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2026年6月アーカイブ

June 30, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 決勝トーナメント1回戦 ブラジルvsニッポン

ブラジル●ニッポンがこれまでに一度も勝っていないワールドカップの決勝トーナメント1回戦。よりによって相手がブラジル、しかも午前2時キックオフ。しょうがないのでライブで中継を見たが、なんとも言えない気分だ。ニッポンが前半にカウンターから佐野海舟の見事なゴールで先制し、そのままリードして前半を終えたところまでは森保監督の狙い通りだったと思う。しかし、後半11分にカゼミーロの頭で同点ゴールを決められ、以降は防戦一方になったところで、アディショナルタイムの後半51分にゴール前でボールを奪われて細かいつなぎからガブリエウ・マルティネッリが逆転ゴール。そのままブラジル 2-1 ニッポンの結果に。
●2006年ドイツ大会でも決勝トーナメント1回戦でブラジルと対戦し、玉田が先制ゴールを奪ったが、その後、大崩れして1-4で敗れた。同じ逆転負けでも、その頃とは違って、今回は現実的な勝利のチャンスがあったとは思う。とくに前半はニッポンのペースで、前田大然らの前線からのプレスも効いていたし、ブラジルがボールを回していても、連動性の高い守備で落ち着いて対応できていた。危険な縦パスへの対処もほぼできていた。なんなら2点目を獲る可能性もあったのでは。ただ、ブラジルの監督はアンチェロッティ。わざわざイタリア人の名将を呼んだだけあって、後半の修正はリアリズムに徹したもの。中盤を制圧して相手を崩そうとはせずに、左右両サイドからのクロスをどんどんと入れる形に。これが効果的で、ニッポンは跳ね返すのに精いっぱい。奪ったボールをカウンターにつなげない。同点ゴールを奪われた後、森保監督はコンディション面でも厳しそうな両サイドを交代したのだが、左は中村敬斗から鈴木淳之介へ、右は堂安から菅原へと代わり、かなり守備的な布陣になってしまった。これではふつうの5バックではないの。が、しかたがないのだ。選手がいない。久保は初戦でけがをしたまま。もともと三笘と南野が不在の中、攻撃の中心選手をさらに欠いているという選手層の薄さがここで出てしまった。その後、田中碧、町野、小川を投入したが、攻撃のスイッチは入らず。アンチェロッティが打った妙手に対して、こちらは手駒が足りずに対応できなかったという印象。
●先発はGK:鈴木彩艶-DF:冨安健洋、谷口彰悟、伊藤洋輝-MF:佐野海舟、鎌田大地-堂安律、中村敬斗-伊東純也、前田大然-FW:上田綺世。彩艶はずっと大活躍。今大会、ラウンド32でいきなりブラジルと当たったのは正直不運ではある。大会前からのけが人の多さが悔やまれるのはザッケローニのときと似ていて、もやもやとした終わり方になる。やはりこのレベルの相手と互角に戦うには、選手層の厚みがまだまだ足りないのか。

June 29, 2026

調布国際音楽祭 バッハ・コレギウム・ジャパン「狩のカンタータ」

●28日は調布国際音楽祭へ。調布市グリーンホールでバッハ・コレギウム・ジャパン「狩のカンタータ」。指揮は鈴木優人。バロック音楽の名曲を集めたプログラムで、こういった公演を聴くチャンスは意外とない。しかも豪華出演者陣がそろい、かなりぜいたく。前半はバッハの管弦楽組曲第1番、ヴィヴァルディのリコーダー協奏曲「海の嵐」と「ごしきひわ」(アンドレアス・ベーレン)、ブランデンブルク協奏曲第5番(チェンバロに鈴木雅明)、後半はヘンデルの二重協奏曲第3番の第1~第3曲から、バッハの狩のカンタータ「楽しき狩こそわが悦び!」、ヘンデルの二重協奏曲第3番の第6曲。声楽陣はディアナに森麻季、パラスに松井亜希、エンデュミオンに櫻田亮、パンに大西宇宙。
●前半は、まろやかな音色によるバッハで始まる愉悦のひととき。ヴィヴァルディの「海の嵐」と「ごしきひわ」は2種類のリコーダーを用いて。軽やかで爽快。後半の趣向がおもしろくて、ヘンデルの二重協奏曲第3番の第1~第3曲からそのままつなげて「狩のカンタータ」に入った。ヘンデルの第3曲を演奏中にソプラノの森麻季が入場してきたので「あ、これってつながるんだ」と気づく。両曲とも左右に配置された狩のホルンが大活躍(福川伸陽、信末碩才、根本めぐみ、伴野涼介)。オペラ的な「狩のカンタータ」に対して、ヘンデルの二重協奏曲が序曲のような役割を果たした形。さらに「狩のカンタータ」のおしまいから、ヘンデルの二重協奏曲の第6曲へとつながって、華やかなフィナーレに。音楽祭のしめくくりの公演にふさわしい祝祭感。優人さんからの挨拶があって、アンコールとしてヘンデルの二重協奏曲の第6曲をもう一度。左右の狩のホルン合戦が一段とはじけた調子で、大いに盛り上がった。
●調布国際音楽祭、2013年にスタートしてから、しっかりと続いて地元に定着しているのは立派。手作り感とクオリティの高さを両立しているのがすごい。
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●別の話題をひとつ。Nintendo Switch用のソフト「オペラキング」なるものを発見。動画を見て笑った。秀逸、なのか。

June 28, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 グループリーグを終えて

●参加48チームから決勝トーナメントに進む32チームを選ぶのが今大会のグループリーグ。つまり16チームを落とすために、ここまで72試合もやってきたわけだ。各組1位と2位に加えて、3位の成績上位8チームが上に進めるということで、勝点3の韓国とイランがボーダーライン上にいた。当初、韓国はほぼセーフ、イランもなんとかなるか……と思っていたのだが、ほかのグループの結果が裏目に出て、両者とも敗退に。最初の数日間、アジア勢は無敗だったので新しい風が吹くかと思いきや、結局、9チーム参加したアジア勢で決勝トーナメントに進めたのは日本とオーストラリアのみ。しかし、アメリカ入国や滞在を巡る逆風のなかでイランの3引分けは大健闘とも言える。
サウジアラビア●サウジアラビアにもチャンスはあった。初戦でウルグアイに引分け、第2戦のスペインには大敗したが、3戦目のカーボベルデ戦で勝てば先に進めた。この試合、サウジにも惜しいチャンスがいくつかあったのだが、終盤でだいぶ押し込まれて0対0のドロー。カーボベルデは3引分けなのだが、同組2位になって決勝トーナメント進出。そういうルールだから仕方がないが、同じ勝点の韓国やイランとは明暗が分かれた。
ウズベキスタン●コンゴvsウズベキスタンにも注目していた。この試合、ウズベキスタンは大量得点で勝たないかぎり、先に進めない状況だったが、すごいテンションでコンゴに立ち向かって前半に先制。後半30分くらいまでは勝ちゲームの流れだったと思うが、終盤、コンゴに同点ゴールを決められると、一気に崩れて逆転ゴールまで決められてしまった。ウズベキスタンが勝つか引き分ければ、ボーダーライン上にいる韓国とイランへのアシストになったのだが。
●アジアのなかで戦っていると韓国やイランはもちろんのこと、サウジアラビアやウズベキスタン、さらにはカタールやヨルダンも手ごわい相手だと感じるのだが、ワールドカップになると見え方がずいぶん違ってくる。敵地で戦ったときにはしばしば不条理なほどに強いのだが……。

