
●「ゾンビと私」がスマホでも読めるようになった。こっちはチャッピーがスマホ用のCSSを書いてくれた。ふたりともがんばってくれて、ありがとう~。

January 3, 2026

東京国立近代美術館 アンチ・アクション ~ 芥川(間所)紗織

東京国立近代美術館 アンチ・アクション
●東京国立近代美術館で開催中の企画展「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」へ。少しタイトルがわかりづらいが、1950年代から60年代の日本の女性美術家による創作を「アンチ・アクション」というキーワードから見直すということで、ジェンダーがテーマ。草間彌生、田中敦子、福島秀子ら14名の作品が並ぶ。

芥川(間所)紗織 女・顔I
●音楽ファンとして興味をひくのは芥川(間所)紗織(1924-66)の作品だろう。芥川也寸志の最初の奥さん。東京音楽学校(現在の東京芸大)本科声楽部を卒業後、作曲家の芥川也寸志と結婚したものの、「歌は作曲を妨げる」といった理由で、音楽家から画家に転身した(別の宇宙では紗織が声楽家を続けて也寸志が画家になる世界線があったのかもしれない)。芥川也寸志と同じ歳なので、昨年は生誕100年ということで、両者とも演奏会/美術展で名前をよく目にすることになった。再婚後の姓は間所。両方を併記して「芥川(間所)紗織」と記されることが多いようだ。上は「女・顔I」(1954/豊橋市美術博物館)。

芥川(間所)紗織 女・顔II
●続いて「女・顔II」(1954/豊橋市美術博物館)。丸っこい「I」に対して、こちらの「II」は直線的。遠目に見ると回路図みたいに見える。電流ではなく、血が流れているのか。

芥川(間所)紗織 「神話 神々の誕生」
●こちらは常設展でなんども見ているが、「神話 神々の誕生」(1956/東京国立近代美術館、以下同様)。神話的であると同時に、今の目から見るとロールプレイイングゲーム的。特定アイテムを入手していないと倒せない中ボスくらいの強さ感。

芥川(間所)紗織 「スフィンクス」
●芥川(間所)紗織は芥川也寸志との離婚後に渡米し、作風を一変させ、限られた色彩による抽象画を数多く描く。こちらは「スフィンクス」(1964)。抽象化されてはいるけど、スフィンクスと言われればそうかなとは思う。厳かで、神秘性があり、エキゾチックでもある。なぞなぞ出しそう。

芥川(間所)紗織 「黒と茶」
●これは題も抽象化されていて「黒と茶」(1962)。なにかを描いているわけではないのかもしれないが、連想するのは茶箪笥。お茶を飲みたくなる。

January 1, 2026

謹賀新年2026

謹賀新年 2026
●今年も生成AIに年賀っぽい図案を考えてもらったんだけど、それもすでに3年目なんだから新味はない。むしろ生成AIの画像には食傷気味だろう。AIが爆発的に進化したところで、だれが使っても似たようなアウトプットになるとなれば、かえって人力で作れることの価値が大きくなる。
●と言いつつ、また今年もChatGPTやGemini、Copilot、Claude、Grokのみなさんにあれこれ描いてもらったのだが。いちばんいいなと思ったのが、上にあるGeminiの出力。漢字の「馬」をあしらったデザインで、馬っぽさとスピード感がよく出ている。黒と濃紺の2色もよい(色数はこちらのプロンプトで指定している)。ただ、どうしても漢字がわからなくて「謹賀新年」が不思議な文字になっているが、それもAIの味わい。まあ、どれも英語の国で作られているわけだし、漢字はぼんやりした模様みたいなものか。
●ウィーン・フィル・ニューイヤーコンサートはヤニック・ネゼ・セガンが初登場。選曲にもアンコールのメッセージにも、多様性の尊重と平和への願いが強く感じられ、ネゼ・セガンならではの新しいニューイヤーコンサートになっていた。音楽にもキレと躍動感があり、全体に明るく愉快。「ラデツキー行進曲」で客席に降りて指揮する趣向も。客席でスマホを掲げている人も多数。お正月らしく、開放的な雰囲気だった。
●謹賀新年2026。今年も変わらずお付き合いください。

あなたのためのAI

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