June 26, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 グループF 第3節 ニッポンvsスウェーデン

スウェーデン●ワールドカップ2026、グループリーグの第3戦はニッポンvsスウェーデン。ニッポンはここまで1勝1分、スウェーデンは1勝1敗。勝点4の日本代表は負けても3位で決勝トーナメントに進めるという状況。1位を争っているオランダがチュニジアと対戦することを考えると、たとえ勝っても1位は難しそう。一方、スウェーデンは勝利か引分けでオーケー。そう考えると、いかにも引分けになりそうな状況で試合が始まり、実際に1対1の引分けで終わった。ただ、内容はそう単純でもない。一言でいえば、あまりニッポンは強くなかった。思ったよりスウェーデンの時間帯が長く、終盤は耐える展開になってしまった。
●大幅なターンオーバーも考えられる状況だが、森保監督は一部の選手を入れ替えたのみ。GK:鈴木彩艶-DF:瀬古、板倉、伊藤洋輝-MF:田中碧、鎌田-菅原、中村敬斗-堂安、前田大然-FW:上田。佐野海舟を外してきたのは意外。右に菅原を入れて、代わりに堂安を2シャドーの一角に入れた。左は中村。ここに前田を入れて中村を休ませるかとも思ったが。久保の不在が痛い。スウェーデンは3-4-3で似たような布陣だが、3トップにギェケレシュ、イサク、エランガを並べる攻撃的布陣。それぞれ所属はアーセナル、リヴァプール、ニューカッスル。欧州だと中堅国くらいのイメージでもこれくらいのレベルの選手がそろうわけで、脅威。スウェーデンの対ニッポン対策は明快で、中盤で争わず、後方からロングボールを前線に入れる。一時期、ニッポンはアジアでオーストラリア代表にずいぶんこれをやられたわけだが、悔しいことにこれが有効なのだ。こちらは必死に跳ね返して防ぐのだが、消耗度は高い。向こうは失敗してもカウンターを食らう心配がない。前半39分になぜか板倉が谷口と交代。ハーフタイムまで待てば、交代回数を1回使わなくて済んだが、なにかコンディションに問題があったのか。レフェリングの不安定さも逆風に。前半は膠着したゲームでスコアレス。
●後半11分、ニッポンが美しいゴールで先制。菅原から堂安、上田、堂安とボールがわたってスルーパスに前田が走り込んでゴール。完全に相手を崩す。ここで波に乗る可能性もあったと思うのだが、その6分後にエランガがペナルティエリア右隅くらいから対角にすごいシュートを決めて同点。個の力に物を言わせた。その後、ニッポンは小川、伊東を入れ、さらになぜかセンターバックの渡辺剛、まかさのレジェンド長友を投入。これら交代策が実らず、終盤はほとんどスウェーデンの攻撃に耐えていた。なかなかマイボールにできない上に、奪っても前につなげずカウンターが発動しない。長友のところにボールが来るとハラハラする。これで負けたら森保監督が批判されることは必至。しかし、スウェーデンも無理をして攻める理由はないわけで、試合は無事に1対1で終わった。
●ニッポンは中村敬斗の技巧的なシュートが惜しかった。鈴木彩艶のビッグセーブあり。全体にニッポンは守備から攻撃への切り替えがうまくできず、選手のコンディションも下がり気味か。もともと中心選手を3人ほど欠いているところに、久保がケガで抜け、センターバック陣も板倉や冨安をだましだまし使っている状況で、選手の頭数が足りない。伊東も交代出場直後にうずくまっていたが大丈夫なのだろうか。試合後のインタビューで長友が達成感いっぱいの表情で「マンマミーア」を連発していたが、すごく違和感があった。次のブラジル戦で勝った後に言うのならわかるのだが。今日の試合は大事なところがうまくいかなかったゲームだと思う。ニッポンはグループを2位で通過、ブラジルより休養が一日少ない中三日で決勝トーナメント1回戦に臨む。

June 25, 2026

東京国立近代美術館 杉本博司 絶滅写真

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●東京国立近代美術館の企画展「杉本博司 絶滅写真」へ。杉本博司の銀塩写真約60点が展示されている。「絶滅写真」とは銀塩写真の技術が絶滅しつつあるというニュアンスか。いくつか主要なシリーズがあって、上は「劇場」シリーズのひとつ、「ガルニエ宮、パリ」(2019)。パリ・オペラ座だ。舞台上は明るく、真っ白。反射を防ぐために角度を付けて撮っている。写真の写真を撮るとは。しかも銀塩写真をスマホで撮っている。

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●こちらは同じシリーズの「ユニオンシティ・ドライブイン、ユニオンシティ」(1993)。こちらもスクリーンは真っ白。光ってるけど、なにもやってない劇場がこんなふうにいくつも並んでいた。

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●こちらは「海景」シリーズの一枚で、「カリブ海、ジャマイカ」(1980)。海、空、水平線が並ぶ。写真の技術的な部分はわからないので、絵画と同じように眺めるしかないのだが、多くの海の絵画に水の流れや光のきらめきや風を感じるのに対し、この海は時の流れが止まって固定化されているかのよう。固体みたいな質感。

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●「ナポレオン・ボナパルト」(1999)。ほかにもダイアナ妃やフィデル・カストロ、昭和天皇らの肖像が並ぶ。ん、なんなんだこりゃ、と思うわけだが、これはロンドンのマダム・タッソー蝋人形館の蝋人形を撮影している。一種の複写物のそのまた複写物が、かえって生きているように見えるという不思議。
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●ワールドカップはDAZNのハイライトで追いかけている。前にも書いたように参加国と試合数が増えたので、グループリーグ期間中は自重せねば。今日から一日に6試合も行う。6試合×4日間の24試合でグループリーグ第3節を片付けるわけだ。大盤振る舞いというか、大安売りというか……。

June 24, 2026

ドナルド・ラニクルズ指揮ドレスデン・フィル、亀井聖矢

ミューザ川崎
●23日はミューザ川崎でドナルド・ラニクルズ指揮ドレスデン・フィル。なんと、ラニクルズはこれが初来日なのだとか。これはびっくり。ラニクルズはスコットランド出身の指揮者だけど、印象としてはほとんどドイツの名指揮者。長くベルリン・ドイツ・オペラの音楽総監督を務め、ベルリン・フィルにもたびたび客演している。25/26シーズンから同楽団の首席指揮者を務めているそう。ドレスデン・フィルもライブではたぶん初めて聴くので、新鮮。弦楽器は音域順に並ぶストコフスキ配置。
●プログラムはベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」(亀井聖矢)とブラームスの交響曲第4番。ドレスデン・フィルはすっきり端正なサウンドで、とくに弦楽器の落ち着きのあるくすんだ音色が印象的。重厚かと思いきや、重心はかなり高めで、ノーブルな雰囲気。前半の「皇帝」では亀井聖矢が磨き抜かれたテクニックを披露。きわめてブリリアントなソロで、これ以上はないというほどきらびやかなベートーヴェン。客席は即座にスタンディングオベーションをする人がたくさんいて、人気は健在。ソリスト・アンコールにシューベルト~リストの「ます」。華麗。オーケストラの楽員たちがざわめいていた。後半、ブラームスの交響曲第4番は滋味豊か。自然な音楽の流れが心地よい。終楽章は一段ギアを上げて熱い演奏に。アンコールはハンガリー舞曲第5番。すっかり手の内に入った様子の自在の演奏で客席をわかせた。
●ラニクルズは珍しいサウスポーの指揮者。前半の「皇帝」は指揮棒を持たなかったので左利きであることは目立たなかったかもしれないが、後半のブラームスは左手に指揮棒を持って登場。パーヴォ・ベルグルンド亡き今、左で振る指揮者はラニクルズと出口大地しか知らない。

June 22, 2026

ペッカ・クーシスト指揮東京都交響楽団のシベリウス、ヒルボリ他

ペッカ・クーシスト 東京都交響楽団
●遡って19日はサントリーホールでペッカ・クーシスト指揮都響。クーシストは2028年4月から都響の首席指揮者を務めることになっており、現在はアーティスト・イン・レジデンス。新シェフとして、いい人を見つけたなと思う。新味があり、なにが起きるかわからないドキドキ感がある。
●この日はさっそくクーシストならではの北欧プログラムが組まれ、前半がシベリウスの組曲「恋人」、現代スウェーデンの作曲家アンデシュ・ヒルボリの「バッハ・マテリア」(2017/日本初演)、後半がやはり現代スウェーデンの作曲家アンドレア・タッローディの「きりん座」(2011/日本初演)、シベリウスの交響曲第5番。なお、冒頭にコントラバス奏者の柴田乙雄への追悼演奏としてバッハの「G線上のアリア」が演奏された。
●前半は指揮台が置かれず、クーシストはヴァイオリンを弾きながらリード。白眉はヒルボリの「バッハ・マテリア」。バッハのブランデンブルク協奏曲第3番と対をなす作品としてクーシストのために書かれた曲。チューニングをしていると思ったら、そのまま曲が始まるという趣向はこれが初めてではないが、それでも効果的。ウィットに富み、次々といろいろなイベントが起きる。カモメの鳴き声みたいなヴァイオリン、歌声、口笛、バッハからの引用、即興……。アイディアが豊富、饒舌。クーシストのヴァイオリンは切れ味鋭く、冴えに冴えていた。
●後半、演奏を始めかけたところで、客席のどこかからスマホのアラーム音が聞こえてくる。アラーム音が止まるのを待つが、なかなか止まず、客席にささやかな笑い声。これは演奏中ではなかったので笑い話。自分のスマホが鳴っているのに所有者が気づかないという現象は、これまでもくりかえしコンサートホールで起きてきた現象であり、まったく他人事ではない。そんなはずはないという思い込みがあって、気づきにくいのだと思う。やはりスマホは電源を切るのが正解だろう。
●タッローディ「きりん座」は、キリンと友達になっていっしょに遊ぶユーモラスな夢がきっかけとなって書かれた小曲。きらびやかな響きが、星々のイメージを喚起する。作曲者臨席。おしまいはシベリウスの交響曲5番。いつ聴いてもフレッシュな作品だと思っていたが、この流れで聴くとずいぶんと保守的な音楽に聞こえる。明快で俊敏、過剰なエモーションやスペクタクルを求めない。のびのびとした大らかなシベリウス。カーテンコールでクーシストが客席に降りてきて、オーケストラを拍手で讃えていた。クーシストのソロ・カーテンコールあり。

June 21, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 グループF 第2節 チュニジアvsニッポン

チュニジア●ワールドカップ、日本代表の第2戦は対チュニジア戦。第1戦でオランダ相手に引き分けたのはよかったが、勝ち点としては1を得たにすぎないわけで、この試合で引き分けたり負けたりすると、第3戦のスウェーデン戦が背水の陣になる。一方、勝てばほぼ決勝トーナメントには進めるという状況(3位になっても勝点4あれば通れるのでは)。ニッポンは久保がけがで不在。代役がだれかと思ったら鎌田を一列上に上げて、代わりに中盤に田中碧を入れた。つまり、2シャドーは鎌田と伊東のコンビに刷新、前田大然はベンチ。意外だったのはディフェンスラインも2枚入れ替えたこと。オランダ戦は渡辺剛、谷口彰悟、伊藤洋輝だったが、これを冨安健洋、板倉滉、伊藤洋輝に変更。こちらのほうがレギュラーメンバーともいえるが、冨安と板倉のコンディションは問題ないということなのか。GK:鈴木彩艶-DF:冨安健洋、板倉滉、伊藤洋輝-MF:佐野海舟、田中碧-堂安律、中村敬斗-鎌田大地、伊東純也-FW:上田綺世。
●前半4分、いきなりニッポンが先制。中村敬斗がペナルティエリア内を縦に突破し、グランダーのクロスを入れると中で鎌田がヒールで合わせるおしゃれシュートでゴール。大喜びの鎌田は電話ポーズのゴールセレブレーション。いまどきそんな受話器ないけどね……と思ったら、これはケガで苦しむクリスタルパレスの同僚エンケティアに捧げるものだとか。これで試合運びがぐっと楽になった。前半31分、上田がペナルティエリア右隅あたりからディフェンスの股を通すパワフルなシュートを対角にズドン。この2点目で、勝負は決まった感。ニッポンは快適にボールを回す。チュニジアのチャンスはごくわずかで、決定機といえるほどのチャンスはなし。後半24分、縦パスから伊東がキーパーとの一対一を制して3点目、後半39分には佐野のクロスに上田が下がりながらのヘディングでふわりとループ気味に決めて4点目。4対0でまさかの圧勝。
●前の試合では鎌田がディフェンスラインまで下がってビルドアップに参加していたが、この試合では田中碧と佐野が交替で下がって同じ役割を担っていた。4バックみたいな形になる。冨安は攻撃面の貢献も大きい。堂安の守備は頼りになる。交代出場は菅原由勢、鈴木淳之介、鈴木唯人、瀬古歩夢、後藤啓介。ということは、フィールドプレーヤーは長友以外、全員出場機会を得たということ? 次戦、長友が出場するかも。
●次のスウェーデン戦の結果によらず決勝トーナメントには進めるとは思うが、もし勝つか引き分けて1位か2位になった場合、おそらく相手はブラジルかモロッコ。3位になった場合は複雑だが、フランスかノルウェーの可能性が高いらしい。つまり、決勝トーナメント1回戦の相手はすべてが優勝候補の一角と言える。
●会場はメキシコのモンテレイだったが、「ハポン!ハポン!」の声が聞こえてきた。ニッポンのボール回しに「オーレ!」の声が挙がる。チュニジアのバックパスにはブーイング。日本代表は同地で事前キャンプを行っているというが、それにしてもずいぶん応援してくれてびっくり。
●序盤でアジア勢が6戦無敗の大健闘を見せたものの、その後はイラク、ヨルダン、ウズベキスタン、カタール、韓国、オーストラリアと6連敗。ようやく日本が連敗を止めた。これで流れが変わるか。

June 18, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 グループJ第1節 イングランドvsクロアチアなど

●待て待て、落ち着け、自分! 今回のワールドカップ、参加国数が増えて長丁場になったから、日本戦以外は決勝トーナメントから見ればいいんじゃなかったっけ!? 今から見てたら、仕事に差し支えるじゃないの。なのに、どーして、イングランドvsクロアチアを見ちゃうのかなあ? 大会は7月20日の早朝まで続くのだ。もう少しペースダウンして、日々の暮らしに向き合わないと。
イングランド●で、イングランドvsクロアチアなんだけど、これはすばらしい好ゲームだった。心情的には40歳モドリッチが君臨するクロアチアを応援したいところなんだけど、ドイツ人のトゥヘル監督率いるイングランドがとても積極的な戦い方をするので感心。クロアチアが前からプレスをかけてきても、平気でキーパーからボールをつないで、後ろにできたスペースを狙う。逆に相手のディフェンスラインにもどんどんプレスに行く。ボールをつないで主導権を握るけど、展開の速いスピーディなフットボール。同じグループの強豪同士の対戦なんだから最低でも引き分け、みたいな発想がない。だから前半だけでお互い2点ずつ獲った。イングランドがゴールを決めると、クロアチアが追い付くという展開。まあ、序盤にハリー・ケインがPKで先制したから、お互いにオープンに攻め合う展開になったのかもしれないが。
●で、イングランド側から見ると、たぶん前半は守備がもうひとつだけど、後半からぐっとよくなった、ということになるんだと思う。後半はさらにテンションを上げて、2ゴールを叩きこんで、イングランド 4-2 クロアチア。イングランドのゴールはケイン、ケイン、ベリンガム、ラッシュフォード。戦い方はリスキーだけど、優勝候補のひとつ。というか、こういうチームに優勝してほしい。トゥヘルの信念を感じる。やっぱり攻撃的なサッカーは尊いな、って思った。まぶしい。
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●こんな流れでなんだけど、「マンガでわかるクラシック音楽の歴史入門」(やまみちゆか著/飯尾洋一監修/KADOKAWA)の3刷が決定! いまどき重版できるというだけでも大変なことだが、さらに3刷まで行くとは。すべて著者のやまみちさんとすぐれた編集のおかげ。感謝。

June 17, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 アジア勢の健闘、メッシのハットトリック

●いつもはワールドカップ本大会ではめっぽう弱いアジア勢だが、今回は健闘している。開幕から、韓国〇、カタール△、オーストラリア〇、ニッポン△、イラン△、サウジアラビア△、イラク×、ヨルダン×。本日、ついにイラクとヨルダンが敗れてしまったが、そこまで無敗は上出来。まちがいなく、アジアは強くなっている!……とは、思うのだが、問題は決勝トーナメントにいくつ進めるか。決勝トーナメントで32か国なのだから、ふだんの大会ならスタート地点なわけで、ここにある程度残ってくれないと存在感を示せない。
アルゼンチンアルゼンチンvsアルジェリアの「アル・アル」対決では、なんと、メッシがハットトリックを達成して、3対0。メッシはすでに38歳、現在はアメリカでプレイしている。しかし、第一線を退くどころか、3ゴールで大爆発。ゴールキーパーやセンターバックならともかく、前線の選手がこの年齢でFIFAランキング1位のチームの中心選手を務めているとは。シュートもすごかった。今のアルゼンチンを応援しようという気持ちにはあまりならないのだが、メッシのことは応援したくなる。
●イラク 1-4 ノルウェーはハイライトだけ見たけど、ノルウェーを優勝候補に挙げる人もいることに納得。恐るべき破壊力。

June 17, 2026

小林研一郎指揮読響、牛田智大のショパン&チャイコフスキー

●ワールドカップ期間中だが、演奏会もある。16日はサントリーホールで小林研一郎指揮読響。プログラムはショパンのピアノ協奏曲第2番(牛田智大)とチャイコフスキーの交響曲第5番。ゲストコンサートマスターに白井圭。チケットは完売。若くて爽やかなソリストと86歳の炎のマエストロの共演。ショパンは端正で優美。リリカルな第2楽章が白眉。ソリスト・アンコールはショパンだろうと思い込んでいたら、ブラームスの間奏曲作品118-2で意表を突かれた。情感豊かで、本編に劣らない聴きもの。若いピアニストがこういった晩年の枯れた作品を弾くのは大歓迎。
●ちょうど前半が終わったところでホール内のあちこちから異音がざわざわ……と響いて、焦る。これはなんどか経験があるが、残響の豊かなホールでいっせいに緊急地震速報が鳴ると(スマホの電源を切るべきか切らないべきかは脇に置いて)、こういったざわざわ音になる。大きな揺れが来るのかと身構えたが、来なかった。休憩時に確認したら震源は茨城県南部でM5.5、約50km、最大震度5弱。大地震ではなかった。
●後半はマエストロの十八番。チャイコフスキーの交響曲第5番を聴くというか、「コバケンのチャイ5」という磨き上げられた様式美を堪能する。きわめて濃厚でエモーショナル。読響がうまい。まるで予告ホームランのようにマエストロが左手で客席を指し示すと、「待ってました!」の声(ウソ。心のなかの声)。実際、あれは予告ホームランなんだと思う。同じ曲を最近、パーヴォ・ヤルヴィ指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団で聴いて感心したばかりだが、まさに「同じ山を別の道から登る」といった様子で、途中で目にする風景はまったく違うけど、たどり着いた場所は同じ、みたいな感覚になる。
●カーテンコールでマエストロがマイクを持って、挨拶。アンコールはお約束の「ダニーボーイ」。マエストロはあと4回でサントリーホール出演500回なのだとか。前人未到の領域。ちゃんとカウントしている人がいることにも驚く。

June 15, 2026

ワールドカップ2026北中米大会 グループF第1節 オランダvsニッポン

holland●日本代表の初戦はダラスでの開催で、朝5時のキックオフ。そんなに朝早くに起きれない……と思っていたら、キックオフ15分前に自然に目が覚めた。まず、ニッポンの先発メンバーを確認して、軽い驚き。GK:鈴木彩艶-DF:渡辺剛、谷口彰悟、伊藤洋輝-MF:佐野海舟、鎌田大地-堂安律、中村敬斗-久保建英、前田大然-FW:上田綺世。大会直前に遠藤航が戦列を離れたので、2ボランチが佐野海舟と鎌田大地になるのは予想通りだが、2シャドーの一角に伊東純也ではなく前田大然。三笘と南野がけがで不在のため、もともと2枚足りない感があるが、この大一番で前田に出番が訪れるとは。代表での先発は久々なのでは。一方、センターバックの3枚には板倉もいなければ冨安もいない。渡辺、谷口、伊藤の3枚で、ここに来て谷口が真ん中に入ることになろうとは。ちなみに遠藤航の代役はなぜかフォワードの町野修斗。トップとキーパー以外、どこも人が足りないまま見切り発車したような感覚だ。
●クーマン監督率いるオランダ代表は4-1-2-3。序盤からオランダがボールを保持し、ニッポンがミドルブロックを敷いて守る展開。開始早々、ペナルティエリア内でマーレンがシュートを放ち、鈴木彩がビッグセーブ。うわ、やっぱりオランダ、怖っ! が、その後はお互いにリスクを負わない慎重な戦いぶり。前田の鬼プレスは封印。クーマン監督はニッポンの守ってからのカウンターを警戒している模様。前半、ニッポンの数少ない攻撃は左サイドの中村、前田に偏重、右は久保も堂安も守備に追われた感。
●後半、試合が一気に動き出す。後半5分、オランダはフラーフェンベルフの右からのピンポイントクロスに、ファンダイクが頭で合わせて先制。逆サイドのポストにヒットして入るコントロールされたヘディング。やられるときはこんなもので、そんなシンプルな攻撃で失点するのかとがっくり。が、後半12分、中村敬斗が左サイドから中央に切り込む得意の形で、ニアの左下にシュートを決めて同点。いつも思うけど、中村のシュートのうまさは驚異的。相手のディフェンスに少しだけ当たってコースがずれたのも幸いした。
●後半19分、フラーフェンベルフのパスを受けたサマーフィルがペナルティエリア右隅あたりからゴール左下ぎりぎりに蹴り込んで、オランダが2点目。ディフェンスの枚数が十分いたのに、やられてしまった。ニッポンは前田→伊東、久保(負傷)→小川、渡辺→冨安、堂安→菅原、上田→塩貝と次々と交代カードを切る。オランダはこれで逃げ切る気満々で、後半36分にフラーフェンベルフを下げてディフェンスのアケを投入、なんとニッポン相手に5バックで守り切る布陣に。そこまでリスペクトされるとは、時代が変わったというしか。ほとんどの場合、このクーマン采配は成功すると思う。だが、後半43分、伊東の右からのコーナーキックに中央で小川が頭で合わせて2-2の同点に。小川のゴールと思ったが、ボールが鎌田の頭をかすっていたので鎌田のゴールになった。長身のオランダ相手にニッポンがコーナーキックから頭で合わせるまさかのゴール。
結果は2-2のドロー。ニッポンとしては大成功、オランダは悔やまれるドローだろう。内容的にはオランダがやや上回っていたとは思う。きっと第三者から見ても、純粋に試合として楽しめるゲームだったのでは。余計なファールもミスも少なく、締まった試合だった。
●これでアジア勢は韓国、カタール、オーストラリア、ニッポンと無敗。
オランダとは2010年南ア大会の岡田監督時代にも戦っているのだが、そのときは0対1で負けても、まずまずの結果だと感じていた(第1戦で勝った後の第2戦だったこともあるが)。あのときにオシムに「日本は強豪国に敬意を払いすぎる。オランダを特別にリスペクトする必要はなかった。自分自身をリスペクトすべき」と言われたが、16年経った今、ようやくそれを実現できたのでは。

June 14, 2026

開幕!ワールドカップ2026北中米大会 グループC第1節 ブラジルvsモロッコなど

●さて、ワールドカップ2026北中米大会が開幕した。いつもは平日更新の当欄だが、W杯期間中は変則的なスケジュールで対応したい。開幕前からホスト国のアメリカとFIFAの運営について批判が吹き荒れているが(決勝戦は最安席でも100万円超)、ここでその話はしない。全試合を中継するDAZNのあくどいダークパターンの話もしない。前後半の長い飲水タイムが事実上のCMタイムでありサッカーがクォーター制になってしまったという話もしない。
●まず開幕して3日間で最大の驚きは、アジアの強さ。韓国が2対1でチェコに快勝。カタールはスイスと1対1でドロー。オーストラリアがトルコに2対0で完勝。なんと、すべて欧州のチームと戦って、無敗だ。チェコ、スイス、トルコ、いずれもかなり強い印象のある相手。これまで蚊帳の外だったアジアが、ついに覚醒したのか。明日早朝5時にニッポンvsオランダ戦がある。はたして後に続けるのかどうか。さすがにオランダは強いだろう。だが、気分としては、同グループのオランダ、チュニジア、スウェーデン、すべてが五分五分の相手だと思っている。全勝も全敗もありうる。大会の序盤を眺めて感じるのは、すべてが五分五分という印象だ。もちろん、強豪国がスロースターターなのはいつものことで、今回、従来以上の長丁場になったのだから、コンディションのピークはずっと先だとは思う。しかし、それを考慮に入れても、各国の力は拮抗している。
●日本戦を別として、グループリーグはハイライト試聴で済ませるつもりだが、ブラジルvsモロッコ戦だけは一通り見た。モロッコの個のスキルの高さにびっくりする。ブラジル相手でも、そこまでボールをキープできて、前に運べるのかという驚き。モロッコが先制して、ブラジルがヴィニシウス・ジュニオールのゴールで同点に追いつき、1対1のドロー。内容的にはややモロッコが優勢という印象で、ブラジルを1ミリも恐れていない。まあ、そうだろう。みんな所属チームは欧州の有名クラブがほとんど(あとはサウジの金満クラブ)。
ブラジル●ブラジル代表の監督がイタリア人のアンチェロッティだというのも隔世の感。アンチェロッティが率いていてもブラジル代表はブラジル代表……なのか。そもそもブラジル的な破格のスーパースター、たとえばかつてのロナウドやロナウジーニョ、ロマーリオ的な存在がここにいるかといえば、なんともいえない。「ワールドカップとは自国を別とすればブラジルを応援する大会である」という暗黙の前提は、もはや伝説なのか。別の言い方をすれば、ワールドカップとは「ブラジルにしか使えない魔法がある」という真実かもしれないし幻想かもしれない仮定を信じるロマンティックな大会であるということなのだが。

June 12, 2026

葵トリオ ピアノ三重奏の世界 サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン

●11日はふたたびサントリーホールのブルーローズ(小ホール)へ。チェンバーミュージック・ガーデンで「葵トリオ ピアノ三重奏の世界」。来年のベートーヴェン没後200年に向けた7年プロジェクトの第6回。プログラムはベートーヴェンのピアノ三重奏曲第6番変ホ長調、武満徹の「ビトゥイーン・タイズ」、ラヴェルのピアノ三重奏曲。葵トリオのメンバーは、ピアノの秋元孝介、ヴァイオリンの小川響子、チェロの伊東裕。
●一曲目のピアノ三重奏曲第6番は、前夜に聴いたエベーヌ弦楽四重奏団のひりひりしたエクストリーム・ベートーヴェンとは別世界。自然な音楽の流れによる伸びやかなベートーヴェン。パッション、歌、ユーモアの要素が一体となった愉悦のひととき。武満の「ビトゥイーン・タイズ」をライブで聴いたのは初めてだと思う。作曲者は曲名に多義的な意味を込めたようだが、文字面だけを見れば、潮の満ち引き、潮の変わり目といった感じだろうか。あわい、移ろい、揺れ動きを表現したような音楽で、明確に水や波のイメージがある。骨格の大きさは違うが、ドビュッシーの「海」のエコーのようにも。15分くらいあって意外と長め。後半はラヴェルのピアノ三重奏曲。ものすごい密度の奇跡の名曲で、比較的聴く機会に恵まれた作品でもある。フレッシュで爽快。3人が一体となった胸のすく快演だった。アンコールにリリ・ブーランジェの「春の朝に」。オーケストラ版ではなんどか聴いているが、ピアノ三重奏版を初めて聴けてうれしい。
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●宣伝を。本日の早朝、メキシコvs南アフリカ戦でワールドカップ2026北中米大会が開催したわけだが、タイミングを合わせてONTOMOに「W杯で世界的人気に! プッチーニの『誰も寝てはならぬ』が“勝利の歌”になった理由」を寄稿した。日本ではあまり語られていないエピソードだと思うので、ご笑覧ください。

June 11, 2026

エベーヌ弦楽四重奏団 ベートーヴェン・サイクルII サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン

エベーヌ弦楽四重奏団 ベートーヴェン・サイクルII サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン●10日はサントリーホールのブルーローズ(小ホール)でエベーヌ弦楽四重奏団。今年のチェンバーミュージック・ガーデンのベートーヴェン・サイクルはエベーヌ弦楽四重奏団。ついに真打登場といった感。全6回シリーズの第2夜のみ参陣。メンバーはヴァイオリンがピエール・コロンベとガブリエル・ル・マガデュール、ヴィオラがマリー・シレム、チェロが岡本侑也。昨年、トッパンホールで聴いたときも書いたけど、このカルテットに日本人奏者が入っている様子に、マンチェスターユナイテッドに香川真司がいたくらいのインパクトを感じる(←たとえが古い)。曲は弦楽四重奏曲第2番ト長調、第16番ヘ長調、第14番嬰ハ短調。後期作品を2曲聴けるのがうれしい。
●演奏は恐るべき完成度で、弦楽四重奏の枠をはみ出すほどのスペクタクル。表現のコントラストを極大に設定したようなアグレッシブなベートーヴェンで、まるで交響曲を聴いているかのようなスケール感。彩度とシャープネスはマックス、精彩に富み、振幅が大きい。が、もちろん鋭さ一辺倒ではなく、柔らかさ、やさしさも十分。第2番、初期作品がこんなに大きな音楽だったとは。第16番は第3楽章の祈るようなカンタービレが印象的。第14番、自分のイメージではくすんだブルーグレーの色調に惹かれる作品なのだが、むしろエネルギーを全開放した壮麗さに圧倒される。全体にヴィブラートとノンヴィブラートの使い分けも効果的。
●あまりにすごすぎる音楽に接すると、興奮と同時に軽微な憂鬱がセットで付いてくる現象がかねてからの謎なのだが、たぶん、「この水準に慣れると、満足のハードルが高くなりすぎて、ふだんの喜びが減るのではないか」という心配なんだと思う。

June 10, 2026

もうすぐワールドカップ2026が始まるのだが

ワールドカップ2026参加国
●さて、まもなく4年に1度のフットボールの祭典、ワールドカップ2026が開幕する。開幕戦は6月12日午前4時だ。しかしこの大会をなんと呼べばいいのか? 北中米大会、それともカナダ・メキシコ・アメリカ大会なのか(長い)。いや、そんなことはどうでもいい。問題は今回から参加国が48か国になり、試合数が全104試合に肥大化していることだ。あまりに試合数が多い。AからLまで12ものグループがあり、各グループの上位2位、および3位チームの上位8チームが決勝トーナメントに進出できる。は? つまり48チームを32チームに絞るために、グループリーグ72試合(6試合×12グループ)もするの? だれですか、こんな非効率な試合方式を考えたのは!
●というと、サッカー古老の人はこう言うかもしれない。「いやいや、32チームに増えたフランス大会より前は、24チームが参加して、そこから16チームを残すためにグループリーグをやってたんだから、昔も似たようなものじゃないの」。ちーがーうーーー。24チームなら全チーム追いかけられたでしょ。今は48チーム! 参加国を全部言えない。知ってた? キュラソー代表やハイチ代表やカーボベルデ代表が大会に参加していることを。
●そもそもわれわれファンにとって、ワールドカップの戦いとは仕事など生活との両立をどうするかという戦いでもある。時差の問題も含めて、戦略性が必要。仕事については、自主的に「ワールドカップ進行」をして、できるものはどんどん先取りして済ませるという考え方もある……と書いてみたけど、ムリか。なにせワールドカップは一か月を超える長丁場だし。それで、思ったんだけど、もうグループステージは日本戦とブラジル戦だけ追いかけるみたいな割り切りが必要なんじゃないか。だって、決勝トーナメントの時点でまだ32チームも残ってるから、そこからが「ワールドカップ本大会」みたいなもの。
●で、ああだこうだと言いつつ、ここからが本題なんだけど(えっ)、今大会は番狂わせが続出して、いわゆる強豪国(優勝経験国)がどんどん敗退すると思う。理由はいくつかあって、ひとつはもちろん各国間の実力差が縮まっていること、もうひとつはVARでフェアになったこと(大舞台の経験の乏しい主審でも勇気をもって強豪国に不利な判定を出せる)、あとはトーナメントが32チームから始まるので一発勝負が1試合増えたこと。現代サッカーにおいて、決勝トーナメントに入ったら、強豪国でも90%勝てる相手なんてほぼ存在しない。せいぜい70%から80%くらいの勝率だろう。たとえば75%の勝率でも、3連勝できる確率は42%しかない(0.75^3=0.42)。決勝トーナメントに入ってから優勝するまでに必要なのは5連勝だ。強くても運の助けがないと勝ち続けるのは難しい。
●あるブックメーカーのオッズを見たところ、優勝国の上位3つはスペイン16%、フランス16%、イングランド11%。最強国でもこの程度の優勝確率とみなされている(ここでは胴元のマージンを考慮しない)。ブラジルでも8%、ドイツでも5%。つまり、かなり分散しているのだ。ノルウェー、ベルギー、コロンビア、日本、モロッコあたりはいずれも2%。ドイツの5%と比べて極端に低いわけではない(かつてないほど日本が評価されている!)。別の言い方をすれば、どの国であっても「当たりくじ」を引かないかぎり、優勝できないとも言える。

June 9, 2026

高崎市美術館と高崎市タワー美術館

高崎市美術館
●6日、せっかく高崎まで遠征したのだから高崎芸術劇場&群響の「トスカ」の前に、高崎市美術館高崎市タワー美術館に足を運んだ。というか、毎回、高崎遠征は芸術劇場と美術館をセットにしている。両美術館とも駅のすぐそばでアクセスは抜群によい。とくに高崎市美術館は建築物としても独特の魅力があって、ほかにはない居心地の良さがある。
●高崎市美術館での展示は「版画集ぜんぶ見せます!」と「特集展示 小林正」。版画集はかなり強力なラインナップで、フェルナン・レジェの「サーカス」48点、ジョルジュ・ブラックの「もしも僕が死んだら」17点、シャガール「ポエム」24点、ピカソ「闘牛」26点など、ひとつの版画集をまるごと見せるというコンセプト。自前の収蔵作品だけでこれだけできるのは立派。しかも、週末でも空いていて快適。座る場所もたくさんあるので、のんびり過ごせる。ぜいたくな場所である。

フェルナン・レジェ「サーカス」
●一点、惜しかったのは全点撮影が禁止だったことで、コレクション展では珍しいかも。代わりによそのサイトからダウンロードした、フェルナン・レジェ「サーカス」の一点を上に置いておく(レジェの著作権は切れている)。

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●同時開催の「特集展示 小林正」も見ごたえあり。高崎市出身の画家、小林正(1949~)の絵画23点が展示され、こちらは撮影可。一点選ぶなら、上の「我ら」(1990)。家族や街をテーマにした作品が多いのだが、時期によって作風はかなり変わる。
●もう一か所の高崎市タワー美術館は、駅から芸術劇場に向かう途中にあって、こちらはビルのなかの小ぢんまりとした展示。現在の展示は「物語る日本画」。これもよかったのだが、写真がないのですぐに記憶が薄れる。写真は「そこに行った」というライフログとして欲しいんすよね。

June 8, 2026

高崎芸術劇場 GTシンフォニック・コンサート vol.2 オペラ「トスカ」

高崎芸術劇場
●6日は高崎遠征。群馬交響楽団と高崎芸術劇場の主催によるGTシンフォニック・コンサートvol.2でプッチーニのオペラ「トスカ」(セミ・ステージ形式)。沼尻竜典の指揮で、高崎を皮切りに、神奈川フィル、名古屋フィルでも同様に「トスカ」が上演される。歌手陣は佐藤康子のトスカ、シュテファン・ポップのカヴァラドッシ、上江隼人のスカルピア、妻屋秀和のアンジェロッティ他。合唱にGTシンフォニック・コンサート・プロフェッショナル・シンガーズ、藤岡市立小野小学校合唱部(児童合唱)。舞台構成は粟國淳。高崎芸術劇場はステージがとても広いので、前方に演技用のスペースを設置して、ここでしっかりと演技する。テーブルなど、大道具、小道具も一通りあり。背景にスクリーンが設置され、主に舞台設定となる場面を静止画で映し出す方式。照明にも一工夫あり、全体としてほとんど舞台上演と変わらない密度で物語を楽しめる形態になっていたと思う。奇をてらった趣向はなく、初めて観る人にも安心の「トスカ」。
●群響を聴くのはかなり久しぶり。8年ぶりかな。今、どこのオーケストラも技術的水準が高まっていると感じるが、群響も例外ではなく、綿密な音作りで、繊細な表現から豪快な咆哮まで雄弁に音のドラマを作りあげる。大空間だが、かなりパワフルで、たたみかける場面は迫力満点。プッチーニのオペラはオーケストラも主役のひとりだと改めて実感。オーケストレーションが魅力なので。歌手陣は好演。なかでもシュテファン・ポップの声が強烈。抜けるような明るい声。子どもたちの合唱のひたむきさに心打たれる。
●自分は名作オペラであってもストーリーを本気で観る派なので、毎回「トスカ」のたびに同じようなことを言うけど、トスカって本当に嫌な女だと思うんすよね。嫉妬深さに加えて、聡明さを欠いているところが耐えがたい。ある意味、事件の張本人。いちばん嫌なのは画家に眼の色を塗り直せと要求するところで、歌手なのに他人の芸術への敬意が足りない。自己中心的で、短絡的で、その場の瞬間的な感情だけで物事を判断する。本当ならカヴァラドッシやアンジェロッティよりも、スカルピアの側にいるはずだった人間なんじゃないかと思うことがある。トスカとスカルピアのそれぞれに信仰告白をさせているところにも、作者からの「似た者同士」的な扱いを感じる。

June 5, 2026

ステファヌ・ドゥネーヴ指揮NHK交響楽団のフランス音楽プログラム

ステファヌ・ドゥネーヴ NHK交響楽団
●4日はサントリーホールでステファヌ・ドゥネーヴ指揮N響。爽やかな初夏を思わせるフランス音楽名曲集で、オネゲルの「夏の牧歌」、ベルリオーズの歌曲集「夏の夜」(ガエル・アルケーズ)、イベールの「寄港地」、ドビュッシーの「海」。こういった季節感のあるプログラムは大好物。オネゲルのホルンやイベールのオーボエなど、管楽器の聴かせどころも満載でご馳走感たっぷり。オネゲルの「夏の牧歌」ほど清涼感のある名曲もない。夏の高原そのもの。明るいけど、明るいだけではなく陰もある。ベルリオーズの「夏の夜」はメゾ・ソプラノのガエル・アルケーズが温かみのある声を披露。この曲、ベルリオーズにしては「こじらせ」系成分が薄くて、ひたむきな愛の音楽を味わえる。
●後半のイベールは痛快。色彩感豊かで清爽な響き。ドビュッシー「海」も同様にカラフルではあったのだが、ドゥネーヴが気迫のこもった指揮で、熱気にあふれたドビュッシーになった。おしまいは精緻なバランス感よりも情熱が勝って、すごい高揚感に。楽員退出後、いったん拍手が止みかけたが、そこから次第に高まって、ドゥネーヴのソロ・カーテンコールに。マエストロはうれしそう。愛すべきキャラクターが伝わってくる。
●今回もゲストコンサートマスターにジュリアン・ズルマン。

June 4, 2026

東京都美術館 アンドリュー・ワイエス展

東京都美術館 アンドリュー・ワイエス展 「ケネットの集会所」
●東京都美術館開館100周年記念のアンドリュー・ワイエス展へ。20世紀アメリカの具象絵画。アメリカ北東部の田舎の風景、あるいは人物が、どれも彩度の低い色調で描かれ、多くの作品では外の光の明るさと室内の陰が強いコントラストをもたらす。豊かな田園風景ではなく、自然環境の厳しさ、暮らしの質素さが伝わってきて、どういうわけか自分の内側には存在しないはずの郷愁を呼び起こす。写真は一部撮影可。上は「ケネットの集会所」(1980)。

東京都美術館 アンドリュー・ワイエス展 「灯台」
●こちらは「灯台」(1983)。ワイエスが所有していたメイン州の小さな島にある灯台の内側を描いている。これで灯台と言われても。ていうか、ワンちゃんだし、主役は。全体に厳しさを感じる作品が多いんだけど、この作品のように80年代後半から90年代になると、少し和らいだ雰囲気も漂う。

東京都美術館 アンドリュー・ワイエス展 「納屋の猫たち」
●もうひとつ動物テーマで「納屋の猫たち」(1993)。隣人の納屋を描いている。猫を探しても見つからない。代わりに左下に猫のエサ入れがある。奥で荷車を押しているのは隣の奥さん。猫はねずみ退治のために外で飼っていたというから、今は仕事中なのかもしれない、人と同じように。こんなふうに室内から外の明るい光を目にする構図が多い。
●全体として目立つテーマは、不在、孤独、痕跡。「その状態に至る前の過去」に思いを巡らせてしまう。

June 3, 2026

映画「スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー」 もうひとつの父子の物語

●映画館で「スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー」を観る。めちゃくちゃおもしろくて、びっくりした。結論はもう出ている。これが「スター・ウォーズ」の正史だ。「スター・ウォーズ」7~9はとっくに自分のなかでは存在しなかったことになっているのだが、このマンダロリアンの映画を「スター・ウォーズ」と銘打ったのは正解だと思う。ルークもダース・ベイダーもいないし、ジェダイも出てこないし、ジョン・ウィリアムズのテーマ曲もないが、まぎれもなく「スター・ウォーズ」。これでよかったのだ。
●「マンダロリアン」はもともとDisney+で配信されているドラマシリーズで、シーズン1からシーズン3までが公開されている。ダース・ベイダーが倒れた銀河帝国崩壊後の時代に、孤独な戦士マンダロリアン(マンドー)が民族の掟を背負って生き抜く様が描かれている。もともと「スター・ウォーズ」とは神話を時代劇/西部劇の文法で描いた物語だと思うが、「マンダロリアン」もまさにそう。ただ、ルーク・スカイウォーカーのような若者の成長の物語ではない。マンダロリアンは孤独なオジサンなのだ。ダークなテイストの物語になる。が、そこにグローグーというヨーダと同じ種族の幼児が加わったことで、「マンダロリアン」は父子の物語になった。時代劇の観点から言えば「子連れ狼」のスペースオペラ版。かつての「スター・ウォーズ」が子の立場から描いた父子の物語なら、「マンダロリアン」は父の立場から描いた育児の物語である。マンドーの戦いは、シングルファーザーの育児以外のなにものでもない。グローグーの愛らしさの背後にはつねにマンドーの苦悩や葛藤が潜んでいる。父性は「マンダロリアン」の最重要テーマだろう。
●今回の映画「スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー」に関して言えば、「スター・ウォーズ」シリーズではおなじみの裏社会の支配者ジャバ・ザ・ハットの息子に焦点を当てたことで、ぐっとストーリーに味わいが出たと思う。マンドーはあの息子の姿を見て、まちがいなくグローグーの将来について思いを馳せたはず。ディズニーっぽさは正直、ある。そこは許容するしかない。あと、過去の「スター・ウォーズ」へのオマージュが今までの映画ではぜんぜんうまくいっていないと思っていたのだが、この作品では見事に成功している。あの怪物たちと来たら……。結局のところ、大事なのは幹となるストーリーなのかな。

June 2, 2026

日本代表vsアイスランド代表 親善試合

●31日はニッポンvsアイスランド代表戦を中継で。国立競技場で開催されたワールドカップ直前の壮行試合。記憶で語るけど、毎回、壮行試合はパッとしない内容になる。今回もそうだった。選手たちはみんなワールドカップのメンバーに選ばれて、怪我だけはしたくないという気持ちがどこかにあるだろうし、相手の側には大きなモチベーションがない。両者とも強度が落ちる。プレスは緩く、球際はソフト。だから、試合内容はあまり大事ではない。森保監督は先発メンバー11人を全員交代して、交代枠を使い切った。後半42分に途中出場の小川のゴールが決まって1対0。今回限りの招集で吉田麻也が呼ばれ、先発して10分だけで交代。両チームの選手が花道を作った。まるで引退試合のように。
●むしろ、意味のあったのはワールドカップ本大会と同じレギュレーションで試合をしたことで、これにはかなり驚いた。まず前後半の途中で飲水タイム的なものが入る。飲水ならいいのだが、各3分もあるので、事実上のCMタイムだ。長い……。これはアディショナルタイムに追加されるので、前後半は最低でも各48分であり、実際には常時50分を超えることになる。近年、FIFAのルールはどんどん妙な方向に走っている。プレイタイムを長くするのはいいが、試合を長くしてほしいわけではない。時間稼ぎがイヤなだけなのだ。最近、一試合の時間が長すぎると思う。
●おまけに「スローインの5秒制限」「交代選手は10秒以内に退出」など、細かい規則が増えた。選手交代で下がる選手が審判員が交代ボードを掲げてから10秒以内にピッチから出ないと、交代で入る選手が1分経過してからプレーが止まるまで入れない。つまり、最低でも1分は一人少ない状態で戦う。アイスランドはこの罰則で数的不利の状態で失点したのだ。ニッポンは新ルールを生かしたともいえるが、ファンが見たいのはこういった試合なのだろうか。
●で、ニッポンのメンバー選考についてなんだけど、やっぱりコンディションが万全ではない選手がたくさん入ってしまったな、という印象。長友を呼んだことに賛否があるのも当然で(守田を呼んでほしかった的な声)、三笘と南野をけがで呼べなかった一方、遠藤航や冨安健洋みたいに90分フルパワーでプレイできるかどうかわからない選手がいて、ほかにもコンディション面で心配な選手がいる。元気いっぱいの若い選手が少なく、なんだか人数が足りていない感じがあるのだ。この感じ、ザッケローニのときに似てる。かつてない選手層の厚さだと思っていたのに、いざ蓋を開けてみたら選手層が薄い。ただ、ほとんど代表でプレイしていない塩貝健人や後藤啓介が入ったのは英断だったかもしれない。若いラッキーボーイが出てこないと、とても勝ち進める気がしない。
●メンバーを書いておこう。先発はGK:鈴木彩艶-DF:冨安、吉田(本試合限定)、板倉-MF:遠藤航、田中碧-堂安、中村敬斗-久保、伊東-FW:上田。交代出場はGK:早川友基、DF:菅原、谷口、長友、渡辺剛、瀬古、伊藤洋輝、MF:佐野海舟、FW:後藤啓介、小川航基、塩貝健人。出場なしは大迫敬介、鈴木淳之介、鈴木唯人、前田大然。チーム事情で鎌田大地が不参加。鎌田は27日にクリスタル・パレスの一員としてUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ(欧州クラブの第3層の大会)の決勝にフル出場して優勝している。

June 1, 2026

アンドリス・ポーガ指揮NHK交響楽団のヴァスクス、ショスタコーヴィチ

アンドリス・ポーガ NHK交響楽団
●29日はNHKホールでアンドリス・ポーガ指揮N響。ゲストコンサートマスターにジュリアン・ズルマン。ポーガを聴くのはかなり久しぶり。プログラムは前半がヴァスクス「感謝の歌」(2026)日本初演(NHK交響楽団、ラトビア国立交響楽団、ミュンヘン室内管弦楽団、オーストラリア室内管弦楽団の共同委嘱作品)、後半がショスタコーヴィチの交響曲第4番。前後半でがらりとカラーが変わる。ヴァスクス「感謝の歌」は、弦楽器のみによる清冽な音楽。とても聴きやすい曲。祈るような曲想で、シベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」を連想せずにはいられない。
●この流れで聴くと、ショスタコーヴィチの交響曲第4番は苛烈な音楽であり、とてつもない大作で、実際にすごい音圧ではあるのだが、ポーガは見通しのよい整ったサウンドをN響から引き出す。決して豪放ではなく、緻密な構築物としてのショスタコーヴィチ。この曲には過去の作品への仄めかしがあちこちに潜んでいる。おしまいの部分のチェレスタ、マーラー「大地の歌」の「告別」風とよく言われるが、その前のコントラバスの脈打つような反復にチャイコフスキーの「悲愴」を思い出す。で、順番としてはおかしいわけだけど、同じショスタコーヴィチの交響曲第5番も連想する。姉妹編と呼ぶにはあまりに作品の方向性が違うけど、野心満々の第4番にある何物かを強制的に古典的枠組みに押し込んで鋳造したら第5番ができあがるのかも、と。
●週末の日本代表の試合については、また明日にでも。

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